TOMO's Art Office Philosophy

作曲家・平山智の哲学 / Tomo Hirayama, a composer's philosophy

画家Tomo Uyesugiさんの新作

2010年12月31日 | 芸術
画家のTomo Uyesugiさんが、また素晴らしい作品を描かれました。

昨年、私は海を見た

Uyesugiさんには毎回ジャケット画像でお世話になっています。

こんな素晴らしい才能を分け与えて頂けることに感謝です。

皆様、よいお年を。

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「ルオー財団秘蔵 ユビュ 知られざるルオーの素顔」展

2010年04月29日 | 芸術
今日は汐留の松下電工ミュージアムに「ルオー財団秘蔵 ユビュ 知られざるルオーの素顔」展を見に行ってきた。

以前、諏訪のハーモ美術館で見かけた「聖歌隊員ユビュおやじ」という版画がなんともユーモラスで面白かったので、
一体どういう意図で描かれたものか非常に興味があったのだ。



この絵は大画商アンブロワーズ・ヴォラールが執筆した「ユビュおやじの再生」という風刺物語に挿入された版画。
ジョルジュ・ルオーは自身の大作「ミセレーレ」の出版を条件に挿絵の依頼を受けたそうだ。

それにしてもキリストの受難を衝撃的に描いた「ミセレーレ」とは対象的なこの作品。
ルオーの絵に対する執念があちこちに垣間見えてとにかく楽しい。
物語の舞台となる植民地の入植者や傲慢な白人の姿がユーモラスに表現されているのだが、
版画とは思えない立体感と入念な構図のデッサンが単なる挿絵にとどまらない芸術性を与えている。



今回の展示では下絵、試作品などを一緒に並べて、版画作成の過程がわかるよう工夫されている。
請け負ったからには挿絵といえど妥協はしない、というルオーの自負心が見えてついつい微笑んでしまうのは僕だけだろうか。


ちなみに最近コレクションに加わったという「古びた町外れにて<台所>」はなかなかの名作だった。


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デザイン・フェスタにて、上杉朋嗣さんと

2009年10月26日 | 芸術


新曲「Be free」のジャケットデザイン、上杉朋嗣さんに会いに
東京ビッグサイトのデザイン・フェスタに行ってきました。
何故かファッション系エリアに配置されてしまった(!?)というブースで楽しくお話しさせて頂きました。

上杉さんとの話はこんな感じ。

・創作は常に試行錯誤の繰り返し
・作り続けること
・夢を諦めないこと
・でも生活はきついよね…正直(爆)

などなど

よくある文句だけど、それを着実に実行していることが僕らの誇りだと思いました。

「僕は描くしか能がないんでねー」なんておっしゃってましたが、
自分の絵に対する強い信念が感じられて嬉しかったです。

11月のポアソンでの個展、楽しみにしています。


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ベルギー幻想美術館を鑑賞する、ハーモ美術館に思いを馳せる

2009年10月12日 | 芸術
渋谷Bunkamuraで開催中のベルギー幻想美術館を見てきました。デルヴォーやマグリッドといったシュルレアリスム絵画やクノップフ、ロップスら象徴主義の秀作が堪能でき、素晴らしい美術展でした。なにより驚くべきはこの質の高いコレクションが国内、姫路市立美術館の所蔵物であること。こういう身近なところで歴史的な作品を堪能できるなんて、幸福な時代に生まれたものです。

ヌンクの作品をはじめて見ましたが、引き込まれました。魔術的な吸引力というのがベルギー絵画の特徴なんでしょうか。



ちなみに今夏、家族旅行で訪れた諏訪のハーモ美術館も素晴らしかった。アンリ・ルソーの「ラ・カルマニョール」やジョルジュ・ルオーの「受難」、マティスの名作「ジャズ」(特に「イカルス」は必見)。これらの名作を諏訪湖畔の夕日と共にのんびり眺めていられるなんて最高です。このロケーションで素朴派を中心に据えたコンセプト。美術館の質はオーナーのセンスと知性によるところ大ということですね。この美術館は小コンサートホールにもなっているので、いつかアンサンブルコンサートでもやってみたいですね。




11月の新曲リリースに向けて忙しくなってきました。以前の会社と違って上司や社長が活動を奨励してくれるので気が楽です。


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岡本太郎美術館をゆく

2008年11月08日 | 芸術
岡本太郎美術館に行ってきました。生田緑地のなかにある静かな場所ですが、岡本太郎の刺激的な作品を堪能することができます。ただ、岡本太郎はパブリックアートを強く志向した人なので、こういう箱のなかに作品が閉じ込められるのは好きじゃないかもしれませんね。日本でアートを単なる嗜好品の枠から開放したのはやはり岡本太郎なんじゃないでしょうか。

また、企画展は岡本太郎賞の若手作家による作品展。非常にユニークな作品が多く、楽しめました。特に良かったのはえぐちりかさんと横井山泰さん。えぐちりかさんはドコモダケをグロテスクにアレンジした作品が有名ですが、日常のなかにある狂気が感じられて面白いです。横井山さんは百人一首の作者を現代的な視点で描いた作品。歴史上の人物を等身大に感じさせてくれるいい作品です。

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上杉朋嗣個展「リトルブレイク」を見る

2008年07月06日 | 芸術
 昨日、表参道にあるギャラリーカフェ「ポアソン・ダブリル」にお邪魔してきました。ネットで知り合いになった画家の上杉朋嗣さんの個展を見るためです。上杉さんはサンディエゴ州立大学造形美術科を卒業し、World Wideに活動されている画家。日本ではまだまだ知られていない若い作家ですが、近い将来必ず名をあげられる方だと僕は確信してます。個展のタイトルにもなっている「リトルブレイク」と言う作品はこの方の代表作の一つになっていくだろうと思いました。

 ポアソン・ダブリルは表参道のすぐ近く。静かで落ち着いたカフェですので、デートなどにもおススメです(笑)お時間のあるかたは是非一度。

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アンバランスな風景

2008年05月07日 | 芸術

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ダリとミケランジェロ

2006年12月31日 | 芸術
 昨日、念願のダリを見てきました。寒風吹き荒ぶ中、一時間も待たされた挙句、人、人、人のおしくら饅頭。でも、それだけしても見る価値のある絵でした。

 今回ダリの作品を見て受けた衝撃は、不思議なことにローマでミケランジェロを見たときの衝撃に似ていました。形容しがたい圧倒的なパワーが巨大な岩のようにずしんと圧し掛かってくるような感覚。バチカンのシスティーナ礼拝堂で立ち尽くしたように、ダリの絵の前でしばし放心してしまいました。

 事実、ダリはミケランジェロを敬愛していたようで、ミケランジェロに関する論文も執筆しています。
 今回の展覧会でもミケランジェロの作品を題材にしたものが見られます。一番わかりやすいのは「地質学的循環ラ・ピエタ」。これはバチカンにあるミケランジェロの彫刻をモチーフにしています。ダリの作品ではイエスを抱きかかえるマリアの像に穴が空き、今にも崩れ落ちそう。絵を書いた頃、ダリの最愛の妻ガラが衰弱しつつあったこともあり、自分達の姿をこの絵に移し込んでいるのかも知れません。
 また、「世界教会会議」は教皇ヨハネ23世の功績を讃えた作品ですが、ミケランジェロの「最後の審判」に大いに影響を受けているように思われます。主題は違うとは言え、構図は非常に似通っていますし、どちらも非常に巨大な絵であるという共通点があります。また、妻ガラを聖女へレナに見立てて書き込んでいますが、このポーズはミケランジェロのモーゼ像のものですね。

 私がダリとミケランジェロに感じるパワーと言うのは、何かとんでもないもの、普通の人間なら想像すらできないようなことを具現化してしまう強い衝動です。
 ダリの絵を見れば誰でも一度は困惑するはずです。それはダリの絵がとても現実離れしたもので、一見意味がよくわからないから。当のダリ自身ですら自分の絵を「理解でないことがある」と言っています。普通の人ならそんなものは描こうとも思わないでしょう。ただ、そんな意味不明のイメージを確かな技量で緻密かつリアルに描ききる強い欲求と情熱がダリにはあった。これはバチカンの礼拝堂一面にたった一人で「天地創造」と「最後の審判」を描ききったミケランジェロの情熱に通じるものだと私は思うのです(結果としてミケランジェロは視力を失ってしまいます)。そして何か常識の壁を突き破るような強烈なパワーが今の自分にはないことをとても不甲斐無くも思うのです。

 大したブレイクスルーもなくダラダラと過ごしてしまった一年。来年こそは自分の道を切り拓いて行きたいと思います。



  
 
コメント (6)
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世田谷美術館「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」観覧記-前編

2006年10月07日 | 芸術
 今週はようやく仕事がひと段落。久々の晴天に誘われ、砧公園内にある世田谷美術館に大好きなアンリ・ルソーを見に行く。
 
 アンリ・ルソーは1844年生まれのフランスの画家。税関吏で、昼夜パリに集まる物品を監査する下級役人だった。仕事の傍ら絵を描き、アンデパンダン展という無審査の展覧会に絵を出品していた。当初はその独特なタッチが極めて幼稚であると酷評されたが、60歳を過ぎてからピカソや批評家ウーデにその革新性が見出される。

 ルソーらは後に「素朴派」と呼ばれるが、その特徴は「見えるように描く」のではなく「知っているように描く」ことであると言われる。
 自分はこの表現は結構的を得ていると思っている。実際、ルソーの絵を見てみると遠近感に乏しく、色彩も非現実的である。ただ、これはルソーが風景をそのまま絵に置き換えたのではなく、自分の心に写った世界に忠実に作画したからだと思う。そこでは遠近はさして意味を持たず、イメージの強さがキャンバス上でのポジションを左右する。
 その意味でルソーの絵が幼稚であるという批判はあたらない。今回の展覧会でも感じたが、ルソーは木々の葉一枚一枚まで丹念に描いており、入念に重ねられた筆は独特の質感を出している。ルソーにアカデミックな技術がなかったのではなく、ルソーの表現がそのような技術を必要としていなかった、と見るのが正しいと思う。

 今回は国内の美術館に所蔵されている作品のみであったが、大好きな一枚である「サン=ニコラ海岸から見たサン=ルイ島」をじっくり見れてよかった。この作品は日没後のパリを描いた作品。青、白から暗へのコントラストがこの上なく素晴らしい!以前からこの作品に描かれている人物がルソー自身のような気がしてならなかったのだが、解説に「川岸の積荷周辺に立っていることから、税関吏であろう」とあったので確信した。
 ルソーは税関の仕事をしながら、絶えず絵画への衝動を感じていたのではないだろうか。日没の川べり、幻想的なパリの風景をみながら、画家への夢を募らせていたに違いない。
 夕闇のなかにぽつんと佇む影に、しがない役人である自分への悲哀と、夢を諦めきれない切なさが感じられる。

 なんでこんなにルソーに共感するんでしょうね、僕は(笑)
コメント (4)
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シュルレアリスム

2006年03月18日 | 芸術
 絵は好きです。美術マニアではないけれど、「本物の目を養うには、本物をみるしかない」という高校の先生の言葉にのせられて、よく美術館に行くようになりました。
 で、好きになった画家がダリマグリットアンリ・ルソーです。三人はまったく違う個性の画家だと思いますが、共通点はシュルレアリスムの系統の画家ということですね。でも、シュルレアリスムってなんだ?って言われると実はよくわからない。そこで通勤のお供に文庫(*)を一冊購入しました。

 シュルレアリスムは日本語だと「超現実主義」となります。これだけみるとなにか現実離れした夢想の世界みたいに思われますけど、このとらえ方は間違っている。ここで言う「超現実」は「徹底的に客観的な世界」。言い換えると「主観的な意味付けを徹底的に排除した世界」ということです。
 マルセル・デュシャンの「泉」という作品がある。女性用の便器にちっちゃく「泉」とサインして置いてあるだけの作品です(笑)初めて見たときは困惑しました。

「意味わからん…」
 
 でも、この感じ方は決して間違がってはいなかったようです。私達は普段「排泄物を処理する容器」として便器をみていますけど、これが立派な美術館に、天才デュシャンのサイン入りで置いてある。そうすると便器の意味が剥ぎ取られて、純粋な「オブジェ(客体)」としての便器が立ち現れる。意味がわからないのは逆に当たり前なんです。

 普段、私たちはあらゆる物事に意味を付与して、周りの世界を整理しています。「電車」は通勤の手段だし、「社長」は偉い人だし、「酒」はおいしい飲み物です。ただ、それはあくまで私たちが勝手に意味づけているだけ。それを一切取り払ってみた時、客観世界の思いがけない姿が浮かんでくる。それに驚いたり、不思議な感覚になったりするのがシュルレアリスムなんじゃないかと思います。パンが空に浮いていてもいいんですよ、別に(笑)

 まあ、シュルレアリスムの捉え方はとても幅広いようで、時代や人によっていろいろな定義があるらしい(多くの日本人の言う「シュール」は完全に本来の意味を逸脱していますが)。この文章は一冊の本と、数点の絵画、画集を見た上での私個人の解釈なので、シュルレアリスムに興味のある人はちゃんとした本を読んでくださいね。

*巖谷國士著「シュルレアリスムとはなにか」ちくま学芸文庫
コメント (5)
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