TOMO's Art Office Philosophy

作曲家・平山智の哲学 / Tomo Hirayama, a composer's philosophy

映画「君たちはどう生きるか」は宮崎駿の最後の長編映画になるだろう

2023年10月05日 | 芸術
映画「君たちはどう生きるか」は宮崎駿の最後の長編映画になるだろう。
(最初に、これは私個人の直感に基づく「予想」でしかないことをお断りしておく)

まず第一に、この映画は興業収入や利益を完全に度外視していて、宮崎駿が描きたいものを描きたいように描いていること。
それゆえ、この映画に対する社会的評価は必ずしも高いものにはならないだろう(それが良いか悪いかは全く次元の違う話になるのでここでは論じることはしない)。

第二に、一人のクリエイターとして、宮崎駿の創造力の限界を初めてみた気がしたこと。
ほとんどすべてのシーンに既視感があり、過去の作品に見た「驚き」はなかった。

ただ、この二点を持って本作の評価を定めることはできない。
細部まで作り込まれた映像美、宮崎駿ならではの世界観やキャラクターの魅力は健在で、ある種の懐かしささえ感じられた。

私としては本作中でも描かれているように、新しい世代の活躍に期待したい。
そして、願わくは自分も新しい世界を切り開くクリエイターの一人でありたい。

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心が疲れたのでブルーノ・ムナーリ展へ

2018年11月18日 | 芸術
作曲がひと段落したのと、ちと心が疲れたので、世田谷美術館のブルーノ・ムナーリ展へ。

ブルーノ・ムナーリは一言で言うと「自由」。既成の価値観や常識の本質を鋭く掴んだ上で軽やかにそれをひっくり返してしまう。
計算づくで枠をはみ出すってのは凄い高等技術なんだけど、それを感じさせないのがムナーリの良さだよね。

インスタレーションの「役に立たない機械」をボーっと眺めているだけで日頃のストレスが阿保らしくなる。
微細な空気の変動で時時刻刻と姿を変えるオブジェは雲に近い。

ただ、明確な意図を持って表現する、と言う点でデザインとの親和性も非常に高い。

アートとデザインは地続き。自然はシンプルな象形の無限の組合せ。文字はイメージの延長、、、デザイナーはきちんと見ておくべき展示でしょうね。

ちなみに新作のトリオは来年ヨーロッパで初演されます。たぶん。

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「ジャクソン・ポロック」と「騎士団長殺し」

2017年03月15日 | 芸術
2014年。僕がニューヨークのMOMAで衝撃を受けたのはウォーホルでもなく、アンリ・ルソーでもなく、ジャクソン・ポロックだった。それまで僕はジャクソン・ポロックを「(ある種のショーと化した)現代アートの成れの果て」と認識していたのだが、実際作品を目の当たりにした時の強力な圧力とも言うべき「説得力」は他のアーティストを凌駕していた。

残念ながら当時僕はその衝撃を言語化する術を持たなかったのだが、最近興味深い論考を発見した。岩波書店「図書」2017年2月号の三浦佳世氏の「ポロックの『でたらめ』~物理学者が発見したフラクタル構造」がそれである。簡単に要約すると、オレゴン大学の物理学者リチャード・テイラーらがポロックの作品に対してフラクタル解析を行ったところ、自然界にみられるフラクタル次元に極めて近い値がポロックの作品群に見いだされた、という内容だ。フラクタル解析というのは一種の幾何学的分析で、「部分」と「全体」にどの程度「相似」構造があるかを数値化して測定するものである。その結果、ポロックの作品群には「でたらめ」では得られない、極めて自然(ex.木々の分岐やリアス式海岸)に近い相似構造がみられた、ということだ。フラクタル構造と人間の快不快感情の関係性についてはまだまだ研究の余地があるが、ポロックの作品の持つ「説得力」を説明する一つの論拠となりうるだろう。

タイムリーなので村上春樹の「騎士団長殺し~顕れるイデア編」から印象深い一節を引用しておこう。
「あるいは諸君はその絵を描くことによって、諸君が既によく承知しておることを、主体的に形体化しようとしておるのだ。~中略~大事なのは無から何かを創りあげることではあらない。諸君のやるべきことはむしろ、今そこにあるものの中から、正しいものを見つけ出すことなのだ」


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TOMO in MOMA 2014

2014年10月19日 | 芸術
TOMO in MOMA 2014 ! It's a dreamlike world !
夢にまでみたニューヨークのMOMA。
写真撮影OKとはさすが自由の国!
伝えきれぬこの感動の断片を日記に。

Oh, Rousseau. My most favorite painter in the world !
夢にまでみたルソーに出会う。ありがとう、人類の至宝よ!




I'm sorry,Pollock. You are a one of greatest artist !
すまん、ポロック。お前の絵は子供の落書きじゃねぇ。溢れるエネルギーの妥協なき集積だ。



Chirico. You are not just a Metaphysical Painter but a great poet.
ああ、キリコ。形而上絵画なんてつまらないラベルはいらねぇ。
君は辛辣な詩人なんだよな。


Magritte, cosmos of day and night !
マグリッド!昼と夜の調和。幻想ではない。これが超現実なんだ。


Duchamp ! This is a perceptional change !!
デュシャン!!こんな写真じゃこの感動は伝わらないよな。ただの椅子と自転車の車輪だぞ!
でも俺は知ってる。お前が妥協なき思考の挑戦者だということを。


Gogh, You were not mad. You ware too pure.
ゴッホ。あなたは狂ってなんていなかった。ただ純粋なだけだったんだ。


Mondrian, You seek the balance of planes, regions and colors.
モンドリアン。線と面と色彩の探究者。スーパーフラットなんて言葉が陳腐に思えるよ。

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トモウエスギ展 / ToMo Uyesugi Exhibition 2013 を観る

2013年09月01日 | 芸術
   

今日は同志のウエスギさんの個展にお邪魔しました。

現代の虚無感を直視しながらも、そこに新しい価値を提示せんとする姿勢に共感しました。
絵は以前にもましてシンプルになりつつも力強さとメッセージ性を増していました。

僕らのやろうとしているアートというのは、
良くも悪くもものごとの価値観を変えうるもの。
そこには勇気と責任感が必要です。

簡単ではありません。せせら笑う人もいるでしょう。
それでも僕らはやる。心強い仲間がいるのだから。


Tomo Uyesugi
http://tomou.jimdo.com/

*偶然、美月ちゃんという非常に面白いアーティストとも仲良くなりました。
 縁て言うのは面白いもんですね。


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オディロン・ルドン展@損保ジャパン美術館

2013年06月14日 | 芸術
今日は午後半休をとって、オディロン・ルドン展@損保ジャパン美術館へ。

久しぶりに素晴らしい作品に出会えて、有意義だった。

まずは後期の油彩画から「カインとアベル」
凄まじいまでの憎悪と嫉妬が劇的な構図とルドン独特の色彩で強烈に表現されている。
晩年の油彩画には神秘的な作品が多いが、こういうドラマティックな作品もいい。
全体的にドラクロワの影響が見られるが、それはこの作品の価値を落とすものではないだろう。
ただ、旧約聖書のカインとアベルのくだり(弟殺し)を知らないとこの魅力は伝わらないだろうな。

もう一つはルドンが亡くなったときにイーゼルに置かれていたという「聖母」(未完)
よくぞ、よくぞボルドーからこの作品を取り寄せてくれた!
ルドンはアカデミックなアートコースを踏み外し、戦争を経験し、紆余曲折の人生を送ったが、
きっと天国へ召されたことであろうと確信させる慈愛に満ちた作品だ。

損保ジャパン、毎度毎度素晴らしいぜ。金と優秀なキュレーターが居ればいい展覧会ができるんですな。


さて、話はそれるが、なぜ美術館にいる人たちはあんなに絵に近づいてみるんだろう?
「TOMO、絵は細部(detail)は関係ないの。全体としてどれだけ力(power)をもっているか、それが重要なのよ」
尊敬するウクライナの女性作家から教えてもらった言葉。



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恵比寿のジンプラで絵を額装

2011年12月17日 | 芸術
今日は恵比寿のジンプラに額装の注文に行ってきました。



最近色々思い悩むことがあるんですが、
自分の好きなことをしているとポジティブな気持ちになりますね。
仕上がりはクリスマスイブの予定です。

絵はもちろんトモウエスギさんの作品です。
ようやく約束が果たせて嬉しいですね。
http://tomou.jimdo.com/

ジンプラ
http://www.jinpra.co.jp/

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浜本節子 色彩の森展 @ターナーギャラリー にて

2011年10月10日 | 芸術
 

今日は久しぶりにギャラリーの扉をくぐって、
浜本節子さんの「色彩の森展」@ターナーギャラリーを見てきました。

浜本さんは以前、私の曲を聴いて絵を描いて下さった方です。
普段は大阪、関西で活動されているのでお会いするのは初めてでしたが、
人のいない午前中にゆっくり絵を拝見&お話させて頂きました。

浜本さんの作品はvividな色彩としっかりした構図が素晴らしかったです。
画像の通りかなりの大作もあったのですが、エネルギーが拡散してしまうこともなく、
インスピレーションがしっかりと伝わってきました。

画像にあるインスタレーションはどんぐりをいれた卵を和紙で包む、
というユニークな作品で、前回の個展では来場者参加型の作品だったそうです。
「アートはもっと身近なものであるべき」という考えには素直に共感します。

久々のギャラリーでしたが、入った瞬間「あ、来てよかったな」と思えましたね。

浜本さんご本人も綺麗な方で緊張しましたが、
関西弁でテンポよく話して下さるのでかなり長居してしまいました(笑)

個展のコンセプトからポストカードの色彩調整まで
しっかりこだわりを持って取り組んでいらっしゃって、刺激を受けました。
自分もしっかり制作を続けて行きたいと思います。

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浜本節子/色彩の森展 @東京

2011年09月11日 | 芸術
画家・浜本節子さんの個展が来月東京にて開催されます。

浜本さんは以前私の楽曲のイメージを描いて見せて下さった方です。

会場で販売される絵葉書セットの売上の一部は東日本大震災の義援金とされるそうです。

皆様、是非足をお運びください。

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浜本節子/色彩の森展 @東京

【日時】2011年10月8日(土)~10月14日(金)11:00~19:00 最終日17:00まで 
    (※日曜定休日)

【入場無料】

【場所】
〒171-0052
東京都豊島区南長崎6-1-3 
TURNER GALLERY 3F
http://www.turner.co.jp/gallery/index.html

【最寄駅】
都営大江戸線落合南長崎駅より徒歩7分
西武池袋線東長崎駅より徒歩5分

【TEL】
03-3953-5161

【協賛】
ターナー色彩株式会社


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Bon kitsch Bon シンプルキュートでキュッチュなTシャツ展 Vol.4

2011年07月03日 | 芸術
TOMOのお友達、Aya SuganoさんのキュートなTシャツ展のお知らせ。
僕の曲もBGMにして下さるそうです。是非是非お越しください!



Bon kitsch Bon シンプルキュートでキュッチュなTシャツ展 Vol.4
~2日間だけのきまぐれ、デザイニングTシャツショップ~

日時:7月16日(土)17日(日)12:00~20:00 LAST 18:00
場所:gallery LUMO ギャラリールーモ
   〒810-0023 福岡市中央区警固1-12-5-201
   TEL/FAX 092-215-0115


夏は恋の真っ只中、彼・彼女に逢いに…そのおもしろさをデザインと刺繍にのせて表現しました。
型紙を起こし、オーガニックコットン生地を裁断し、一枚一枚制作しています。
シンプルなTシャツにキュートなイラスト、オーガニックコットンで肌に弱い人でも着ていただけるTシャツです。

また、コミュニケーションツールとして、最近話題のDesign Receipt Project。
レジロールで好評がある今回は、メモロールとして誕生しました。
今までウェブサイトでの直販が主でしたが、先行販売をいたします。

ビビットな赤・ピンクを基調にシンプルキュートにデザインした、
ラブリーアートなものたちにぜひ会いに来てください。

LOVE drop.
http://lovedrop.jp/

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