素堂、幽山 両吟(巻末)
水無月いつか来にけん裸島 幽山
団扇うすべり床の山陰 素堂
うつり行鏡の里に髭そりて 仝
ゆるぎの森に風けゆづれば 山
大上戸有明の雪に鴻の池 仝
鬼は丹波に冬籠る空 堂
鉄の窓やうごかぬ千とせ山 仝 鉄=クロガ子
代は塩□の音なしの川 山
からくりにさゝやきの橋取はなし 堂
扇の芝を小便にゆく 山
遠慮なくさらしの裾をかいあげて 堂
寝覚の里や聲蚊屋に入 山
紙燭召て手枕の小野御覧ぜよ 堂
かくれの山にはき物の露 山
夕月夜馬よりおりて雲づ川 堂
梢の色の首おちの瀧 山
薩摩の守花は嵐の音にきく 堂
つけのゝ雪間分るとき櫛 山
難波女が手織引はへ糸あそぶ 山
もり口積にくゆるせんじちや 堂
戀わたる籠の渡りよ休ましやれ 山
まだ日高川ふかき思ひを 堂
焼食や誰岩代にむすびけん 山
反古につゝむ山本の雲 堂
伊吹颪作り蛇腹の顕れて 山
えいとうく不破の木戸番 堂
すかぬやつ人見の松をそれと見よ 山
狐が崎も都ならねば 堂
出頭せし鎌倉山も月細し 山
又上もなき松平の 堂
草くの花園つゞく藥苑に 山
志賀のから橋唐島の聲 仝
ふえ法師何とぞとへば何ぞこたふ 堂
是非におよばぬ白川の院 仝
花の本持に定むべしわかの松 山
那智石みだす碁笥の春風 堂
参考 『俳枕』掲載の甲斐関係の発句
餞別に
わするなよ白根かすまば江戸の花 小野沢幽風
かみあらひといふ、所の名物と聞て
名也けり芹の白根のかみあらひ 幽山
蝸牛角やさしでの磯栄螺 神野忠知
庭訓にのりけり甲斐の駒迎 宣休
湊や江戸の築地と差出の磯 藤井松陰
白根こそ甲斐の源氏のはたれ雲 松村正阿
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