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自然と生活 山が多い県土  山梨県 現況 昭和59年 角川地名辞典

2023年08月20日 09時08分46秒 | 山梨県林政調査研究所

自然と生活 山が多い県土 

山梨県 現況 昭和59年 角川地名辞典

 

 

中部地方の南東部に位置する。県都の甲府が東京から110km,西方の長野県境でも約140

kmであるのに対して,中部圏の中心地名古星からは,長野県境側でも約120km,甲府で160km前後と隔たっており,県東部では200kmを超す。さらに,中央自動車道の開通以前の交通体系の中では,時間距離は実距離以上の差があった。そこで首都圏整備法で県土は対象地域の一部に加えられ,甲府市およびその近辺の一部が都市開発地域に含まれている。このことからも明らかなように,本県は東京都を中心とする関東地方の南西部,中部地方にあっては静岡・長野の両県との,社会・経済的結びつきが強く,ある意味で漸移地帯的な傾向をもつ。

 わが国第1位・第2位の高山である富士山・北岳を県域にもつ本県は,中央高地の南東部を占める山峡の韮崎方面から望むハケ岳連峰地である。

県内の地形の配列を地質構造との関係で模式的にみると,県の西部を南西日本に属する赤石山脈 (南アルプス)が占め,県の北から東部にかけては関東山地に属する諸山地がある。県の北西から南ないし 南東にかけて走る日本を二分する大地溝帯は県内で は,第三紀の漸新世~中新世のグリーンタフの地層か ら成る山地により埋められ,その埋め残しが甲府盆地 である。また県北西部と南部には第四紀の火山である八ヶ岳・富士山が位置する。

  県の西方,長野・静岡県と本県の境界付近に赤石山 脈北部の主峰群である白根三山が位置し,そこから北

 に三昧岳・仙丈ケ岳と四万十統の山々が続き,駒ヶ岳 に達する。この山とその北から南東にかけては,貫入岩体である黒雲母花尚岩より或る山地が続く。一方,静岡県との境を成す稜線は赤石山脈の主脈と大井川を挟み対峙するもので,腰高岳・広河内岳・自刎山など を経て転付峠に達し,さらに十枚山方面に続く。

ここでは四万十統の中で若い岩石からなるが北部ほどの海 抜高度はない。これらの山地は起伏度が大きく,谷は深く壮年期の山容を示している。間ノ岳・北岳などには氷河地形の遺物がある。

北部の北巨摩郡武川に村付 近から千頭星山・櫛形蒜山・富士見山と北から南に走る稜線は2,100~1,800m程度の海抜高度をもち,大崖頭山・櫛形山・源氏山などでは山頂平坦面をもつ。

また山腹の棋地・高尾・伊奈ケ瑚・平林などを結ぶ線上に平坦面があり,断層活動との関係が論じられている。地質的には主に御坂続に属する地層より成る。

身延山地は,巨摩山地に比して低く身延山・鷹取山・篠 井山などに代表される。なおこの山地は静岡県の庵原山地に続く。また,巨摩山地南部の富士見山山麓には身延山地の一部と同様の富士川層群のうち暗礁岩層より或る軟弱な地盤の地域があり,悪地地形を呈している。

  これら甲府盆地西方の山地から流下する河川は甲府盆地より上流には釜無川源流,尾白川・大武川・御勅使(みだい)川などがあり,南巨摩郡鰍沢以南では大柳 川・早川・福上川がある。

県北西部釜無川左岸には八ケ岳火山群の主峰赤岳を中心とする火山があり,その稜線が長野県との境となる。 3,000 m弱の海抜高度を有するこの火山は山麓に広大な原野を有し,念湯原・井出原などが知られている。火山山麓でありながら地下水に恵まれ,北巨摩郡大泉村の大湧泉をはじめ湧泉が多い。またこの原野の釜無川右岸には韮崎砕流の堆積物である「七里岩」と呼ばれる崖が,県境から韮崎市中心まで,比高70~80mで約30kmにわたり続 いている。

この地域から流出する河川には釜無川支流の甲六川,須玉川上流の川俣川・大門川がある。須玉川以東の長野県・埼玉県・東京都との境界は,関東山地の主脈である秩父山地の山々が占める。金峰山から甲武信岳までの主稜線上は2,500m前後の高度を有し,主に花崗岩類より成っている。

この西から東に走る主脈の山稜から南に向かう稜線は,甲府市街北部の古い火山群に連なる。黒富士火山や寄生火山の茅ケ岳がそれで,現在は著しい浸食を受け,山頂は硬い溶岩の部分である。また甲府から東八代郡石和北方にかけては,これらよりさらに古期の陸上火山である水ケ森火山がその姿を変えて残っている。

これら古い火山中に貫入した花肖岩地帯に荒川のつくる峡谷,昇仙峡がある。荒川のほか,これらの山中から甲府盆地に流下し富士川に注ぐ河川に,西方より塩川、笛吹川とそ

の支流がある。これら山地はそれほど険しいものでないが谷が深く,笛吹川の東沢・西沢など渓谷美で知られる。

埼玉県との境界をなす秩父山地の東部は徐々に高度を減じ,その東端の雲取山で2,000 m 強となる。この部分は大部分が四万十統下部の地層から或る。東京都との境をなす三頭山から生藤山にかけての稜線は西方で1,500m,東方では1,000mに満たない山地であり,主に四万十続中または上部の地層より成り,「小仏山地」と呼ばれる場合もある。

一方,甲府盆地と郡内地方を区分する分水界は,笠取山の南西で主脈から南に分かれ,含掛山~柳沢峠を経て,大菩薩嶺・小金沢連峰を結び,笹子峠に達する。この山地は花崗岩類より成る。この山地から甲府盆地側には,重川と日川が流下し,石和の東で笛吹川に合流する。古来の水防の要衝である。

一方,郡内側には,秩父山地を含め,多摩川の源流である丹波な川とその支流,相模川の上流桂川の支流である葛野川と鵡川が流下する。桂川右岸の山地は小規模なものから大規模なものまである。

桂川の南の山地を「秋山山地」,秋山川を挟みその南の山地を「道志山地」と称し,神奈川県北西部との境界は丹沢山地の北部の山稜であり,この山稜は三国山,龍坂峠を経て富士山に連なる。甲府盆地の東南から南部にそびえる山地が御坂山地である。その東は大月市街の南西,高川山から西南西にのび,御坂山・節刀ケ岳・釈迦ケ岳に至り,主稜は蛾ケ缶へと続き,南に分岐した稜線は三方分山を経て,天子山地(天守山地と呼ばれることも多く,実際は混用されている)に続く。

一方,河口湖北方の黒岳から分岐した稜線は滝戸川を経て徐々に高度を減じていく。御坂山地は主峰部で1,700 m程度の海抜高度であるが,全体として地塁山地的性格をもち,断層が多く,かつ地質が軟弱であり地形災害が発生しやすい。これら4つの山地は主に御坂続の地質よりなる。

流出する河川には,甲府盆地側で,金川・滝戸川・芦川があり、郡内側では桂川の本流,および支流の大幡川・朝日川,相模川に流下する道志川がある。

富士川左岸の静岡県境をなす山地は天子山地と呼ばれる主に富士川続の地層から成る山地である。

富士五湖の低地の南に富士山が位置する。頂上部は36°前後,山腹の上部で25°前後,

下部で20°以内、裾野で8°程度の傾斜をもち広大な野をもつ。本県側には幾多の丸尾と呼ばれる熔岩流を流し,山麓の多くは,森林または原野となっている。八ケ岳と異なり乏水性の土地が広く,山麓の五湖に接する低地を除くと集落は少ない。


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