むが~し、ある村に木綿売りと 小間物売りの男がおったど。
二人は品物を仕入れるために よく江戸にいったども、一緒に村を出ると
すぐに別れて 別々の街道を歩いていったと。
そうして、どちらかが先に江戸に着くか競争したわけだな。
ところが、結果はいつも同じであった。いつもいつも木綿売りが先に着く。
小間物うり屋は、いつも一日遅れてしまうんだと。
へば(それじゃ)小間物売りはおもせぐねぇ(面白くない) それで、こう言ったと。
「お前の行く街道と 俺の行く街道をとりかえてみるべぇ」
次に江戸に行くときには、早速、道を取り替えてみたわけだ。
したども、やっぱり、木綿売りのほうが一日早く江戸に着いてしまった。
小間物売りは 不思議で不思議で しかたねぇ・・・
そこで、村1番の物知り爺さまのところに出かけてこう聞いた。
「なんしたわけで木綿売りより1日遅くなるんだべか」
したば、物知り爺さまはこう教えてくれた。
「お前 歩くときに赤い石っこを踏んで歩いでねぇが?まず、赤い石っこを踏まねぇ
ようにあるいてみれ」
これを聞いた小間物売りの男は 言われたように一生懸命に気をつけて
歩いたわけだ。したば、なんと!今度は同じ時間に江戸についたんだと。
帰り道も同じように 赤い石に注意しながら帰ってきたば、村に着くのも
二人まったく同じ時間。小間物売りはすっかり喜んで、爺さまの家にお礼を
言いに行った。「赤い石っこどこ踏まねようにしたば、行きも帰りも同じだったんす・
赤い石っこには、不思議な力がおるもんだすな。まず えがった。ありがとう」
したば、爺さま笑ってこう言ったと。
「お前、赤い石っこふまねぇようにどって、わき見しねで下ばかり見て歩いたべ?
わき見しねば早く着くのは 当たり前だ。赤い石っこはなんも関係ねぇよ」
小間物売り 今までどんだけ わき見していたもんだべな。
へば・また・・・ とっぴんぱらりのぷう
三種町琴丘地区に伝わる民話
わからない言葉ありましたら、翻訳しますので(笑)