昔、昔のことだども。ある所に たいしたてんぽこぎの男がいたと。
てんぽこぎってば、ほら吹きのことだ。いろんた てんぽこいては、人をどでんさせて(驚かせて)
面白がっていたなだ。 ところが、あるとき
てんぽ村っていう、村中で、てんぽこいている村が あるっていう話を聞いたから
この男、さっそく出かけて行ったものな。 村の入り口に着くと、わらしがたが遊んでいたと。
「おめがた、今 風吹いてこねがったが。おらの方だば、しったけひどい風吹いて
寺の釣鐘が吹っ飛んでしまっただ。鐘がこっちさ 飛んでこねがったが」
「んだか。んだんだ。そういえば、さっきオラの家の 便所の蜘蛛の巣さ
引っかかっていたようだな。 いまだば音もしねどもなぁ。」
これを聞いて、てんぽこぎの男 少しばかりビックリしたども
「おめの おど(父)とアバ(母)は、どさいるなだ(どこに居る)と、聞いてみたと。
「おらの母だば、海の底が壊れだといって、ご飯粒3粒持って、くっつけに行った。
オド(父)だば、富士さんが傾いたとって、麻がら3本持って、つっぱりかいに行ったとこだ」
これを聞いて、てんぽこぎはすっかり どてんしてしまった。
子どもでこれだば、大人にあったら どんなてんぽこかれるかと思って
おっかねぐなってしまったなだと。 そこで村の中には入らないで、さっさと
自分の家さ帰って 布団かぶって寝てしまったと。 上には上がいるという話。
とっぴんぱらりのぷう (南外村に伝わる民話)
とちの花
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