むかし、爺さまと婆さまがおったと。
ある日爺さまが山仕事に行くと、何か見慣れねぇものが、いたっけど。
何かと思ってみると 河童がうずくまっていたものな。声をかけてみたば
「寒くて寒くてなんもなんね。お礼だばするから 火コ持ってきて焚いてけねべか」っていうわけだ。
爺さまはかわいそうに思って、火種を持ってくると 河童のそばで、のんのんと火を炊いてやったと。
次の日も 次の日も焚いてやったと。したば、3日目になってお礼だと言ってきれいな袋をだして
こう言うもんだっけ。「爺さま、この袋の中さ入って どこでも行きでぇどこ行けるや。
爺さまは急いで家に帰ると 試しに袋の中さ入って「大阪にいってみでぇ」って言ったど。
したばなんと!華やかな町が見えて来た。「あやぁ、まんずまんず、いい町だねが。
きれいな姉さまいっぺ(いっぱい)いるし立派な家いっぺあるし、なんとあれだば うめそな
まんじゅうだ!」 爺さま見るだけ見てすっかり満足して「あど、家さかえるかな」
といいながら袋から出て来た。そこはちゃんと自分の家だったものな。
爺さまは大喜びで、だれにもわからねように寝床のすみに袋を隠すと また山仕事に出ていったど。
ちょうどその時 婆さまは南蛮味噌を作ってたど。何かいいものねぇべかと 寝床のあたりを
探していたら 見慣れない袋がでて来たわけだ。ちょうどいい大きさだったもの。
そこさ、南蛮味噌詰めて下げておいたんだと。
山仕事から帰って来た爺さま。下げてある袋を見つけて青くなった。袋をひっつかむと
川に走って南蛮味噌を流し、じゃぶじゃぶ洗いに洗って大急ぎで袋を乾かした。
それから家に帰って「江戸さ行きてぇ」って言った。だども、何も起こらね。
何も見えてこなかった。次の朝、爺さまは夜が明けるのを待ちかねて、山に行った。
そして、「河童、河童、何も見えねぐなってしまった、なんとせばいい」って
半泣きになって聞いたど。したば、河童は答えてこういった。
「袋の力が南蛮味噌に流されてしまったんだべな。それだばなんともならねぇな」
だからな。いいものがあったら、みんなにしゃべらねばな。一人で隠しておこうとすると
爺さまみたいに 何にもなくなってしまうってことだ。 とっぴんぱらりのぷう・・・
昨年掘り残した ゴボウにこんな花が咲きました。👆アザミに似ている感じが。
枝がバキバキに育ち、植木ばさみで50センチくらいに切り 束ねてゴミへ(;^_^A