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日常・民話など

民話・おめでたい塩引き

2020-01-05 11:04:33 | 昔っこ・民話

  民話 おめでたい 塩引き

 

むが~し あるところに、意地の悪い婆さまがいたんだど。

うまくいかないことは、なんでも嫁さんのせいにして、嫁さんを泣かせたど。

ある年のくれ、婆さまは、嫁さんに百文ばかりの じぇんコ(銭)渡してこう言った。

「市さ行って正月の食べ物を買ってけ。まず、昆布、干しイワシ、わかめ、エビ、それに塩引きだな」

嫁さんは市に出ると、言われた通りに干しイワシ、昆布、わかめ、エビを少しづつ買って回った。

最後に塩引きを買おうと思ったんだが、残りのじぇんコ(銭)は、ほんのわずかになっていたど。

そこで、切り身を買おうと思ったが、どこの店も切り売りの塩引きはなかったど。

「買わねで帰れば、なんと言われることだが。なんとすべぇか」

嫁さんはすっかり困ってしまった。するとその時

「まけた、まけた。この塩引きあだま(頭)ネズミにかじられたから 大安売りだ!」と叫ぶ

男の声がした。とたんに嫁さんは走りだした。一番乗りで店先に着くと

「これしか じぇんこ(銭)ねえがら、これで売ってくれ!」

叫ぶなりありったけの じぇんコを出した。魚屋もその勢いに どでんして(ビックリ)

そのじぇんこで 塩引きを売ってくれだど。ほっとして家に帰った嫁さんは、荷物をおろすと

「塩引き買うじぇんコが足りなぐなって、困っていたども 塩引きのあだまぁネズミに

かじられたがらまける。って言う魚屋があったもの。だから残りのじぇんこで まけてもらった」

と しゃべった。したば婆さんは「なんと、あだま(頭)なの、かじらえていたって かまわね。

尾っぽさえしっかりしてればええ。したって昔から お(尾)めでたいとは言うども、

頭めでたいとは、言わねぇものな。まんず、おめでたい、おめでたい」

と 喜んだど。それからというもの、この婆さまも、嫁さんにつらく当たらなくなって

みんな仲良く暮らしたんだと。     とっぴんぱらりのぷう (森吉町に伝わる民話)

*(昔、ロシア語を勉強していた時期がありました。もうすっかり忘れました(^-^;

 お金=ジェンギ。秋田弁=ジェンコ。yes=ダー 秋田弁でyes=ンダ 似てます)

    これが百文だそうです

              

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