毎年6月の第2土、日に開催される 小町まつり(湯沢市観光協会hpよりお借りしました。
祭りのメインとなる 七小町和歌朗詠が奉納されます。
奥は小町堂です。
長いので、スルーOKです。
秋の日暮れ ススキが風にそよぐ道を、馬にまたがったひとりの 若い貴族が急いでいた。
京から遠い蝦夷地につかわされてきた この貴族は、長いことかかって小野の里の桐ノ木田城のたどりついた。
若い貴族 小野良実は、村の長の町田治郎左衛門の娘を妻に迎えた。その次の年の春には、二人の間に女の子が生まれ 小町と名づけた。
小町は 両親にかわいがられ美しく育った。小さい頃から学問を習ったが、小町はたいへん物覚えがよかった。
また、琴も上手であった。歌をつくるのにも優れた才能をもっていた。良実は このまま田舎におくのはもったいないと考えるようになり
小町も田舎で一生を送るのを残念だと思うようになった。ちょうど小町が13歳の春に父の仕事が終わり、都に帰ることになったので、小町はよろこんだ。
都に出た小町は 大きくなるにつれて いよいよ美しくなり、歌の道でもその才能は たちまちあらわれた。そこで、天皇の近くで仕えることになった。
しかし、その美しさをほかの女たちからねたまれ まもなく宮中に仕えるのをやめなければならなかった。
宮中をやめてからも 美しい小町に都の若い貴族たちは、ぜひ妻にほしいと次々に申し込んでくる。しかし、小町は誰にもいわない心に決めた人がいた。
小町は心の悩みを歌に詠んだが その歌がまた 都の人々の評判になった。
都の暮らしに疲れた小町は 生まれ故郷に帰る決心をした。小町を知る人は、都にとどまるように言ったが 小町の心は変わらない。
前々から小町に思いを寄せていた 深草少将は、郡代識となって 小町のあとを追い小町の里へやってきた。
村に着いた深草少将は、小町の家の近くに 平城という館をかまえ 夕方になるとこっそり 小町の家の周りをまわった。そして、
毎日のように自分の思いを書いた手紙を送った。辛抱強く書き続ける手紙に 小町も心を動かされたものか、
やがて返事がくるようになった。少将はいっそう熱心に手紙をおくった。
「わたしは芍薬の花が大好きです。もし、ほんとうに あなたが 私を思って下さるのなら毎晩 一本づつ私の家の前に 芍薬を植えていってください。
それが、ちょうど百本になりましたら、わたしは喜んであなたの妻になりましょう」
小町の返事を受け取った少将は 天にものぼる気持ちであった。それからは、雨の日も 風の日も 暗い夜の道を通った。
ところが、あと一本という日に 小町の母が亡くなり 小町は少将と会うわけにはいかなくなった。
そうしたことを知らない少将は 門を閉ざしてしまった小町をうらんだ。約束の百夜になっても 会ってくれない小町に
少将は生きる希を失い うらみの歌を残して死んでしまった。
その後 年を取るごとに 小町の美しさもおとろえ 雄物川の向こう岸の 小高いところに
ある、洞穴にすみ自分の像を刻んだ。90歳で亡くなったと言う。
小町の木像は 今も小野の向野寺(こうやじ)に 残っている。小町が少将へ 返事をするのに 年取った小間使いに
持たせてやったというが 御返事(おっぺし)という村は その小間使いの住んだところという。
花の色は うつりにけりないたずらに 我が身世にふるながめせしまに
これは、小町が 年をとってからの 歌といわれている・・・
読んで頂きまして ありがとうございました。 (本日も歯が痛み、悶々と過ごしています(^^;