私より一回り若く、ここ、7,8年で20キロも体重が増加した女性がいる。
17年前に出逢った頃は細身だったのに、あれよあれよという間に体格が立派になり、今では焼肉屋で食事をしていて、大相撲の新弟子の一団と遭遇しても、区別がつかないほどになった。痩せている頃に一緒に撮った写真が偶然出てきたのだけれど、現在の体の幅の三分の一といった印象だ。
「どんどん、入る服がなくなっちゃって困ってますよ。最近は横取りした旦那の服も小さくなっちゃって」
そうは言いつつも彼女が嘆いているのを耳にしたことはない。
「太っちゃった。あっはっはーー」っと至って明るい。
「やっぱり週4回の焼肉はまずかったかなーー」と言われて仰天したのだけれど、どうやら食生活に問題があったようだ。
と言っても彼女はそのために、ダイエットをしようとか、焼肉をやめようとか、全く考えていない様子。
風邪気味で勤務先の会社指定の病院に行ったら、診察室に入った途端、医者に「あぁ、あんたは診なくてもわかる。太り過ぎ!!」と言い放たれ、彼女は「太り過ぎで鼻水がでるんかい!!」っと怒っていた。
少し前は変化した体型を見て「ご懐妊ですか?」と聞かれたが最近はそれも言われなくなった。
「三段腹も目前だわ」と私が嘆くと「三段腹を超えると、大きな一段腹になるんです。私はそうなってます」っと堂々と胸を張る。
郷里の母上も彼女の変化をとても気にしている。母上は華奢で体重が39キロしかないのだ。「あんた、そんなに太ったら、店で下着を買うのも恥ずかしいやろ。だいいち入るサイズがあるんか?」・・・電話をかけてきては常々心配していた。
「大きなサイズのパンツを買うのは恥ずかしいやろと思うて、買っておいたから今度送るわ。サイズがL寸かLLかようわからんかったけど、おかあちゃんが試し穿きして「この位のゆるみなら大丈夫やろ」と思うたもんにしといたから」
彼女はそれを聞いて、「娘のパンツを試し穿きするな!!」と文句を言いたくなったが、ありがたい母の愛と、ぐっとこらえ送ってもらうことにした。
「で、届いたんですけど、穿いてみたら腹の肉に食い込んじゃって息も出来ないんですよねーーっ、あっはっはっ」
私は彼女を見て、痩せただの、太っただのと一喜一憂している自分が、何と小さい人間であることよと情けなくなった。
これからも体型は崩壊していくであろうが、暗いヤセよりも明るいデブを目指そう。体が太くなるのとともに、彼女を見習って神経も太くならなければと、心に決めたのであった。
シミ、シワ、タルミ専門店
SOU創顔