サロンの顧客で中国漢方薬の店を出している50代の女性がいる。
その方が先日、とても興味深い話をされていた。
ある時、専業主婦の40代の女性二人が、2週間ほど前後してやってきた。
何の関係もない他人同士である。
しかし、その二人は同じ症状を訴えた。
手の指の関節が腫れてきたというのだ。
指の関節が腫れる理由は色々あるので、この先生も様々な病気を探ってみたが、その可能性はとても低い。
たて続けにどうしたものか?そんな病気でも流行り始めているのかと、心配になって様々な方向から見てみたのだけれど、やはり病気が原因とは考えられなかった。
そこで、ふと目についたのが、彼女達の10本の指に施された豪華なネイルアートだった。
小花や星がついたり、様々な色に塗り分けられている。
そこで先生は「家事はなさっていますか」とたずねた。
すると二人とも、やっていると答えた。
子供はいないとはいえ、専業主婦なのだから当然なのだけれど、話をもっと突っ込んで聞くと、食器洗いは食洗器にまかせ、掃除は、お掃除ロボットやフロアモップを使う。
洗濯物は全自動洗濯機で全て乾燥させるため、物干しに洗濯物を干した経験もない。
手洗いもしないのだ。
「雑巾がけは?」とたずねたら「あんな汚い物、触るのは嫌」と嫌な顔をする。
趣味も特になく、日中は、ずっとテレビを観ていて、スーパーからの宅配の食材、レトルト、冷凍食品が届くのを待っている。
手を汚すのが嫌なので、カット野菜を注文してそのまま使う。
電子レンジをフル稼働して調理し、包丁、まな板も使わないのである。
「あまりにも手を使わな過ぎて、循環が悪くなって腫れたんじゃないかしら?手足の指を動かすのは、とても大切な事なんですよ」そう言われた彼女達は「えっ??」と驚きながらも、手を使えと言われたことに戸惑っている様子。
「全てを変えろとは言わないし、ネイルも止めろとは言わないから、ゴム手袋をして、まず皿洗いから始めてみてください。人間、使わない部分から退化しますから」
彼女達は先生に言われた通り、皿洗いを始めたら、徐々に腫れもひいてきて、元に戻りつつあるという。
使い過ぎで腫れるケースはあるが、その逆で具合が悪くなる場合があるとはビックリしてしまった。
日々、手を使うのは当たり前だと思い、誰も注意を向けなかった。
調理は手でするのが当たり前、食後に皿を洗うのは当たり前、でも様々な家電製品が出てきたことによって、その当たり前だった事項が当たり前ではなくなり、その結果、楽にはなったけれど、楽になりすぎた弊害が出てきている。
しかし、関節が腫れるほど、手を使わない生活って、一体どういうものなのか?
一日中、手を動かしている私には想像も出来ない。
認知症の予防には指を動かすといいと聞いたがあるが、これだけ手を使わずに家事をこなそうとする女性が増えれば、日本の未来は認知症のオンパレードになるかもね??
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