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ロバート・ウェストールの本、3冊

2009年07月22日 | 絵本が好き
反戦塾」様より「子供のための戦争の本」というエントリのトラックバックをいただきました。以前から、これに関連して、ある児童文学作家をご紹介したかったのですが、夏休みにも入ったことだし、よい機会なので私も、一つ記事を書きたいと思います。

実は私、若いころは、子供が嫌いで・・・
自分が子供のころから子供嫌いだったのだから、子ども時代は特にもう自分でも自分の性格をどこかもてあましたものです。
そんな私が母になって、大丈夫なのかと不安もあったのですが(汗)・・・、自分が子どもの時してもらいたかったこと、自分が子ども時代にやりたくでできなかったこと、子供を育てながらもう一度子ども時代を生きられた…本当に子供が生まれてありがたかった、よかったと今はつくづく思います。子ども嫌いも治ったし(笑)。
子育ての中で、すぐれた絵本作家や、児童文学に出会えたこと、これはさらに思いがけない喜びでした。絵本や児童文学に画期的にはまってしまいました。息子が小学校高学年になるまで、ほとんど毎晩、読み聞かせをして育てましたが、これはむしろ、自分の楽しみのための貴重な時間でもあったのです。

戦争の本というと、日本では原爆や東京大空襲のときのお話が、子どものための絵本や本になって、時折見かけますが、どうしても予備知識の中に、「怖い」「悲惨」という印象があって、敷居が高く、広島の原爆関連の絵本でいただいたものもあったのですが開くことはしませんでした…(本当はこれを乗り越えなければならないのでしょうが)
また、反戦のために作られたちょっぴりお説教の匂いもする本は、勉強のためならいいのでしょうが、読書の楽しみのための時間には、ちょっと敬遠してしまいがちでした。

前置きが長くなってしまいました。
子どものための戦争の本・・探すのは、簡単なようで難しいと思います。だからこそ、これぞというものに巡りあえたら、それは大変幸福なことです。




ロバート・ウェストール(1929~1993)という人は、大人になって知ったイギリスの児童文学作家です。彼のいくつかの作品は、子どものためではなく自分のために読みました。
猫の帰還」「海辺の王国」は、第二次世界大戦真っ最中のイギリスが舞台です。(ヨーロッパは、それぞれ自国が戦場になりました。)
イギリスにも、ナチスの空襲は断続的にやってきます。逃げまどいながら、家族を失い、傷ついては、生きる気力さえ失われてゆく人々。その中にあっても、もう一度勇気をふりしぼり、なお強く生きようとする戦争下の人間たち。
声高に戦争はいけないと言っているのではないけれど、淡々と人々の生活や心情をつづってゆくことで、静かに、作者の反戦の思いが伝わってくるのです。

「猫の帰還」は、猫好きにはたまらないです。戦火をくぐって旅をする猫のたくましさにほれぼれしてしまいます。一匹の猫が、人々に勇気を与えてくれます。

「海辺の王国」は、戦争を縦軸に、横軸には少年の心の成長が描かれており、大人に対して少なからず絶望を感じてしまった子どもの方にも、ぜひ読んでもらいたい本です。ただ、対象が小学校高学年からとありますが、それならある程度、読む力のある子向きかも。本当の良さを理解するなら、中学・高校生くらいで読まれたほうが、作者の意図を理解しやすいのではないかと思います。



弟の戦争」は、1991年に起こった、湾岸戦争が舞台です。主人公の、12歳のこころやさしい弟が、突然イラクの少年兵と魂がリンクしてしまい、弟の言動を通して、リアルタイムで、恐ろしい戦場が普通の家に持ち込まれてきます。
ちょっとスピリチュアル的な要素もあり、時代的にも身近な戦争なので、戦争が過去のものでなく「今」そこにあるものだというものを実感してしまいます。戦いの現場では、国家が言う正義などは意味がありません。生きるか死ぬかの選択のみ、戦争の理不尽さに気づくでしょう。こちらは、小学校中・高学年より、お勧めです。

ロバートウェストールの作品には、一貫して戦争がテーマにあります。
しかし、悲惨で愚かな戦争をしでかすのも人間なら、絶望の底に希望を見出すのも人間だということが、メッセージとして含まれているのです。読後は滋味豊かな気持ちにさせられるところに、すぐれた文学としての力を感じるものです。

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2 コメント

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子供のための-- (ましま)
2009-07-22 13:47:16
早速、ゆきとどいた紹介のエントリーを立てていただきありがとうございます。
当塾の前回記事に追加させていただきました。これで当ブログに検索で来られた方をがっかりさせないですみそうです。感謝!
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こちらこそ (金木犀)
2009-07-22 20:55:03
ましまさま、
以前から、ウェストールのことを書きたいと思っていたのですが、なかなか、きっかけがつかめず、時間ばかりたってしまっていました。
夏休みに入り、ちょうどいいタイミングで書くことができ、よかったです。
こちらこそありがとうございました。
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