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安保法制施行と、自衛官の苦悩

2016年03月29日 | 憲法改悪、集団的自衛権反対


安保法制下の日本に 関連法が施行
(東京新聞 2016年3月29日)

 他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法が二十九日午前零時に施行された。戦後の歴代政権は武力行使が許されるのは、日本が攻撃を受けたときのみとしてきた。だが、安保法の施行により、日本は攻撃されていなくても戦争参加が可能になった。
(金杉貴雄)   

 安保法は自衛隊法など十の改正法と新法「国際平和支援法」の計十一の法律で構成。安倍晋三首相は二十八日の参院予算委員会で「国民の命を守り抜く必要な自衛のための措置は何かを考え抜いた」と述べた。
 集団的自衛権の行使容認に関しては「他国への攻撃で国民の生命が根底から覆される明白な危険がある」場合を存立危機事態として武力行使できるとした。事態の認定は、政権の「総合判断」に委ねられる。
 周辺事態法を改正した重要影響事態法は、米軍の戦闘支援を日本周辺から他国軍を含む世界規模に拡大。自衛隊活動に関し「非戦闘地域」の考え方をなくし、より戦闘に近い場所で活動できる。国際平和支援法は日本の安全と直接関係なくても他国軍支援を世界中で随時できるようにし、非戦闘地域の限定も外した。
 突発的な衝突で攻撃された米艦を守る「平時の米艦防護」も可能にした。
 国連平和維持活動(PKO)に関しては、離れた非政府組織(NGO)職員などを守る「駆け付け警護」や治安維持活動ができるように任務を追加。海外での邦人救出も可能とした。自衛でなく相手の妨害を取り除く「任務遂行型」の武器使用を解禁した。


◆苦悩する自衛官

 「与えられた任務をこなすだけです」。三月上旬、名古屋市内で自衛隊入隊予定者の激励会があった。安全保障関連法について聞くと、自衛官の卵たちは前向きな言葉を連ねた。同様に答える現役自衛官も多いが、本音は単純ではない。
 関東に勤務する五十代の陸上自衛官は、海外派遣に賛同するインターネット上の過激な書き込みには「現実が分かってない」と首をかしげる。一方で「戦争法」という表現も「違う」と思う。
 海外で銃を構える自分が想像できない」という。入隊時から仕事は「国を守ること」だと自らに言い聞かせてきた。「給与・手当の問題、装備の充実を考慮すると、とんでもない額のお金が必要になるはず。こうした観点から安保法を考える人が少ないのは不思議です。その負担を強いられるのは国民なのに」

 航空自衛隊の中堅幹部によると、部隊の若い隊員の間では「海外に行けと言われれば行くしかない。今さら自衛隊は辞められない」「後方支援部隊までが海外に行くなら、日本も本格的に戦争に巻き込まれるな」という言葉が交わされるという。

幹部は「辞められないのは家庭があるから。本音は『海外は危険だから行きたくない』だ」と説明する。自身も「幹部自衛官だから『行きたくない』とは言えないが、射撃能力や体力が基準に満たない隊員も少なくない。海外に行けば間違いなく死者が出ると懸念を隠さない。

 中部地方の若手自衛官は、不安を口にする隊員に「死ぬ覚悟はないのか」と同僚が怒りをぶつけるのを見た。
 「命令されれば『職業軍人』として海外に行く。服務宣誓しているのだから当然」と言い切った後で、不安を明かした。「敵から撃たれる時のことを想像すると冷静にいられるのか…。銃を撃つ時も覚悟が必要になる。公には言えないが、はっきり言って怖い」




戦争は、ハリウッド映画やゲームとは、全く違うのに。
自民党の政治家には、戦争への、リアルな想像力がないのだろう。
世界の先進国が、やりたくてもできずにいる戦争放棄をうたった平和憲法を、戦後70年も保持している奇跡のような日本に、私は誇りを持っていた。
だのに、詐欺のような手法で、わざわざ、それを手放すようなことを選んだ。
平和憲法下でありながら、立憲主義を破壊し、ついに自衛官が、よその戦争に巻き込まれて死んでしまうかもしれない。
縁もゆかりもないよその国の人びとの怒りと恨みを買って、日本もテロ対象国となってしまう。
安倍政権の選択は、何につけても、ばかばかしいことばかりで、嫌になります。


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