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消えなかったミツバチが教えてくれるもの~「生物の多様性」の意味

2010年05月08日 | 消えたミツバチ
連休中にNHKの「いのちドラマチック」の「ミツバチ -家畜化された昆虫-」の回の再放送を一部、見る機会がありました。
ちょうど、私が見られたのは、数年来アメリカを席巻しているCCD(蜂群崩壊症候群・通称ミツバチイナイイナイ病)に関して、アメリカにCCDにならなかったミツバチがいたというところ。
アメリカやヨーロッパを中心にして、世界各国でミツバチが巣にもどらなくなって巣が崩壊してしまうという現象、ニュース当初から、気になっていた話題だったのでグッドタイミングでした。


●ハチ本来持っている生命力の強さがある

大規模な養蜂家のミツバチが大量失踪してしまうという現象が続く中、バーモンド州の養蜂家、ウェブスター氏のミツバチが、CCDに合わなかった理由。
それは、ハチ本来が持っている生命力の強さに気づいたことがきっかけでした。

養蜂業を始めて、3年目、ウェブスターさんの蜂の巣箱にダニが発生し、全滅しかけました。しかし、生き延びたハチがいたので、残ったハチで、養蜂を続けました。
翌年、ダニが再び発生しましたが、ハチたちはダニへの耐性を獲得していたのです。

普通の養蜂家は、ダニが発生すると、化学物質を使ってダニを駆除します。しかしそれは、巣全体の生命力を弱めてしまうことなのだと。

ウェブスターさんのやり方は、

※ダニが発生しても、あえて薬は使わない
※冬は、温暖な土地に巣箱を映す養蜂家が多い中、氷点下の屋外で育てる
※大規模農業に関わるミツバチのように、人工授精を行わず、自然交配にまかせる
 →早く飛べて強い選ばれたオスと交配できる


というものです。
そして、このやり方で育てられたウェブスターさんのミツバチは、全米を席巻した、CCDと無縁だったのです。
ただし、ウェブスターさんのやり方は、大量飼育には向かず、大規模農業に必要とされるハチの個体数をまかない切れないということです。


●負けることで進化する生命

分子生物学者・福岡伸一氏が、最後に述べられたことは、印象に残りました。
生物は、負けを経験することで進化する。
負けを経験せず、右肩上がりを維持していると、仕組みは破たんすると。
詳しくは、こちらをご覧ください。

福岡氏は、今回のCCDも、一つの負けとして受け止めています。戻ってきた個体もいることから、ハチのコロニーは再生していくだろうというご意見です。
CCDになったことが、「負け」であるなら、それによっても、なお、巣に戻ってきたミツバチから、CCDに、対応した新たに進化したミツバチが生まれる可能性があるなら、ちょっとした希望の展開ですが。
ただ、その再生には一つ大きな条件があります。(以下青字)

生物の「多様性」が担保されていることです。もし、多様性が失われて均質化してしまっていると、例えば、環境の変化や新しい病気が襲ってくることで負けてしまい、全部がやられてしまうことになります。
生物の多様性と環境に対する負け勝ちの連鎖こそが、私たちが生きているこの地球を鍛えているということになるのではないでしょうか。


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番組を見て、思ったことは、CCDとは、生き物であるミツバチを機械のように扱って、より多くの利益を得ようとする人間の欲望の裏返しで起こったことだと。(前からそう思ってはいたけれど、ますますその思いが強くなりました。)
ミツバチたちが本来もっている生命力を維持していれば、CCDは、起こりえなかった。人間の都合に合わせて、強引に変えてしまったから、しっぺ返しが来てしまったということにほかなりません。

また、福岡氏の言葉の中で、忘れてはならないのは、復活への絶対条件として、生物の多様性の担保があってこそ・・というところ。
しかし、大規模農業とそれを請け負うミツバチの仕事場に、多様性があるでしょうか。
大規模農業においては、どこまでいっても単一の作物、ミツバチ以外の昆虫は害虫として駆除されている現状。多様性の危機といえます。

グローバル経済には、限界があったと気づくとき。価値観の大転換期。
「生物の多様性」についての理解を深める時。
で、なければ、人間だってミツバチと同じことが起こる可能性だってないとはいえないじゃないかと。



だからこそ、毎度木村秋則さんを出してしまいますが、「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんですよ。
すべての命と共存しながら収穫を得るという木村さんの農業方法は、間違いなくお手本になるのではないかと思います。

たとえば、多様性のすごさを教えてくれる木村さんのスイカの話を一つご紹介しましょうか。
スイカを作っている農家は、必ずといっていいほど、カラスに実をやられてしまう被害があるものだとか。しかし、木村さんの畑のスイカは一度もやられたことがありません。
なぜかというと、草を抜かないから。スイカの模様を思い出して下さい。
あの緑と黒のシマシマ模様。あれは、草の中で鳥の目をくらますカモフラージュ模様だったんですって。
農家は、作物を育てるとき、どうしても草を抜いてしまいたがりますが、スイカの実は、草と共存していた、共生関係にあったんですね。
こういう話を知るたびに、目から、鱗がまた落ちたっていう感じです。

この時期に、木村さんて方は、天からの配剤かもしれないと、思ったりもするのです。
木村さんは、「負け」を、どれだけくりかえし、乗り越えてきたか。偉大なる敗者復活者でもあるのですね。
・・・って、私、木村さんにかぶれ過ぎてるかな(笑)


付記

消えたミツバチ問題(CCD)に関して、ブログ内のカテゴリ「自然からのメッセージ」から、「消えたミツバチ」というカテゴリを独立させました。
2007年5月より、情報を得るたびにメモ代わりに記事にしてきました。関心のある方はご覧くださいませ。

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4 コメント

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いつも・・ (はなこころ)
2010-05-10 15:13:03
興味深いお話
ありがとうございます。

みな
本来もっている生命力というものを
尊重すべきなのですね。

なにごとも・・そうかな。

少しの勇気が
実は、大きな成果を呼ぶのですね。

きんもくせいさん
今週もよろしくです。

・・はなこころ
返信する
はなこころさんへ (金木犀)
2010-05-10 21:44:20
いつもごあいさついただき、ありがとうございます。

>本来もっている生命力というものを
 尊重すべきなのですね。
>なにごとも・・そうかな。

健康な人でも1週間、横になったままなら歩けなくなってしまうといいますから・・・。
大事にするあまり、弱くなってしまうなら困りますもんね。
ミツバチだけじゃなくて、きっとすべての生命に通じることなのかもしれませんね。
子育てでも。

はなこころさん、よい1週間をね。
返信する
Unknown (大ちゃん)
2010-05-16 12:56:46
こんにちは。

「ミツバチ -家畜化された昆虫-」
私も見ました。
CCDにならなかったミツバチの話は、ほんと、興味深い話ですよね。

それにしても、木村秋則さんや養蜂家のウェブスターさんに共通する理念を私は、“自然力”重視、いやもっと言えば、“自然力”への畏敬の念、ということではないかと思います。
もしかしたら、自然力は生命力と言い換えることができるかもしれませんね。

そういえば、イギリスのケンブリッジ大学(?)の図書館に収蔵されている古い文献には「古来、イギリスでは、科学のことを“自然哲学”と呼んでいた」というような記述があるそうですが、その観点からすると、徹して自然を哲学する木村さんやウェブスターさんは、さしずめ最優秀の科学者といえるのかもしれませんね。
返信する
大ちゃんへ (金木犀)
2010-05-17 14:45:02
こんにちは~♪
大ちゃんもご覧になったのですね。
昨年末、我が家も地デジに買い替えて、あまりに画面がきれいで、びっくりしちゃって、一時テレビ三昧でした。
今は、落ち着いたけど(笑)

>木村秋則さんや養蜂家のウェブスターさんに共通する理念を私は、“自然力”重視、いやもっと言えば、“自然力”への畏敬の念、ということではないかと思います。

そうですねえ。畏敬の念ですよね。
たった今、NHKで、福岡伸一ハカセが出られてたのですが、ハカセになるきっかけになったのは、「センスオブワンダー=自然に驚く心」だったということを言われていました。
木村さんの話もウェブスターさんの話も、センスオブワンダーにあふれていて、本当に面白いです。

>その観点からすると、徹して自然を哲学する木村さんやウェブスターさんは、さしずめ最優秀の科学者といえるのかもしれませんね

私も、お二人は、実践を伴った科学者だと思います。
センスオブワンダーを唱えたレイチェル・カーソン女史も、福岡ハカセも、科学者ですもんね。
それと、センスオブワンダーのない科学者は、あまり信用してません(笑)
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