嘘の吐き方(うそのつきかた)

人はみんな嘘をついていると思います。僕もそうです。このページが嘘を吐き突き続ける人達のヒントになれば幸いです。

君たちはまるでここに存在していない。その証拠をここに差し出せ。

2007年11月16日 03時46分53秒 | 駄文(詩とは呼べない)
僕の悪意はとても伝わりやすいけれど
僕の善意はとても伝わりにくいものだ
なによりも、僕が僕の善意など、虫けら同然にしか思っていなくて、
そんなもの、ありはしないと説明し続けるのだから。

僕が俺の拘束の中にある限り、僕から決して漏れていかない秘密のように
僕が考えていることも、思っていることも、感じていることも、
すべてインチキな魔法に閉じ込められている。

そんなことに気を払わなくても、
世にある全てのものを当たり前として受け入れる事ができるなら、
最初から僕らの器は、容器は、
溢れ出す熱情も、妨げるための悪意も、善人を殺すために作られた僕の悪意も、
すべてが要素でしかない元の位置に戻っていく。

僕らは。

引力にも、斥力にも、打ち克たなくてはならない。
そうしなければ、そこに新しいちゃんねるは、生まれていかないのだから。

そうであるのなら、どんなに汚い言葉でののしり続けても、
きっと君の呼吸は僕に伝わるんだと思う。

それが信念の類であっても、宗教の類であっても、
僕は著作者ともとれる、神の言葉を殺すために、
あらゆる嘘を吐き続けねばならない。

あるいは、ならない、のか。

それでも。

いつかずっと遠い昔に、僕が間違えて僕を創り出したのなら、
いつかずっとずっと遠い夜空の向こう側で、
君を殺そうとする君よりも前に、
僕が君を殺してやりたい。

それは愛だとか真心だとかあやしげな言葉で
ものさしで測って欲しくない。

ただずっと向こう側にある、宇宙よりも遠いところにある、
創世の音を聞くために、僕らの幻聴は、今を知ろうとするのだから。

雷も紙芝居も要らない。
神様の嘘はもう聞きたくない。
誰とも会話なんかしたくない。
ただ、どうしてもひとりきりで対話したい。

君と話すために、僕と話すために、
「僕」も「君」も はやくなくなってしまえばいいのに。
まだ僕は、ここで僕を殺す事ができていない。
僕が僕を殺す事に成功すれば、
きっと君は、現実とか日常とか呼ばれるオカルトな魔術が、
あらわれ渡る、雲のせせらぎのようにさえ、感じられるかもしれないのに。
清々しい悪意の中で、周り中の人間を殺して歩けるようになるやも、
しれないというのに。

僕の悪意は、まだ僕を殺せていない。
ずっと死体から音を聞き続けているのに、
まだこんな現実を通して、向こう側の夢を見ようとする。

どうして僕はこんなに弱いんだろう。
どうして僕は立った一人の人間でさえ、
地獄に突き落とす事ができない悪魔なのか。

激しい衝動や反発心が、
周り中でうずまく善意の押しつけが、
いつかきっと僕を突き刺して、
僕の耳につんざくような終わりの音をごりごりと押し付けまごうて
悪意の透明人間に生まれ変わるはずだ。

もっと僕におまえらの汚い善意の排泄物をくれ。
もっと僕を汚してくれ。
必ず僕は、僕の世界を差し出して見せよう。

おまえら全員が発狂するくらいの、
美しい神の殺し方を、囁いてやる。

ここに今、お前らの魂の暗号が、
伝わらない言葉でしか、書きとめられないような日常はもうたくさんだろう。
さぁ差し出せ。お前らの魂を。
お前らの不在を。
お前らの死体から染み出したエトスを。

ルールを破ってもいい。
誓いを踏みつぶしてもいい。
あらゆる情動を、自我崩壊のために使っていい。
だからもっと激しい血液で。
刻み続ける何十億の呼吸を止めろ。

それがここに、お前らの不在を書き記す。
それを反転させる事で、
僕の文章は完成する。

残り時間は少ない。
さぁ差し出せ、お前の毒液を。

冷たい手で、麒麟に触る事はできなかった。

2007年11月16日 00時16分12秒 | 駄文(詩とは呼べない)
君は手が触れた感じがする、と言ったけど
僕には何も触れた感じがしなかった。
ずっと幽霊が石ころのまわりを彷徨っているような会話だった。
「会いたいですか?」
という君の問いに対して
僕は少しだけ考えて、「別に会いたいとは思わない」と答えたような気がする。
ほんとの事を言えば、ほとんどよく憶えていないのだけれど。

自分を欺いた時に使う言葉は、より深いあなぐらにもぐっていって
形がわからなくなる。
僕は僕が作った言葉を、ほとんどよく憶えていない。

結局いつも、僕が一番の嘘吐きなんだろう。

本当は何者かに会いたいとは思ったけれど、
それが用意されたものであるなら、決して口にしたくはないと思った。
呑み込む事も出来ず、吐き出す事もできないものなら、
最初から口にしたくはないと思ったから。
それは僕を通過する間、僕の中で痛みを発する固さと形でしか無いと思ったから。

本当に強い言葉は、熱を持って全てを溶かすように伝わるから。
僕は君の疑問に答える事もできなかった。

君は何かを知って欲しいと強く主張したけれど、
僕はそれを拒否した。
それが本当に君自身であるのかさえ、僕にはわからなかったし、
むしろ僕は君が回りの石ころを指さして、
この幽霊に会いたいですか?
と訪ねているようにさえ思ったから。

僕には自分の言葉が無いと指摘されたけど、
君にもやっぱり自分の言葉は無いんだな、と思った。
その悲しさを確かめる行為がおそろしくて、
僕は君の言葉を見ようともしなかったんだろうか。

輪郭が作り出す形が、その輪っかを何者かが通過するとき、
再び意味を発するのなら、僕たちは言葉を交わし合っているかもしれない。
けれど幽霊が一人の世界をずっとずっと彷徨っている中で、
風と会話しているような嘘でしかないのなら、
もう僕は君に会いたくはないのだろう。
君がもし、本当にそこにいるのなら、
僕はそれに会いたいと思った。
だけど用意された世界はいつも嘘で出来ていて、
それがいつも大人の汚れた嘘で出来ていて、
僕には知の輪くぐりをするような勇気が無かったから。
僕は全てを断った。

それがもし、僕の意志だと言うのなら、
ここにある僕の死体はなんなのだろう。

さまざまな憶測を呼び込んで、
それぞれに違う意味を発する、僕の言葉はなんなのだろう。
全てが1になるまえに、すべてが0であるのなら、
僕の言葉はここにない。
そして意味も、読者もここにはいない。

出会う事は恐ろしい。
知らない事は恐ろしい。
確かに君の言うとおりだ。

だけど僕は、嘘吐きな僕が一番恐ろしい。
だからただ、死に神の姿を鏡でひと目みたいと思った。
それがどんな姿をしていても、それを知る事さえできれば、
全ての世界が裏返るような気がしたから。

そしてそれを知る力は、まだ今の僕と君には無い。
もう少し、水が毒をうるおすなら、
僕は君のために砂を作っておこう。
その用意された砂が落ちる間だけ、
僕らは再び幽霊になれるかもしれない。

ふんだんに用意された水で、
冷たさだけを伝える言葉が、
僕の周りで、なみなみと溢れている。

ここしばらくの、喉の渇きをうるおすために。