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進む教育劣化 社会に出て「引き算」を習う大人たち

2020-07-04 17:54:13 | 日記
進む教育劣化 社会に出て「引き算」を習う大人たち

日経ビジネス

2019/10/29 10:13

「大人塾」には大卒の大手製造業、サービス業の現役社員も通う


日経ビジネス電子版

2019年10月。JR高田馬場駅から徒歩1分、早稲田通り沿いにある7階建てのビルの2階で、その「生徒」たちは一心不乱に答案用紙に向き合っていた。


問題用紙を見ると次のような問いが並ぶ。


「8-0.23=□」
「66.3÷1.3=□」
「桃を24個ずつ箱に詰めたら12箱になりました。9個ずつ詰めると何箱できますか」
「350ページの小説を140ページまで読みました。読み終えたページは全体の何%ですか」


見たところ、小学校高学年レベルの算数のようだ。


ただ、そこで格闘しているのは小学生でもなければ中学生でもない。10年も20年も前に義務教育を終えた「大の大人たち」だ。


■大手銀行でも新人の半分は消費税計算に苦戦


パソコン教室の運営を主力とするマミオン(東京・新宿、森万見子社長)が「大人のための算数・数学教室『大人塾』」を始めたのは11年秋。当初、受講生は月に数人だったが、現在はオンライン講座を含めて年間1000人以上が大人塾の門をたたく。

ここで算数・数学を学び直す理由は、正社員の登用や転職、昇格などの試験を控えているためだ。通う人のほとんどは誰もが知る大手製造業やサービス業で働く現役の社員で、大卒も多い。


「話を聞いて驚かれる方も多いが、つい先日も大手金融機関で新入社員200人に消費税の計算をさせたところ、半数が税抜き価格に1.08を掛けることができなかった。これが日本の現実」と森社長は話す。


大人塾の特徴は、前出の例題を見ても分かる通り、場合によっては「引き算」からやり直す「徹底した基礎固め」と、独自のスライド教材を活用した「気軽に楽しく算数を学べるカリキュラム」だ。卒業生からは「中学時代に大人塾があって数学の楽しさを知ることができれば、自分の人生は変わっていた」との感想が少なくない。

だが、大人塾のカリキュラムの優秀さや、大人になって初めて算数の大切さを知る人々が増えている現実を知れば知るほど、こんな不安を感じる方もいるに違いない。「そもそも日本の教育は大丈夫なのか」と。


世界的に見ても早く、明治期からスタートし100年以上の歴史を持つ日本の教育。とりわけ戦後70年以上、安定した平和と順調な経済発展の上に育まれた「日本型教育」は、国民にあまねく「全人的な学び」の場を提供できるシステムとして国際的にも評価されてきた。

もちろん課題はある。例えば、平均的児童を対象にした画一的教育の結果、米国の飛び級のような「できる子がその才能を一段と伸ばす環境」に乏しいという批判はその1つ。最近は、「ギフテッド」(天から与えられた)と呼ばれるIQ130以上の子供たちが、優秀であるが故に周囲から疎外される「浮きこぼれ」が問題になりつつある。


「天才や異才を育む仕組み」が日本の教育にない証としてよく取り沙汰されるのが学術論文の低迷だ。文部科学省の研究所はこのほど、世界から注目される論文の国別シェア(占有率)で、日本が05~07年の5位(3年間の平均)から15~17年(同)は9位へと低迷していることを公表。かつて「お家芸」とされた化学、材料科学、物理のシェア低下が目立つという。

それでもなお、多くの人は、「天才や異才を育てるのは苦手でも、社会で生き抜く必要最低限の知識をできるだけ多くの人に植え付ける」均質性の点では、日本の教育は世界トップクラスだろうと思っていたはずだ。「引き算」や「割り算」を学び直す大人たちの存在は、そうした楽観を根底から突き崩すといえる。


■日本の競争力はついに世界30位まで転落



日本の教育は、天才や異才だけでなく、簡単な数学的知識をはじめ「普通の人材になるための基本スキル」を国民に身に付けさせることも、実は、十分にできなくなりつつある――。そんな仮説が正しければ、事は学術論文の数が減るどころでは済まされず、日本企業の競争力そのものにも当然、影響を及ぼす。


その懸念は既に顕在化しつつある。


世界の政財界トップによって構成される「ダボス会議」で知られるスイスのシンクタンク「世界経済フォーラム」は10月9日、19年の国際競争力ランキングを発表。それによると日本は141カ国・地域中で6位と、前年の5位から総合順位を1つ落とした。


今年5月には、日本企業の生産性や国際競争力に関するよりショッキングなリポートが報告されている。同じスイスの有力ビジネススクールIMDの「2019年版世界競争力ランキング」がそれだ。

これによると、日本の総合順位は30位。比較可能な1997年以降では過去最低で、シンガポール(1位)、香港(2位)などの背中はほど遠く、中国(14位)やタイ(25位)、韓国(28位)をも下回った。

かつて日本が1989年から4年連続で世界1位を記録していた同調査だけに、その没落がうかがえる。


IMDの調査は「経済のパフォーマンス」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4項目が主な判断基準で、順に日本は16位、38位、46位、15位だった。ビジネスの効率性、つまり企業の生産性と競争力が足を引っ張っていることは明らかだ。ではその原因は何か。IMDの日本に対する提言は明確だ。

「Work-style reform and human resources development(働き方改革と同時並行で、人材開発を一層進める必要がある)」――。

では、日本がIMDの競争力ランキングで1位の座を奪い返すために育成を強化すべきなのは、どのような人材か。

そのヒントとなるのが、経済協力開発機構(OECD)による学習到達度調査PISA(ピサ)の成人版PIAAC(ピアック)だ。16歳から65歳の成人で24カ国・地域に居住する約15万7000人を対象にした最新の調査から導き出せる「日本が強化する余地のある人材」は次の3種だ。

1. 仕事に最低限必要な「読解力」を持つ人材

2. 仕事に最低限必要な「数的思考力」を持つ人材

3. 仕事に最低限必要な「IT活用力」を持つ人材


その程度の基本スキルは日本国民であれば現役世代の大半がとっくに身に付けていると思う人もいるかもしれない。

だが、PIAACを見る限り、日本人の現役世代の27.7%は「日本語の読解力の習熟度がレベル2以下」の状況にあり、例えば「図書館の図書目録を指示通りに検索し、指定された書名の著者を検索できない」可能性が高い。

■天才よりも「普通の人材」が不足している


数的思考力でも36.3%がやはり「習熟度レベル2以下」で、例えば「立体図を見ながら、その立体を分解すればどんな平面図になるか想像できない」恐れが強い。

さらに、ITを活用した問題解決能力でも53.6%が「習熟度レベル2以下」で、「届いた電子メールの文面から必要な情報を読み取り、会議室予約を代行することが難しい」可能性がある。

製造業であれ小売業であれ、上司からの指示やマニュアルの意味を理解し、顧客と円満な関係を築くには「相手の言葉を理解する読解力」が欠かせない。

生産ラインであれ営業現場であれ、計画を円滑に進めるには「時間や生産量を管理する数的思考力」が不可欠だ。IT化が進むオフィスで「IT活用力」が大切なのは言うまでもない。

もっとも、厳しい数字が並ぶPIAACだが、国際比較をすると日本の状況はさして悪くはない。

例えば「読解力」で言えば、確かに10人に3人は習熟度は低いかもしれないが、平均点は296点とOECD平均(273点)を大きく上回り1位。

つまり、日本も褒められたものではないが、他の国にはもっと母国語の読解力の低い人がたくさんいる。これをもってして「PIAACの結果は逆に日本の教育の質が高いことを示す証拠」との見方もある。

だが教育に詳しい専門家ほど、こうした楽観論には否定的だ。

日本は、日本で生まれ日本語を母語として育つ子供の割合が高く、移民の比率が高い国や多言語国家に比べ、「読解力」調査などではもともと圧倒的有利な立場にある。

十分なハンディをもらっているにもかかわらず、10人中3人が読解力が低いという現実をむしろ深刻に受け止めるべきだ――というのがその理由だ。

■「引き算を習う大人たち」が示す未来

人材難による企業競争力の低下が指摘される日本。だが、企業の競争力を下げているのは、天才や異才の不足というより「企業の現場で、上司の指示を理解し効率よく正確に作業を遂行する普通の人材」の不足である可能性が見えてきた。

だとすれば、要因の1つに「普通の人材になるための基本スキル」を国民に身に付けさせるはずの日本型教育の劣化があるのはおそらく間違いない。「社会に出てから引き算を習う大人たち」は、その兆候の1つでしかない。


(日経ビジネス 吉野次郎、山田宏逸、定方美緒、津久井悠太)


[日経ビジネス電子版 2019年10月15日の記事を再構成]

「与党圧勝はもろ刃の剣に」 木村幹教授、文政権の今後を展望

2020-07-04 17:43:05 | 日記
2020/04/17(金)


「与党圧勝はもろ刃の剣に」 木村幹教授、文政権の今後を展望


15日投開票の韓国総選挙(定数300)は、革新系与党「共に民主党」と同党が設立した事実上一体のミニ政党「共に市民党」が、改選前の計128議席から50議席以上伸ばし、単独で法案を処理できる180議席を確保した。

「巨大与党」の誕生は今後の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の政権運営や混迷する日韓関係、2022年の大統領選挙にどのような影響を与えるのか。神戸大学の木村幹教授に聞いた。


「残り2年の任期で文政権は真価を問われる」と話す木村教授(NNA撮影)


――革新系与党が圧勝した理由は。


「新型コロナウイルスの感染拡大を抑えた韓国の対策が世界で評価されている」という高揚感と「ここで気を緩めたら感染が再び広がり、これまでの努力が元のもくあみになってしまう」という危機感が、「現政権を支えなければ」という有権者の団結につながったと見るべきだろう。


――与党自体もこれほどの圧勝は予測していなかったようだ。


選挙が1カ月遅くても、1カ月早くても、違った結果になっていたはずだ。総選挙の実施は与党にとってこれ以上ないタイミングだった。雰囲気的には、200トンを超える金の寄付など、国民が団結してアジア通貨危機を乗り切った金大中(キム・デジュン)政権当時と似ている。


■「フリーハンド」手にした文政権


――文大統領は安定した政権運営を行えそうだ。


与党圧勝は文政権にとって「もろ刃の剣」だろう。180議席を確保して単独で法案を処理できるという「フリーハンド」を得た一方、財閥改革や検察などの権力改革といった公約が達成できなかった場合に、もはや言い訳ができない状況になってしまった。



残りの任期2年は、文政権にとって政権運営の真価を問われる期間となる。


■対日関係改善の動きも


――与党圧勝を受けて、文大統領はさらに対日姿勢を厳しくするか。


韓国の歴代大統領は任期終盤にレームダック(死に体)に陥り、支持率を回復しようと反日的な発言や行動を取ることが多かったが、文大統領には少なくともその必要がない。むしろ次期大統領の負担を軽減しようと、文大統領が関係改善に動く姿勢を見せてくるかもしれない。

ただし、両国の関係に大きな影響を与える元徴用工問題での譲歩を期待するのは難しいだろう。


――文政権は北朝鮮寄りの姿勢をさらに強めるのではないか。


文政権の外交はこれまで、北朝鮮との融和路線に多くのエネルギーと時間を割いてきたのは事実だ。一方で、今回の新型コロナへの対応が海外で評価されたことで、文政権は「韓国は国際的にもっと大きな役割を担えるのではないか」と自信を深めたように見える。

今後は視野を広げて、これまでの北朝鮮一辺倒から、米国や中国、東南アジアなどの周辺国の視線を意識したバランスの取れた外交を展開してくるかもしれない。


■2年後の大統領選も有利に


――次期大統領選の候補者レースについてはどうみるか。


李洛淵(イ・ナギョン)前首相が存在感を高めたことは間違いない。

しかし、共に民主党内での李氏の基盤は強いとは言えず、文氏に近い勢力との紛争の火種がくすぶる。李氏が足をすくわれることもあるだろう。


――保守系野党勢力の立て直しは可能か。


選挙結果を見れば、一定の支持基盤は存在する。ただ、人材難は深刻なレベルだ。当面は、立て直しに向けた「党の顔」を探すのに精一杯で、2年後の大統領選挙を意識する余裕すらないだろう。


――大統領再任制を盛り込んだ憲法改正の実現の可能性は。


権力の根本に関わる問題だけに、文政権としての本気度が問われる。

憲法改正を含め、文政権には国をどのように運営していくかという「グランドデザイン」が求められるようになった。

革新系はこれまで既得権益層に対する「抵抗勢力」として存在感を示してきたが、今後は「革新とは何か」とアイデンティティーを問われかねない。

(聞き手=坂部哲生)

文在寅、トランプと金正恩の間で「いいとこどり」をしてきたツケ…

2020-07-04 17:34:47 | 日記
文在寅、トランプと金正恩の間で「いいとこどり」をしてきたツケ


6/22(月) 6:31配信


現代ビジネス

“いいとこどり”政策に行き詰る文大統領
 
今回の爆破で一番困るのは文大統領だ。

 現在の文大統領にとって、反日と南北統一の重視以外に政権の存在意義を有権者に示す内容が見当たらない。

 韓国にとって最大の輸出先である中国は経済成長の限界を迎えつつある。

 輸出が減少する中で文政権は最低賃金を引き上げ、規制を強化し、企業の体力を奪ってしまった。

 その結果、若年層を中心に所得・雇用環境の悪化が顕著だ。

 外交面において、文氏は主要国から相手にされていない。

 米国は中国への半導体供給を見直すよう文氏に圧力をかけている。

 
中国は文氏に北朝鮮への対応を進めるだけでなく、半導体供給を続けるよう求めている。

 韓国が資材、資金、技術面で依存してきた対日関係の修復も難しい。

 その上、これまで対話を重視してきた北朝鮮からも恫喝されてしまっている。

 文政権は脱北者団体を刑事告発する方針を示したが、北朝鮮の強硬姿勢に大きな変化は見られない。

 トランプ大統領は北朝鮮制裁の1年延長を決め、北朝鮮の国内情勢は一段と厳しさを増すだろう。

 そう考えると、北朝鮮は韓国に支援させようと軍事挑発を続ける可能性がある。

 状況によっては、北朝鮮がこれまで以上に核開発を重視することも想定される。

 それは、韓国の社会心理にかなりの動揺を与えるはずだ。

 文大統領が南北統一を追い求める限り日米との関係は冷え込み、国際社会における韓国の孤立感は高まってしまう。

 そうした展開が現実のものとなれば、韓国から企業や資金が流出し、社会と経済の不安定感がさらに高まる可能性は排除できない。


真壁 昭夫(法政大学大学院教授)

破綻した偽装平和と独裁、混迷の韓半島   ボルトン回顧録で暴かれた詐欺行為

2020-07-04 17:07:02 | 日記
破綻した偽装平和と独裁、混迷の韓半島

ボルトン回顧録で暴かれた詐欺行為


統一日報

2020年07月01日 00:00
 
ジョン・ボルトン前米国安保補佐官の回顧録で、ソウルと平壌が混乱に陥った。最も打撃を受けたのは文在寅だ

金正恩を道連れと呼び、平和をもたらし、平和経済を推進すると内外を欺いた文在寅の詐欺行為が露呈したからだ。

回顧録は、金正恩がなぜ文政権に怒りを向けるのかを明快に説明している。

文在寅集団は羞恥心がないといえるだろう。一方、平壌側は米国の軍事力の前で怖じ気付いている。

米国大統領の安保補佐官が守秘義務を守らないのは望ましくないことだが、文在寅と金正恩という2人の悪党が野合し、芝居をしていた事実が露呈したのは貴重なことだ。

文政権が北側に非核化を一度も要求したことがないことも明らかになった。

文在寅はTVショーのような「6・25戦争70周年の追悼式」で、北韓を自由化しないと改めて宣言した。

文在寅のこの発言は、憲法違反で弾劾事由となる。トランプ大統領の韓国戦争記念碑への参拝の方が、はるかに格調が高かった。

文在寅が米国と平壌側から決定的に不信を買ったのは恥ずかしいことだが、ボルトン回顧録を通じて、金正恩と文在寅の目標が異なることが明確になった。

文政権も平壌側も、ウソと暴圧で体制を維持している点は同じであることもわかった。

平壌に対する観察ポイントが増えた。金正恩の身辺の異常により混乱をきたしている平壌側に、ボルトンの今回の回顧録がどう影響するだろうかが気になる。

ホワイトハウスを訪問した金英哲が、金正恩の親書を自動車に置き忘れて、通訳が急いで持って来たというエピソードが公開された。

この暴露でも金英哲が無事なら、彼は平壌の実力者であると見なすべきかも知れない。

金正恩が人民軍総参謀部の軍事行動保留を指示したというが、北側は「1級戦時勤務体系」を維持しており、訓練に突入する態勢だ。

平壌で餓死者が発生したことから、将校らの食糧配給を3分の1に減らしたが、それでも戦時態勢を維持したことは不思議なことだ。

北韓は軍閥体制に変わっているのか。

一方、不正選挙で絶対多数の議席を確保した文在寅政権も、焦りを隠しきれない。文

政権は議席比例で常任委員長を配分してきた過去32年間の国会の慣例を完全無視し、18の常任委員会の委員長を全部独り占めした。

平壌の最高人民会議や、中共の全人代のよう機械的な多数決機関にする心算だ。

文政権は尹錫悦検察総長を粛清することにすべてをかけている。

秋美愛法務長官は自ら紅衛兵を辞任した。内部では与党も次期権力を争うために分裂・暗闘が始まった。

文政権は現在、平壌をなだめるために、対北ビラを送る脱北者を弾圧している。

盧武鉉政権が大韓航空爆破犯の金賢姫を弾圧したときと同じだ。脱北者弾圧に放送を動員するのも同じだ。

ところがこういった状況のなか、文在寅の立場は非常に難しくなっている。

文政権が期待する習近平の中共が、米中戦争と北京ウイルス猖獗、自然災害で、対内外的に力を発揮し難いからだ。

日本人は「格差拡大」の深刻さをわかっていない

2020-07-04 16:53:39 | 日記
日本人は「格差拡大」の深刻さをわかっていない

コロナ禍で貧困層の雇用や教育環境が一層悪化

一部抜粋


Frontline Press
著者フォロー

2020/06/30 8:05


では、「ウィズ・コロナ」の社会で格差拡大を止めることができるのか。

「いちばん急いでやるべきことは、生活保護の要件の簡素化と手続きのスリム化です。

資産をどれだけ持っているかのチェックを一切省き、頼れる親族を探せとか、仕事を見つけろとかの条件を一切なくす。

ともかく、収入が激減し生活に困っているという条件だけで給付できるようにする。(社会の崩壊を防ぐ最低限の措置として)それが必要です。


正規労働者にも休業補償がある程度なされたり、労働組合も活発に動いたりしているので、問題は今のところ、大きく表面化はしていないかもしれない。ただ、生活保護の手続き簡素化などを講じないと、失業に伴う自殺者の激増も十分に考えられる状況です」

所得再分配を機動的に行うシステムが必要

もう1つの火急の対策は「所得の再分配を機動的に行うシステム構築」だという。

「今回の特別定額給付金のようなことを一過性のものとしないで、ベーシック・インカムの制度として定着させればいい(ベーシック・インカム=最低限の生活を営むに足る額の現金を、国民全員に無条件・無期限で給付する制度)。

ベーシック・インカムを全国民に共有させるためなら、マイナンバーと銀行口座のひも付けに反対する人もごく一部でしょう。毎月給付するかどうかは別にして、必要なときに直ちに配布できる体制を整える必要があります」

「中小企業向けの持続化給付金も1人10万円の特別定額給付金も、意思決定自体は実はそこまで遅くなかった。

問題は、実行できていないこと。日本の行政システムがいかに非効率だったか、完全にあらわになりました。


特別定額給付金を決めたのはだいぶ前なのに、いまだに給付が完了していない。行政システムの非効率を是正しなければ、この先、雇用も社会も持続できません」

取材:当銘寿夫=フロントラインプレス(Frontline Press)