韓国ウオッチングを続けていると、朴槿恵(パク・クネ)政権が温和な「親日」政権であったかのような錯覚に陥る。
後を襲った文在寅(ムン・ジェイン)政権が反対派に対してはどこまでも冷酷で、「反日」に続き「反米」も国内統治の常套(じょうとう)手段にしているからだ。
文氏の狙いは「保守派壊滅」による左翼政権の永続化だ。
そのための装置が、国会での強行採決で設置が決まった韓国版ゲシュタポ「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」だ。
公捜処が保守派弾圧に本格的に乗り出せば、「大流血事態」が不可避かもしれない。
振り返れば、大統領に当選した直後の文氏は「すべての国民のためのニコニコおじさん」の顔をつくっていた。
「従北・親中」は初めからだが、それでも米国との関係も大事にするとの“コウモリ顔”を崩さなかった。
しかし、彼は2020年の新年の辞と、年頭記者会見を通じて、国連の北朝鮮制裁決議、米国の独自制裁をすり抜けてでも、北朝鮮への資金提供をする意思を明確にした。
それに異議を唱えたハリー・ハリス駐韓米国大使に対し、大統領府、統一省、与党が一斉にヘイト攻撃をした。
これが大統領の意向に基づくことは、「強権大統領制国家」では当たり前のことだ。
日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄をめぐる過程でチラリと見せた「反米の地顔」をもはや隠さなくなったのだ。
年頭会見では「赤いタマネギ男」こと、チョ国(チョ・グク)前法相について、
「彼が今まで体験した(検察による)苦労だけで心に大きな負い目を感じている」
「(彼と彼の家族に対する)葛藤はもう終わらせてほしい」と“愛情表現”をはばからなかった。
チョ国氏をはじめとする大統領府関連のスキャンダルを捜査していた上級検事22人を一挙に左遷したことについては「大統領と法相の人事権を尊重してほしい」と開き直った。
これは、「ウリ(=韓国独特の身内意識)の不正に文句を付ける輩は許さないぞ」と言ったのも同然だ。
「すべての国民のため」ではなく、「ウリ(=すなわち左翼陣営)だけのため」の大統領であること、「反対派には冷酷な独裁者」の地顔も隠さなくなったのだ。
最近、天安(チョナン)の警察は、誰でも通行可能な大学のキャンパスに入り、大学の建物の壁面に政権批判のパロディーポスターを張った若者を、大学が被害届を出したわけでもないのに、「建造物不法侵入」の容疑で逮捕した。検察は警察の言う通り処理し、裁判所は即決裁判で若者に有罪判決を下した。
「強権大統領制国家」の司直は、大統領の意向を忖度(そんたく)して、政権批判のポスター掲示を取り締まることにしたと見るほかない。
この事件に関してもそうだが、韓国の保守系マスコミは最近しばしば「軍事独裁政権の下でもなかったこと」といった表現を使うようになった。
文政権のやり口は、軍事独裁政権よりもひどいということだ。
英エコノミスト誌は何を勘違いしているのか、民主主義指数で韓国をアジアトップとするランキングを発表した。
韓国のマスコミはランキング報道が大好きだ。日本よりも上という結果なら、大喜びして日本向けに書き立てるはずだが、韓国紙の日本語サイトにはどこにも載っていない。なぜだろうか。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。著書・共著に『悪韓論』(新潮新書)、『崩韓論』(飛鳥新社)、『韓国リスク』(産経新聞出版)など多数。
後を襲った文在寅(ムン・ジェイン)政権が反対派に対してはどこまでも冷酷で、「反日」に続き「反米」も国内統治の常套(じょうとう)手段にしているからだ。
文氏の狙いは「保守派壊滅」による左翼政権の永続化だ。
そのための装置が、国会での強行採決で設置が決まった韓国版ゲシュタポ「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」だ。
公捜処が保守派弾圧に本格的に乗り出せば、「大流血事態」が不可避かもしれない。
振り返れば、大統領に当選した直後の文氏は「すべての国民のためのニコニコおじさん」の顔をつくっていた。
「従北・親中」は初めからだが、それでも米国との関係も大事にするとの“コウモリ顔”を崩さなかった。
しかし、彼は2020年の新年の辞と、年頭記者会見を通じて、国連の北朝鮮制裁決議、米国の独自制裁をすり抜けてでも、北朝鮮への資金提供をする意思を明確にした。
それに異議を唱えたハリー・ハリス駐韓米国大使に対し、大統領府、統一省、与党が一斉にヘイト攻撃をした。
これが大統領の意向に基づくことは、「強権大統領制国家」では当たり前のことだ。
日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄をめぐる過程でチラリと見せた「反米の地顔」をもはや隠さなくなったのだ。
年頭会見では「赤いタマネギ男」こと、チョ国(チョ・グク)前法相について、
「彼が今まで体験した(検察による)苦労だけで心に大きな負い目を感じている」
「(彼と彼の家族に対する)葛藤はもう終わらせてほしい」と“愛情表現”をはばからなかった。
チョ国氏をはじめとする大統領府関連のスキャンダルを捜査していた上級検事22人を一挙に左遷したことについては「大統領と法相の人事権を尊重してほしい」と開き直った。
これは、「ウリ(=韓国独特の身内意識)の不正に文句を付ける輩は許さないぞ」と言ったのも同然だ。
「すべての国民のため」ではなく、「ウリ(=すなわち左翼陣営)だけのため」の大統領であること、「反対派には冷酷な独裁者」の地顔も隠さなくなったのだ。
最近、天安(チョナン)の警察は、誰でも通行可能な大学のキャンパスに入り、大学の建物の壁面に政権批判のパロディーポスターを張った若者を、大学が被害届を出したわけでもないのに、「建造物不法侵入」の容疑で逮捕した。検察は警察の言う通り処理し、裁判所は即決裁判で若者に有罪判決を下した。
「強権大統領制国家」の司直は、大統領の意向を忖度(そんたく)して、政権批判のポスター掲示を取り締まることにしたと見るほかない。
この事件に関してもそうだが、韓国の保守系マスコミは最近しばしば「軍事独裁政権の下でもなかったこと」といった表現を使うようになった。
文政権のやり口は、軍事独裁政権よりもひどいということだ。
英エコノミスト誌は何を勘違いしているのか、民主主義指数で韓国をアジアトップとするランキングを発表した。
韓国のマスコミはランキング報道が大好きだ。日本よりも上という結果なら、大喜びして日本向けに書き立てるはずだが、韓国紙の日本語サイトにはどこにも載っていない。なぜだろうか。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。著書・共著に『悪韓論』(新潮新書)、『崩韓論』(飛鳥新社)、『韓国リスク』(産経新聞出版)など多数。