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国の破産も招きかねない韓国における家計債務の実態

2020-07-10 11:52:04 | 日記
国の破産も招きかねない韓国における家計債務の実態


2020/01/30 20:40


■要旨

韓国における家計債務が継続的に増加している。2019年第3四半期末の家計債務総額は1573兆ウォンで、前年同期比で3.9%増加した。

韓国における家計債務が増加している理由としては、

(1)低金利が長期間続いたこと、(2)韓国政府が住宅ローン貸し出し規制を緩和したこと、(3)早期退職者が自営業を開業するための資金を確保するために貸し出しを新生したこと等が考えられる。

家計債務の増加は家計の消費支出の減少による内需の縮小や経済成長率の鈍化、そして金融システムのリスク増加をもたらす恐れがある。


韓国政府は家計債務の問題を慎重に受け入れ、解決のための対策をさらに講じる必要がある。

現在、韓国が抱えている家計債務の問題はただ個人の問題ではなく、金融危機やそれによる国家破産の原因にもなり得ることを忘れてはならないだろう。

■はじめに

韓国における家計債務が継続的に増加している。2019年第3四半期末の家計債務総額は1573兆ウォンで、前年同期比で3.9%増加した。

家計債務とは、家計部門が抱える金融機関などからの借金のことであり、住宅や自動車のローン、クレジットカードを使った借り入れなどが含まれる。

OECD加盟国における家計債務の対可処分所得に対する比率を見ると、韓国は186.0%と、データが利用できるOECD加盟国の中で6番目に高く、日本の107.3%を大きく上回っている

しかも、過去10年ほどの上昇率も他の国を上回っている。

韓国政府がOECDにデータを提供し始めた2008年と直近2017年のデータを比較してみると、

韓国の家計債務の増加率は29.8%で、スロバキアの57.9%に次いで2番目に高く、OECD加盟国の平均増加率2.4%を大きく上回っている。

■債務が多いのは40代と自営業者の世帯及び高所得世帯

一方、韓国統計庁、金融監督院、韓国銀行が2019年12月に発表した「2019年家計金融・福祉調査結果」によると、2019年3月末の韓国の1世帯当たりの家計債務は7910万ウォンで、前年同月の7668万ウォンに比べて3.2%増加した。

債務を抱えている世帯の割合は63.8%で、その額は「1千万ウォン以上~3千万ウォン未満」が17.5%と最も多く、「2億ウォン」以上も17.2%を占めた。

世帯属性別に見ると、40代世帯と自営業者世帯の家計債務が多いことが示されている。

また全世帯を5等分した所得五分位階級別に見ると、所得が最も多い第V階級が44.8%、次に所得が多い第Ⅳ階級が24.9%で、所得上位40%の世帯が家計債務の69.7%を占めることが明らかになった。

家計債務の内訳は、住宅購入などの住宅担保貸出が57.9%と最も多く、次いで賃貸保証金(27.2%)(家を借りる時にまとまった保証金を家主に預けると月々の家賃が免除される独特のシステム)、信用貸付(9.9%)の順であった。

■債務増加の第一の原因:低金利

では、なぜ韓国では家計債務が急増しているのだろうか。

第1に考えられる理由として、低金利が長期間続いたことが挙げられる。

2008年8月に5.25%まで上がった韓国銀行の基準金利はその後低下し続け、2019年12月には1.25%まで低下した。

基準金利の影響を受け、金融機関の貸出金利も低下している。例えば、アジア経済危機の影響により1998年第2四半期に17.7%にまで上昇した「銀行の信託勘定家計貸出金利」は、2017年第2四半期には2.89%まで低下した。

不動産価格が上昇する中で、低金利貸出に対する需要が増加し、その結果債務も増加したと考えられる。

但し、最近は韓国銀行が基準金利を引き下げているにも関わらず、金融機関はむしろ貸出金利を引き上げる傾向が強くなっている(2019年第3四半期末の金利は3.83%)。

その背景としては金融委員会が家計貸出の急増を防ぐために、家計債務の対前年比増加率を5%以内に抑制する目標を設定したことが挙げられる。

金融機関は、貸出総額の増減率が政府の目標値を超えないように、加算金利を引き上げたり、優遇金利を縮小しているので、家計に対する貸出金利が上昇しているのである。

■債務増加の第二の原因:住宅ローン貸し出し規制の緩和

家計債務が増加した二つ目の理由としては、住宅ローン貸し出しに対する政府の規制が緩和されたことが挙げられる。

政府は2014年に不動産市況活性化のために、個人向け貸し出し「LTV(担保認定比率:住宅を購入するときにその住宅価値のどのぐらいまで銀行から貸してもらえるかの比率=Loan to Value Ratio)」と「DTI(返済比率:住宅担保貸出に対する元利金返済額が所得に占める比率=Debt to Income Ratio)」という家計貸出の審査基準を緩和した(LTVは全国同一に70%で、首都圏だけに適用するDTIは60%に引き上げた)。

その結果、住宅を購入するときはその住宅価値の70%までの金額を銀行から貸出することが可能となり、所得の60%水準までは借金して不動産を購入することができるようになった

その結果、家計債務が増え続け、不動産投機によって不動産価格が高騰すると、韓国政府は2017年6月に「6.19不動産対策」を発表し、2017年7月からLTVは既存の70%から60%に、DTIは既存の60%から50%に引き下げ、貸出審査を厳しくした。

また、2017年8月には「8.2不動産対策」を発表し、「投機過熱地区」に指定された地域に対してはLTVとDTIの基準を40%に引き下げるなど貸出基準をより強化した。

さらに、金融委員会は、DTIには反映されない信用貸出、自動車ローンなどすべての金融圏貸出の元利金返済能力を表す指標である「DSR」を2018年10月から銀行圏(一般銀行、地方銀行、特殊銀行)に導入し始めた。

DSRとはDebt Service Ratioの頭文字で、債務返済額(元利金)が可処分所得に占める比率である。

金融委員会は、DSRが70%を超える場合を「高リスク」と分類し、一般銀行の場合、新規貸出金額のうちDSRが70%を超える貸出は全貸出の15%以内、DSRが90%を超える貸出は全貸出の10%以内に制限するように勧告している。

さらに、金融委員会は、2021年末までの平均DSRを、一般銀行は40%、地方銀行と特殊銀行は80%以内に下げる方針である。

このように、現在では貸し出し規制は厳格化されているが、過去の緩和期に増加した家計債務が依然として尾を引いている。

■債務増加の第三の原因:早期退職者の自営業開業資金

家計債務が増加した三つ目の理由としては景気低迷などの影響で早期退職した中高年齢者などがチキン店などの自営業を始めるために貸出をするケースや低所得層が生活費をまかなうために貸出をするケースが増加したことが考えられる。

韓国では2013年4月30日に「雇用上の年齢差別禁止および高齢者雇用促進法改正法」(以下、「高齢者雇用促進法」)が国会で成立したことにより、2016年からは従業員数300人以上の事業所や公的機関に、さらに2017年からは従業員数300人未満のすべての事業所や国、そして地方自治体に60歳定年が義務化されている。

しかしながら60歳定年が義務化される前には多くの労働者が50代前半に会社を辞めており、生活のために自営業者になるケースが多く、2018年時点でも自営業者の割合は25.1%に達している。

■金融危機の原因にもなりうる

家計債務の増加は家計の消費支出の減少による内需の縮小や経済成長率の鈍化、そして金融システムのリスク増加をもたらす恐れがある。

最近、韓国政府が貸出に対する規制を強化することにより、家計債務の増加速度は少し緩やかになっている。

しかしながら、規制が強化されることにより、所得に占める元利金の返済比率が高い低所得層や非正規労働者世帯、そして零細自営業者は、以前よりお金を借りることが難しくなり、返済や家計のやりくりに苦労している。

また、彼らの多くは債務を返済するために消費を減らす選択をするだろう。

もっぱら債務の返済のために働き続けると、生きることに精一杯になり、将来について考える余裕もなくなっている。

働いても働いても豊かになれない世帯が増え続け、格差は広がる一方である。従って、今後、韓国政府は家計債務の問題を慎重に受け入れ、解決のための対策をさらに講じる必要がある。

現在、韓国が抱えている家計債務の問題はただ個人の問題ではなく、金融危機やそれによる国家破産の原因にもなり得ることを忘れてはならないだろう(1)。

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(1) 本稿は、金 明中(2020)「曲がり角の韓国経済 第49回 政府の大きな悩み、増え続ける家計債務」2020年1月10日、東洋経済日報を修正・加筆したものである。

金 明中(きむ みょんじゅん)

ニッセイ基礎研究所 生活研究部 准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

世界が見捨てた文在寅…IMFの経済成長下方修正に韓国民総悲哀

2020-07-10 11:31:38 | 日記
世界が見捨てた文在寅…IMFの経済成長下方修正に韓国民総悲哀

7/10(金) 9:16配信

プレジデントオンライン

■IMFの世界経済見通しも手探り、韓国だけが下方修正ではない

 韓国は、国際通貨基金(IMF)が6月に出した、今年の韓国経済成長率の下方修正について「過激だ」との意見を述べています。

IMFが4月に報告したマイナス1.2%からマイナス2.1%へと0.9%下方修正されたわけですが、世界全体も1.9%の下方修正となっており、この下方修正に過敏に反応する必要性などないように感じます。

IMFに「物申す」背景には韓国国内の苦しい経済状況があるのです。

韓国銀行によれば、新型コロナウイルスの影響が年末まで続く場合、最大76万世帯が破産し、50.5%と半分以上の企業が利子を払えなくなる事態が起きかねないと警告しています。過度な家計・企業負債の膨張は非常に危険だと言えます。

 6月、IMFは「類例のない危機、不確実な回復」と題し、4月の「世界経済見通し(WEO)」の予想から下方修正を発表しています。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、2020年前半の経済活動に予想以上のマイナス影響を及ぼしており、回復の見通しも、もともとの予想よりも緩やかになると報告しています。

世界全体として、とりわけ低所得世帯への打撃が深刻で、さらなる貧困の拡大が懸念されているのです。

韓国だけが成長率を下方修正されたわけではなく、IMFは世界の感染状況と経済活動の回復を考慮し、柔軟に見通しを変更しているにすぎないのです。


■韓国銀行のイ・ジュヨル総裁が反論「過剰な調整」

 それにもかかわらず、下方修正を受けて、韓国銀行のイ・ジュヨル総裁は、「韓銀の1カ月前の韓国経済成長率展望値をマイナス修正しなければならないほど大きな環境変化があるとは思わない」という見解を明らかにしています。

さらにイ総裁は、6月25日、「物価安定目標の運営状況点検」についての記者懇談会で「IMFが世界経済展望値を大幅に引き下げ、韓国に及ぼすショックの度合いをやや過剰に調整したのではないかという印象を消すことができない」と話しています。

 また、IMFの見通しについて韓国政府は、「わが国は先進国のなかで唯一、来年末にGDP=国内総生産が新型コロナウイルスの感染拡大以前の水準に回復すると予想されている」として、「感染防止対策の成果が反映されたものとみられる」と説明をしています。

 そもそも、韓国の2カ月で0.9ポイントの引き下げは「過激」なのでしょうか。

他国と比べると、

アメリカは▲5.9%から▲8%へ2.1%の下方修正、

日本は▲5.2%から▲5.8%への0.6%の下方修正、

ユーロ圏は▲7.5%から▲10.2%の2.7%の下方修正となり、

開発途上国として分類される中国は1.2%から1%への0.2%の下方修正となっています。

 4月時点での韓国の経済見通しがマイナス1.2%とそもそも凹みが少ない予想となっており、今回の0.9%の引き下げはそれほど目くじらを立てる必要性はないでしょう。

韓国経済は雇用情勢が悪化しており、「持てる者と持たざる者」の格差が開いていることから、国内での不満がたまっています。

国外に視点を置き換える政治手法によって国民の怒りの矛先をそらしているため、今回もその一環だと言えるでしょう。

■韓国の家計と民間企業の負債、GDPの2倍超

 韓国では格差に伴い、家計の負債が増加しています。中央日報によると、「韓国の家計と民間企業の負債が初めて国内総生産(GDP)の2倍を超えた」と伝えています。

韓国銀行によると、民間信用(貸付・債権など)は3月末現在で3866兆ウォン(約344兆円)に達し、GDP比201.1%を記録しています。

債務増加速度も急で、GDP比の民間信用の割合はこの1年間で12.3ポイント上昇していました。そのさなかに新型コロナウイルス問題が起きたのです。

 追い詰められた自営業者は最悪の事態に備えて現金確保に乗り出しました。

4~6月期には民間信用の割合がさらに急上昇する可能性が高いです。

最初に述べましたが、韓国銀行は新型コロナウイルスの影響が年末まで続く場合、最大76万世帯が破産し、50.5%と半分以上の企業が利子を払うことすらできない事態が起きうると警告しています。


■未来を描く「韓国版ニューディール」

 雇用の逆風も続いています。韓国統計庁が6月10日発表した5月の失業率は4.5%に悪化し、2010年1月以来、10年ぶりの高水準となっています。

文政権は公約として「81万人の雇用創出」を掲げていましたが、結果は、高齢層の雇用拡大が進み、若者の雇用状況は改善されていない状態が続いています。


そこで、今年、6月3日に文在寅大統領が未来へのビジョンとして「韓国版ニューディール」を実施することを発表しています。

内容は「2022年までに55万の雇用を創り、2025年までに76兆ウォンを投資するという計画」だと明らかにしています。

 この、韓国版ニューディールは雇用の安定化を基に「デジタルニューディールとグリーンニューディール」という2本柱で推進される予定です。

「デジタルニューディール」には13兆4000億ウォンを投資し、33万の雇用を創出するという構想です。

データ・ネットワーク・人工知能の生態系の強化、デジタルおよびセーフティネットの構築、非対面産業の育成、SOC(社会間接資本)デジタル化の4つのテーマで進められる予定です。

 「グリーンニューディール」は12兆9000億ウォンを投入し、13万3000人の雇用を創出する計画です。

都市・空間・生活インフラの緑化転換、グリーン産業の構築、低炭素・分散型エネルギー拡散などが含まれています。

韓国政府は今後、追加課題を補完、拡大し、7月中に総合計画を発表する予定です。

■大恐慌を乗り越えた米ニューディールの本質とは

 そもそも、ニューディール政策とはアメリカで世界大恐慌後に公的年金や失業保険を創設し、大きな政府に舵を切ったフランクリン・ルーズベルトの政策です。

不況では国民がお金を使わなくなるため、その分を政府が供給するというもので、“お金のバラマキ”を行う政策だと言われています。

ニューディールは政府が財政を用いて雇用を生み出し経済を活性化させたことに焦点が当たりやすいですが、重要な点はそれだけはないのです。

むしろ、公共工事などの、土木工事の効果はさほど大きくはなく、財政拡張にも限界がありました。

 本当に重要なのは、ディール「契約」の部分です。

ニューディールは、既得権益者だけが有利になる契約ではなく、権力関係と不平等な経済を改革していった新しい「契約」だったのです。

具体的には、1935年のワグナー法は、団結と団体交渉など労働者の基本権を保証して最低賃金制を取り入れ、労働者の交渉力を強化しています。

また社会保障法は、雇用保険や年金などの社会のセーフティネットを確立し、ルーズベルトは富裕層に対する最高所得税率も引き上げました。

この歴史的事実から、現代でもニューディールをうたうならば、既得権にメスをいれつつ、脆弱(ぜいじゃく)な労働者を保護する必要があります。

■韓国のニューディール政策は不十分

 過去のニューディールは、上で述べたように米国の深刻な不平等さの中において共存の秩序を探すものでした。

では、韓国には何が必要なのでしょうか。それはやはり格差の是正です。韓国経済に存在する巨大な財閥は経済のバランスを歪めています。



 韓国財閥は、中小企業の製品を買いたたくことで利益を伸ばしています。

その結果、韓国では中小企業は成長が見込めない状態になっています。

真の意味のニューディールならば、財閥、下請けの中小企業、労働者、政府が譲歩を行い、秩序を保つ方法を探さなければならないでしょう。

韓国版ニューディールには、非対面産業の育成などの産業政策に力を入れていますが、「持てる者と持たざる者」の格差が深刻化する韓国社会に希望を与える内容も盛り込まれなければ、抜本的な解決にはならないでしょう。



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馬渕 磨理子(まぶち・まりこ)
テクニカルアナリスト
京都大学公共政策大学院を卒業後、法人の資産運用を自らトレーダーとして行う。その後、フィスコで、上場企業の社長インタビュー、財務分析を行う。
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