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GDPは韓国並み、経済ジリ貧でも軍事超大国の理由 ロシアは小国

2023-06-06 17:27:42 | 日記
【ロシアの歴史と国民性】

GDPは韓国並み、経済ジリ貧でも軍事超大国の理由

ダイヤモンド編集部 国際・中国週刊ダイヤモンド特集セレクション2022.3.17 


GDPは韓国並み。経済もジリ貧。にもかかわらず軍事超大国としての存在感を強めるロシア。

プーチン大統領が発揮する力の源泉は、世界最大の核戦力を背景とした強権的外交にある。

なぜロシア人は領土に対する強いこだわりを持つのか。なぜ強いリーダーを好むのか。

「週刊ダイヤモンド」2017年1月28日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

世界最大の核戦力を背景とした強権的外交

  彼のつぶやきは、ソ連崩壊後の約25年間で最悪の状態に陥っていた、米ロ関係の雪解けを思わせるには十分だった。

 最高権力者の座に就く直前の2017年1月7日、「私が大統領になれば、ロシアは私たちへの尊敬を強くして、協力して世界の問題を解決できる」。

米国のトランプ大統領はツイッターにそう書き込んだ。

 14年のクリミア半島の武力併合後、国際社会からの孤立を深めていたロシアを取り巻く環境は、対ロ協調路線にかじを切るとみられるトランプ政権の誕生で大きく変わり、ロシアはわが世の春を迎えることになりそうだ。

 しかしそれは同時に、世界史を塗り替える事態を引き起こすリスクをもはらんでいる。

 ロシアの名目GDP(国内総生産)は世界12位で、韓国と同程度の経済力しかない。

クリミアの強引な併合に伴う制裁で経済もジリ貧だ。

にもかかわらず、ここ数年、権謀術数が渦巻く国際政治の舞台でプーチン大統領が発揮するパワーは超大国のそれだった。

 例えば、米国に代わって内戦が続くシリアの停戦合意を主導、中東での指導力をにわかに強めている。

その一方、欧州ではロシア国境へと勢力を広げる西側の軍事同盟NATO(北大西洋条約機構)に対抗するため、自国の飛び地カリーニングラードに核弾頭を搭載可能な弾道ミサイルを配備して、欧州諸国を激しく揺さぶった。

 力の源泉は世界最大の核戦力を背景とした強権的外交にある。

米ロ協調が実現すれば、プーチン大統領はその中央集権的な独裁色を濃くし、さらなる「横暴」を世界に振りまくことになろう。

 ロシアにはそんな「力」を許容する土壌がある。


韓国・最大野党が国政放棄、「党代表の逮捕妨害」に躍起のあきれた実態

2023-06-06 16:39:40 | 日記
韓国・最大野党が国政放棄、「党代表の逮捕妨害」に躍起のあきれた実態

武藤正敏:元・在韓国特命全権大使

国際・中国元駐韓大使・武藤正敏の「韓国ウォッチ」

2023.2.21 4:17

国政課題の審議を
サボタージュする民主党
 韓国の全国紙である東亜日報の報道によれば、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足から9カ月がたったが、その間、政府の国政課題の実現に向けて提出された5つの法案のうち、4つが国会の「敷居」を超えられず、成立できなかったことが判明した。
 韓国の国会は2020年4月に総選挙を行い、「共に民主党(民主党)」は系列の比例代表政党「共に市民党」と合わせて、全議席数300の6割に当たる180議席を獲得し、圧倒的な勝利を収めた。その要因となったのが、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えた文在寅(ムン・ジェイン)政権の対応が評価を得たことである。民主党は現在でも169議席を保有している。

 与党が絶対的に多数の議席を確保したならば、国益に資す国政課題の実現が容易となったはずである。しかし、文在寅政権はこの総選挙での勝利は文在寅政権が掲げる政策が国民の支持を得たものと誤解し、社会主義的な法案を国会で相次いで議決した。
 しかも、国会での議決にあたっては、当時の野党である未来統合党(現在の与党「国民の力」)に対し、法案について検討する時間も与えず、国会でほとんど審議しないまま強行採決するようになった。これは韓国国民が期待する民主主義的な手法とはとてもいえないが、50代を中心とする文在寅政権支持派に守られて法律となってきたのである。
 民主党は、政権交代で野党となると、一転して国政課題の審議をサボタージュするようになり、国会は機能を停止している。今、民主党が国会で行っていることは、多数の議席を利用した検察への抵抗であり、民主党の権限と組織の防衛である。
 検察は2月16日、民主党代表の李在明(イ・ジェミョン)氏に対して逮捕状を請求しており、民主党が党論をまとめて李在明氏を逮捕から守れるかが焦点になっている。

文在寅政権は圧倒的多数の議席数で
韓国の社会主義国家化を進めた
 文在寅政権が国会の絶対的多数の議席を利用して進めた社会主義的改革、従北主義政策の代表的なものは次の2つである。
 一つ目は、韓国国会が2021年1月に議決した「重大災害処罰に関する法律」である。
 これは「重大産業災害」および「重大市民災害」が発生した場合、事業主、経営責任者および法人などに刑事罰を科すことができるようにする法律である。
 しかし、その判断基準が曖昧であり、こうした法律は韓国製造業の新規投資を阻害する要因となっている。経済界は当初から懸念を示していた。しかし、この法律は、過激労組・民主労総が求めていたものであり、労組重視の立場を取る文在寅政権は態度を変えることはなかった。

 二つ目は、いわゆる「対北朝鮮ビラ禁止法」だ。
 北朝鮮から脱出してきた人々は、北朝鮮の人々にその実態を知らせようとして、風船に乗せたビラを散布してきた。だが、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の妹の与正(ヨジョン)氏が「禁止する法律を作れ」と一喝すると、2020年12月「南北関係に関する法律」を改正して「対北朝鮮ビラ禁止法」を強行制定した。
 金大中政権で統一相を務めた康仁徳(カン・インドク)氏は「対北放送・ビラは戦略資産、心理戦を展開する必要がある」と述べている。
 金正恩総書記による、北朝鮮住民の苦境を無視した強引な核・ミサイル開発をけん制するために、北朝鮮住民には真実を伝える必要がある。

民主党の妨害により
国会は機能不全に
 民主党は、文在寅政権時代には民主主義を装いながら、国会で強行採決を乱用し、民主主義国家にはふさわしくない法律を次々に制定してきた。しかし、尹錫悦大統領の政権が樹立されると、自らにとって不都合な法律は審議を妨害し、韓国経済を停滞から脱出させるための法律や政策も、労働組合の意向を忖度し、妨害している。
 2月7日、東亜日報が国会議案情報システムなどを通じて分析した結果によると、先月までに国政課題の実現に向けて国会に提出された法律の制定・改正案は計276件。このうち、国会本会議を通過した法律は57件(20.7%)に留まっている。残りの219件はまだ国会係留中である。

 一方、政府が独自に修正できる施行令、施行規則は制定・改正が迅速に行われている。政府は先月までに52%にあたる115件の整備を終えた。
 国会で足踏み状態となっている国政課題法案の中には、韓国経済の成功を図り、民生と安全を厚く保護するための法案がある。ベンチャー・スタートアップ創業者の経営権を保護するために1株当たり複数の議決権を認める複数議決権導入法案は、民主党の反対で1年以上国会で議論されている。
 貸借詐欺を防止するための対策の一つである「悪質な賃貸借人名簿の公開」も、昨年の国会の混乱で審議が行われなかった。
 西江(ソガン)大大学政治外交学科の李賢雨(イ・ヒョンウ)教授は「経済危機をはじめ国家が転換期の危機に直面している状況で」「国民が要求し、悩んでいる部分を、より積極的に立法に反映する政策が中心の政党に移行しなければならない」と指摘した。民主党の真摯なる反省を求めたい。

民主党がやっていることは
李在明代表の逮捕妨害ばかり
 その一方で民主党が力を入れているのは、検察による李在明代表の捜査・逮捕を妨害することに尽きる。
 李在明代表は、これまで3度(先月10日、28日、今月10日)検察に出頭を求められ、捜査が進められてきたが、16日ついに逮捕状が請求された。
 逮捕容疑は、特別経済犯罪加重処罰法上の背任、利害衝突(利益相反)防止法違反、腐敗防止法違反、特別経済犯罪加重処罰法上の贈賄罪、犯罪収益隠匿規制法違反である。
 検察によれば、李在明代表は城南(ソンナム)市長時代の都市開発のうち、大庄洞(デジャンドン)事業で超過利益の扱いに関し決定権を行使し、2014年8月から今年1月までに城南都市開発公社に4895億ウォン(約510億円)の損害を与えた疑いがある。また、側近を介して城南市や都市開発公社の情報を流すことで、民間事業者に7886億ウォン(約820億円)の利益を得させたとみられている。

 城南市のサッカークラブ、城南FCを巡っては、オーナーを務めた2014年10月から16年9月まで、斗山建設やNAVERなど大企業4社に133億5000万ウォン(約14億円)の後援金を出させ、見返りに建築の許認可や土地の用途変更など便宜を供与した疑いが持たれている。
 李在明代表の逮捕にあたり、イ・ウォンソク検事総長は「地域住民と自治体に帰すべき天文学的な額の開発利益を、不動産開発業者とブローカーに山分けさせた地域土着不正であり、極めて重大な事案だ」とした上で「令状請求は全ての国民に普遍的に適用される基準に従った」と説明した。
 他方、李在明代表は「国家権力を政敵排除に悪用した検事独裁政権は、国民と歴史の侵犯を受けるだろう」と主張した。
 李在明代表の逮捕容疑は極めて重大かつ深刻なものであり、これまでに逮捕された側近等の証言を聞く限り、逮捕は避けられないものであろう。しかし、それだけに李在明代表の逮捕が民主党に与える損害は絶大なものとなりかねず、民主党は李在明代表防衛のリスクをいとわず守り抜こうとするのか、リスクを考慮し一歩引くのか、重大な決断が求められている。

李在明氏逮捕には
国会の同意が必要
 憲法上、現職の国会議員には、現行犯でなければ会期中に国会の同意なくして逮捕または拘禁されない不逮捕特権がある。現在は臨時国会会期中であるため、李在明代表に対する拘束前容疑者尋問(令状審査)をするには、国会の同意が必要となる。
 ソウル中央地裁は逮捕状請求書を受けた後、ソウル中央地検に逮捕同意要求書を送る。その後、法務部が最高検察庁から要求書を受け、大統領の裁可を受けた後、国会に提出する。逮捕同意案の国会提出までにかかる時間を考慮すると、国会での表決は今月26日前後とみられる。
 国会での表決は、民主党の議席が169議席あることから、否決することが有力である。ただ、民主党内では否決を党論とするか否かで意見が分かれているという見方もある。

 民主党の安浩永(アン・ホヨン)報道官は「検察の捜査は大庄洞の真相を明らかにするのではなく、野党を無力化し、大統領選挙のライバルだった野党第1党代表の政治生命を絶つ目的であることが明白」「李代表と民主党は決して屈することなく一致団結し、ただ真実と正義を守るために国民とともに戦う」と明らかにした。

民主党の中で割れる
逮捕同意案への対応
 他方、非李在明系の趙応天(チョ・ウンチョン)議員はラジオのインタビューで「逮捕同意案の否決を党論とすることに私は決然と反対する」「否決が適切かどうかというのは逮捕同意案の内容を見て判断すべき」「逮捕同意案に対して賛成を示唆する議員も少なくなかった」と述べた。
 逮捕同意案に対し、否決を党論とすることに対しては、親李在明系でも懸念の声が出ているという。金南局(キム・ナムグク)議員はラジオ番組で「党論を決める過程で小さな異見が大きな葛藤に増幅することもある」「非公開無記名投票なので、党論にしても誰が守ったか、守らなかったか分からない」と述べた。

 民主党よりも左寄りの正義党も慎重である。李貞味(イ・ジョンミ)代表は、国会で記者団と会い「不逮捕特権をなくすというのが正義党の党論であり、李在明代表の大統領候補時代の公約だ」「拘束される理由がないなら、令状審査で判断すればいい」との認識を示した。
 逮捕同意案は、在籍議員の過半数の出席、出席議員の過半数の賛成で通過する。中央日報によれば、国民の力(115議席)と正義党(6議席)、趙廷訓(チョ・ジョンフン)議員が逮捕同意案に賛成するものとみられ、民主党から28人の離脱票が出てくれば、李在明代表の逮捕同意案は可決される。
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 民主党がどれだけ結束して李在明代表を守れるか、今後の尹錫悦政権との攻防にも影響があろう。しかし、仮に党論で拘束し、李在明代表の国会会期中の逮捕を防いでも、李在明代表の容疑は重大であり、民主党の姿勢に対し、国民世論は厳しい視線を投げかけるであろう。
 李在明代表の疑惑は、文在寅政権時代からあり、大統領選挙敗北の要因でもあった。そして、尹錫悦政権の下で検察が本格捜査に踏み切ることは予想された。しかし、李在明代表は国会議員選に出馬、党代表にまでなった。
 大庄洞疑惑はもともと民主党とは関係のないところで起きた。しかし、李在明代表を国会議員にして不逮捕特権を与え、民主党の代表に選んだ。民主党は自らリスクを冒し、李在明代表を守る選択をした。
 しかし、それは民主党退潮の原動力となるかもしれない。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)




なぜ韓国ユン大統領は日本に接近してくるのか?背景にある「3つの要素」

2023-06-06 16:18:40 | 日記
なぜ韓国ユン大統領は日本に接近してくるのか?背景にある「3つの要素」

国際

2023.03.23

by アッズーリ

反日を国是とするかのような前政権とは打って変わって、日韓関係再構築に積極姿勢を見せるユン・ソンニョル大統領。複雑な両国の関係は、このまま一気に「雪解け」と行くのでしょうか。

そんな日韓の今後を考察するのは、外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏。


アッズーリ氏は今回、ユン大統領が対日接近を図る背景を紹介。さらに日本が韓国に対して警戒心を捨ててはいけない理由を解説しています。 

韓国ユン政権が対日接近を図る理由。

「徴用工問題」だけじゃない日韓関係特有の「リスク」に注意せよ


韓国のユン・ソンニョル大統領が3月16日から1泊2日の日程で日本を訪問し、岸田首相との間で日韓首脳会談を行った。

会談では、政治や経済など多岐にわたる分野で双方の間で意思疎通を活発化させていくことで一致した。

特に、サプライチェーン強化や機微技術流出対策など経済安全保障分野での協力を緊密化させる方向で、両国の首脳が形式にとらわれず頻繁に訪問するシャトル外交を12年ぶりに再開させることで合意した。

ユン大統領と岸田総理は共同記者会見後、すき焼き店と洋食店の2軒をはしごして酒を酌み交わすなど日韓関係の改善を強くアピールした。

ユン大統領は昨年5月に就任してから、ムン前政権で冷え込んだ日韓関係の改善に重点を置いてきた。

昨年6月のスペイン・マドリードで開かれたNATO首脳会合や9月下旬の国連総会、11月中旬のASEAN関連首脳会議などを利用し、ユン大統領は岸田総理と言葉を交わし、会談を行うなどし、それが今回の訪日に繋がった形だ。

日本も日韓関係の改善が必要なのは理解してきたが、徴用工問題などがあり自ら歩み寄る行動は取って来なかった。

ユン大統領の韓国が日本へ積極的に歩み寄ってきたのが今日の構図である。

では、なぜユン大統領は対日接近を図るのだろうか。

その背景には、自由民主主義国家韓国が抱える事情があり、日本と同じような課題を抱えている。 

狂気の金正恩に危機感募らすユン大統領

まず、北朝鮮の存在だ。北朝鮮は昨年計29回、55発と異例のペースで弾道ミサイルを発射した。

今年も入ってもICBM大陸間弾道ミサイルを発射し、北海道の西約200キロの日本海に落下するだけでなく、北朝鮮の偵察用ドローンがソウル上空の近郊まで接近するなど、挑発的な行動を続けている。

北朝鮮は自ら発射したミサイルを米軍が撃墜したら宣戦布告とみなす、太平洋を射撃場にするなどと警告しており、予断を許さない情勢が続いている。

これに対してユン政権は米韓合同軍事演習を積極的に行うことで北朝鮮をけん制し、2月には北朝鮮による核兵器使用を想定した机上演習「拡大抑止手段運営演習(TTX)」が米国で実施された。

ユン政権としては、北朝鮮のミサイルの脅威に直面する日本との連携を強化し、日米韓3カ国の結束を強化したい狙いがある。

日本より韓国に強い不満を滲ませてきたアメリカ

また、米国の存在がある。

今回の日韓首脳会談について、米国は共通の地域的・国際的優先事項を推進する機会を生かせるようになると歓迎する姿勢を示したが、内心米国は歓迎というより安堵したのが本音だろう。

米国にとって日韓は共に価値観を共有し、軍事防衛条約を結ぶ同盟国であり、北朝鮮の核・ミサイル、それ以上に経済的かつ軍事的に台頭する中国に向き合うにあたり、同盟国同士が争う姿に米国は危機感を募らせてきた。

米国が日本や韓国に抱いてきた気持ちは、「日韓双方とも領土問題や歴史問題で争っている暇はない。

自らが置かれる安全保障環境を直視せよ」というところだろう。

そして、近年、米国は日本より韓国に対して強い不満を滲ませてきた。

ムン前政権は日本と韓国の軍事情報包括保護協定

(GSOMIA)の終了を通告する(その後、終了通告の効力が停止された)など、米国はムン政権に疑念を持ち、米韓関係は極めて悪化した。

ユン政権は既にGSOMIAの正常化に着手しているが、米国が抱く強い不満を払拭するため対日関係の改善に努めている。


高まる中国の脅威。
クアッドに接近したい思惑も

中国の存在もある。ユン政権になって以降、中韓関係は冷え込む傾向にあるが、韓国にとっても海洋覇権や台湾有事という問題は対岸の火事ではない。

韓国の経済シーレーンも台湾周辺にあるので、台湾有事となれば韓国経済が被るダメージも計り知れない。

基本的に専制主義国家中国の極東アジアでの覇権は韓国にとっても深刻な問題であり、ユン政権としても今のうちから価値観を共有する日本や米国と関係を緊密化させ、日米豪印で形成されるクアッドなどに接近したい思惑がある。

なぜ日本は韓国への警戒心を捨ててはいけないのか

だが、このようなユン政権の狙いがあったとしても、日本はそれによって韓国への警戒心を捨ててはならない。

過去の日韓関係を振り返っても、いいムードだった関係が一気に壊されたケースもある。

たとえば、イ・ミョンバク政権の時、同大統領は当時日本のメディア番組にも出演するなど日韓関係ではいいムードが流れていたが2012年8月にイ大統領が竹島を訪問したことで日韓関係は急速に悪化した。

イ大統領が竹島を訪問した背景には低迷する支持率があり、国家ナショナリズムを高めることで非難の矛先を交わす狙いがあった。

また、韓国の大統領任期は1期5年であり、ユン政権に2期目はない。

要は、ユン大統領の継承者が次期大統領になる保証はなく、ムン前大統領の政策理念を掲げるリーダーが選出される可能性もあり、ここに日韓関係において日本が抱えるリスクがある。

日韓関係の改善は良いことだ。しかし、我々はこのリスクを忘れるべきではないだろう。







マイナンバー義務化は何を狙うか? マイナ保険証と口座ひも付けを強制 一元化で強まる国民監視と個人情報の恣意的活用

2023-06-06 15:02:00 | 日記
マイナンバー義務化は何を狙うか? マイナ保険証と口座ひも付けを強制 一元化で強まる国民監視と個人情報の恣意的活用

政治経済2023年5月8日


 衆院本会議が4月27日、マイナンバーカードの利活用拡大を図る改定マイナンバー法案(改定マイナ法案)を賛成多数で可決した。


これまで自民党政府は全国民へ勝手に12ケタの番号をつけ、マイナカード取得者だけ金を配る「マイナポイント事業」やマイナカード普及の遅い自治体の交付金をゼロにする「デジタル交付金創設」などアメとムチを駆使してマイナカード普及を煽ってきた。

改定法案は「紙の健康保険証」を廃止してマイナ保険証を持たない人を医者にかかれなくしたうえ、年金生活者を手始めに「公金口座との紐付け」を強制していく内容だ。

そしてマイナカードと個人情報の紐付け範囲を、法改定もなく拡大可能にする規定まで盛り込んでいる。

今後は参院での審議が本格化するが、一体何をしようとしているのか、歴史的経緯もふまえて見てみた。
 

マイナンバーカード取得を呼びかける松本総務相
 衆院を通過した改定法案の内容は複雑でわかりにくいが、中心的な中身は次の3点である。
 
 ①マイナカードと健康保険証の一体化…「紙の健康保険証」を廃止(2024年秋の実施を想定)。マイナカードを持っていない人は期間限定で「資格確認書」(有効期限1年)を配る。
 
 ②公金受取口座の登録促進…既存の給付受給者等(年金受給者を想定)に書留郵便等で一定事項を通知したうえで同意を得た場合または一定期間内に回答がない場合、内閣総理大臣はその口座を公金受取口座(公金受取口座は給付のみに利用)として登録可能にする。
 
 ③マイナンバーの利用及び情報連携に係る規定の見直し…法律で認めた事務に「準ずる事務」もマイナンバー利用を可能にする。法律で認めた事務との情報連携を「主務省令」で拡大可能にする。
 
 このうち「マイナカードと保険証の一体化」は「紙の保険証を廃止してマイナ保険証以外は医者にかかれないようにすれば、全国民にマイナ保険証を持たせることができる」というものだ。こうした内容に批判が噴出したため「期間限定で無償の“資格確認書”を提供」としたが、1年ごとに更新手続きが必要で、いずれ手数料をとることも示唆する内容である。
 
 だが「マイナカードと健康保険証の一体化」はマイナカードをあらゆる病歴、生体情報、血縁情報を紐付ける土台になる。そのため身分証明書や行政手続きの利便性からマイナカードを所持した人でも、マイナ保険証との紐付けを拒む人は多い。総務省はマイナカード申請数が「全国民の七割をこえた!」と大宣伝するが、マイナ保険証の登録件数はいまだに約5890万人(今年4月23日現在)で登録率は46・8%。全人口の過半数がマイナ保険証に登録していない。
 
 マイナ保険証を扱う病院側の受入れ体制(オンライン資格)も整っていない。病院や薬局では「マイナ保険証」専用のカードリーダーを設置し、それを扱える人材の育成などシステム構築が必要だ。しかし通常業務に追われ、対応できない病院は少なくない。このなかで開業医や歯科医師などが参加する全国の保険医協会が「紙の保険証」廃止撤回を求める意見書を河野デジタル相に提出し、保険医協会が加盟する全国保険医団体連合会も昨年10月、「命と健康に関わる医療を人質にとって、自身の思想・信条等に反してマイナンバーカードを取得するか、医療を受ける権利を諦めるかの選択を強いるようなことは到底許されるものではない」と声明を発表した。
 
 すると岸田政府はマイナ保険証を使うと窓口負担が減り、「紙の保険証」を使うと窓口負担が増えるようにし、マイナ保険証のシステムを導入していない病院は収入が減るようにした。具体的にはマイナ保険証を使うと21円だった初診(3割負担の場合)の上乗せ額を6円(昨年10月以後)に下げ、「紙の健康保険証」の初診上乗せ額は9円から18円(今年4月以後)に引き上げた。こうした兵糧攻めのような手法を用いて、厚労省は「オンライン資格申請が9割をこえた」と公表した。
 
 ところがこれも「申請数」で「活用開始数」ではない。実際にマイナ保険証の活用を開始した運用機関数は今も70・2%(4月23日現在)で、小規模な「歯科診療所」に限定すれば62・3%にとどまっている。こうした5割をこすマイナ保険証未登録者、4割近いマイナ保険証システム未構築の医療機関を締め上げるために編み出したのが「紙の保険証廃止」という劇薬だった。
 
 「公金受取口座の登録促進」は、行政側が年金受給者に書類を送りつけ「一定期間に返答がなければ、内閣総理大臣がその口座を公金受取口座として勝手に登録しマイナカードと紐付けてもよい」というものだ。政府は「口座は給付のみに利用」と主張するが、いったん個人口座をマイナンバーと紐付ければ個人資産や預貯金の動向を把握することが可能になる。しかもこれは年金給付者を入り口にして、いずれ生活保護、子ども手当、就学援助、母子手当……と対象者を際限なく拡大していく様相だ。それは全国民の個人資産の額やその出し入れの状況をみな把握し、問答無用で税金を徴収したり、ある場合は財産の差し押さえまで可能にする地ならしである。電子決済(キャッシュレス決済)による給与払いの解禁(今年4月から)、インボイス(適格請求書)制度導入にむけた適格請求書発行事業者の登録もこうした動きと無関係ではない。
 
 そして政府が重視しているのは「マイナンバーの利用及び情報連携に係る規定の見直し」である。もともとマイナンバーを使える業務は、マイナンバー法の「別表1」でマイナンバーを扱える行政機関と業務を規定し、「別表2」でマイナンバーを用いた情報をやりとりできる機関やその業務を定めていた。「別表1」では、厚労相が健康保険業務でマイナンバーを使えることや、都道府県知事が災害救助の扶助金支給でマイナンバーを活用できることなど約100項目にわたって規定。「別表2」では厚労相、全国健康保険協会、市町村長などの「情報照会者」と「情報提供者」がどの業務のどの情報を扱えるかを約120項目にわたって定めていた。この「別表」以外の業務とマイナンバーを紐付けする場合は、そのたびに法改定が必要だった。マイナンバーシステムは、国会審議抜きに勝手にさまざまな業務と紐付けすることはできない体制だった。
 
 ところが自民党は「法改定手続きやシステム改修で新業務に使うには最低で2年かかる」と主張。そして「マイナンバーの利用範囲を規定する“別表1”に“準ずる事務”もマイナンバーを使えるようにする」「マイナンバーの情報連携を規定する“別表2”は法律ではなく政省令(内閣で決定)に格下げする」という改定法成立を目指している。それは政府が国会審議もなくあらゆる業務とマイナンバーを紐付けできる体制である。
 
運転免許証とも一体化 生体認証紐付も検討
 

総務省が紹介しているカードリーダーを使ったマイナ保険証の活用例
 自民党は2015年10月、第三次安倍内閣のとき全国民に12桁のマイナンバー(個人番号)を通知した。このとき配布したのが紙製「通知カード」だった。当初は「通知カードは厳重に保管しなければならない」「会社内では金庫で保管」ともいわれた。マイナンバーは従来の個人情報とは異なる「特定個人情報」と法律で明記し、これを外部に提供した事業者は「4年以下の懲役」か「200万円以下の罰金」と規定した。
 
 さらに2016年1月にはICチップと顔写真付カードの交付を開始した。これが全国民に割り当てたマイナンバーと個人情報を紐付けるマイナカード(有効期限18歳以上=10年、18歳未満=5年)で、表面には氏名、住所、生年月日、性別、顔写真を表示。裏面にはマイナンバーとマイナンバーを記録したQRコードも記載し、個人情報を記録するICチップも埋め込んでいた。
 
 すると最初「持ち運びは危険」と主張していた政府が「身分証明書に使える」といい、外で持ち歩くことを推奨。そのうえマイナカード取得によって最大2万円分のマイナポイントを付与するマイナポイント事業(マイナカード取得で5000円分、マイナ保険証との紐付けで7500円分、公金受取口座の登録で7500円分)を開始した。自民党政府はデジタル庁まで発足させ、デジタル社会構築の基盤としてマイナカード所持を煽る宣伝に明け暮れた。
 
 岸田政府は「2024年度末にマイナカードと運転免許証を一体化」させ「2025年度末までに各自治体のシステムを統一・標準化」し、その後は「生体認証との紐付け」「教育データ(学校健診データやGIGAスクールにおける認証手段)との紐付け」「銀行口座(公金受取口座)との紐付け」を検討していくことも表明した。
 
50年前から執拗に迫る 国民総背番号制導入
 
 だがほとんどの国民が利便性を感じていないマイナカード取得をなぜ執拗に迫ったのか? である。それは50年前から何度も整備しようとしては失敗してきた「国民総背番号制」を今度こそ定着させるためだった。
 
 「マイナンバー」のルーツである「国民総背番号制」の論議は1960年代後半に始まった。1968年に佐藤栄作内閣が「政府における電子計算機利用の今後の方策」を閣議決定し、1970年には行政管理庁を中心に具体項目を定めた。このときに「事務処理用統一個人コード設定の推進」という項目を盛り込んだ。これについて米国主導で立ち上げた日本生産性本部は「“コードの統一”の対象は個人の番号だけではない。場所、時、事業所、商品、交通機関、保険、医療など、およそ、処理の対象となるデータにすべて統一コードを与えることによって情報処理の効率を格段に高めることができる」と指摘していた。
 
 こうした方向にそって1978年に大蔵省(現財務省)が納税者番号制導入に動き出し、「日本版グリーンカード(少額貯蓄等利用者カード)」構想を具体化する所得税法一部改正案を国会に提出した。これは税務署がグリーンカード交付番号と口座を紐付けして個人の財産を把握するしくみで国会も通過した。しかし全国的な反発が強まり1984年の実施目前で頓挫した。1988年にも自民党が「納税者番号制」導入を目指したがこれも頓挫している。
 
 この次に登場したのが住基ネットだった。住基ネットは国民一人一人に11ケタの番号を割り当て、氏名、生年月日、性別、住所の「基本4情報」を記載した各市町村の住民基本台帳で管理するシステムだ。改定住民基本台帳法を1999年に成立させ、2002年8月に住基ネットをスタートさせ、2003年からは顔写真入りICチップ内蔵の住基カード交付を開始した。しかし住基カードは交付から10年以上へても普及率が5・5%どまり。しかも住基ネットの住民票コードは市区町村が付番する自治事務であるため、2002年8月5日の稼動直前に福島県矢祭町が離脱を宣言した。これに東京都国分寺市、杉並区、三重県の小俣町、二見町も続き、8月2日には横浜市が「市民選択制」をとると表明した。稼動時点で400万人をこす国民が住基ネットに参加せず、9月11日には東京都中野区も離脱を宣言。結局、住基ネットは2015年に新規カードの発行うち切りに追い込まれた。
 
 こうした失敗を避けるため、すべて国が個人番号を付番し、地方自治体の判断でシステムから離脱できないようにしたのがマイナンバー制度だった。さらにマイナンバー法では住基ネットで禁じていた「警察や公安機関によるデータ利用」も認めていた。そこで重視したのは住所が変わり、名前が変わっても同一番号で一生涯、個人を監視し続ける体制だった。
 
 このためにICチップを内蔵したマイナカードの普及を急いだ。そして2015年10月にマイナンバー制度を開始し、2019年5月には「デジタル手続法」を成立させ、紙製マイナンバー通知カード廃止も決定した。このとき「改定戸籍法(戸籍データとマイナンバーとの紐つけを規定)」と「改定健康保険法(健康保険証とマイナンバーカードとの紐つけを規定)」も成立させた。
 
 そして2021年5月に「デジタル関連法」を成立させ、デジタル庁設置の段取りやマイナカードと個人情報の紐付けを強力に推進する仕組みを具体化した。この「デジタル関連法」には各自治体で差があった個人情報保護体制を全国統一仕様に変え、「業務の遂行に必要で相当な理由のあるとき」は、行政機関が本人の同意なしで個人情報の目的外利用ができることも盛り込んだ。それはデジタル庁が全国各地の個人情報を一元管理し、その個人データを国家権力が自由に活用できる体制だった。
 
 こうして今では、全国民にマイナカードを持たせ、それと細かい個人情報を紐付けすることができれば、いつでも職歴、家族構成、所得、不動産などの資産情報、今までに受けた医療情報、失業保険、公営住宅を借りた記録、児童扶養手当など各種手当て、生命保険、個人の銀行預貯金、住宅ローン、犯罪歴などあらゆる個人情報を国が一元管理できる準備が整っている。ポイントカードや図書館カードと連動させれば「どこで何を買ったか」「どんな本を読んだか」まで特定することも可能だ。これは個々人の弱みを把握し、国家権力に反抗したり、国家権力内部の悪事を暴いたりした場合はすぐ叩き潰すこともできるツールとなったことを意味する。
 
 とはいえ、こうしたシステムも国民のなかでマイナカード所持が進み、各種サービスとの紐付けが進まなければ「宝の持ち腐れ」でしかない。そのため自民党政府は、2万円を配ってマイナ保険証の登録や公金受取口座との紐付けを促したがうまくいかず、「紙の保険証廃止」のような強権手法に乗り出している。
 
若者の戦地投入に活用 先進地米国の実例
 
 このマイナンバーシステムの先行きは日本がモデルにした米国の事例を見れば一目瞭然である。米国では1936年から全国民を対象にした社会保障番号(ソーシャル・セキュリティ・ナンバー=SSN)を導入。それ以後約60年かけて利用範囲を拡大した。
 
 それは次のような流れだった。
【1962年】連邦税徴収での使用開始
【1966年】入院患者の記録保持での使用開始
【1969年】国防省が軍の識別番号として使用開始
【1970年】銀行、信用組合、証券の顧客からSSN取得を義務付け
【1976年】運転免許、自動車登録のためにSSN取得要求が可能になる
【1982年】連邦ローンプログラムの申請者にSSNの提供を義務付け
【1986年】学生ローンの申請者に対してSSN提供を義務付け
【1994年】陪審員の選考に関して、SSN利用を許可
 
 米国の場合も「SSN取得は任意」だったが、SSN未取得者を行政サービスが受けられない状態へ追い込んでいった。
 
 その過程でSSNを元にした個人情報流出やなりすまし等の犯罪が多発した。2006~2008年だけでなりすまし犯罪の被害者が1170万件(アメリカ連邦司法省の統計)に上り、損害額は173億㌦に達した。2014年にはのべ1760万人がSSN関連被害にあっている。米国では暗証番号や顔写真などの認証をクリアすれば銀行口座も開設できるため、ローン地獄に直面する大人が子どものSSNを盗用して金を借りて焦げ付かせる事件が増加した。患者が病院や職員に提示したSSNが漏れて、なりすまし犯罪に使われた例もある。
 
 だがもっとも危険なのは、このシステムを使って行政が各家庭の抱える諸問題を掌握し、国民監視や兵員募集に活用した事実だ。米国では全米すべての高校が生徒の個人情報を軍のリクルーターに提出しなければ学校の助成金がカットされる制度があった。米軍はこの個人情報をもとにより貧しく、将来の見通しが暗い生徒のリストをつくり、そこへ軍のリクルーターが出向いて「入隊すれば大学の学費が免除される」「入隊すれば家族も含めて兵士用の医療保険に入れる」と声をかけ入隊者を増やした。こうして米軍はイラク戦争開戦の2003年には新兵を21万人以上戦地に投入している。加えて米国は国家テロ対策センターで100万人規模の監視リストを蓄積し、この監視リスト掲載者は飛行機は搭乗拒否となり、就職試験は不採用になる。これも生活できない状態へ追い込み米軍入隊へ誘導するシステムだった。これが米国のSSNが行き着いた先である。
 
 日本国内でもマイナンバーカード普及の動きと同時進行で、中国やロシアの土地買い占めを防ぐために「重要土地調査法」(重要施設の周囲1㌔範囲の区域や国境の離島を注視区域に指定し、土地所有者らの行動や思想状況について調べる権限を国に持たせた法律)を成立させ、外務省によるSNS空間モニタリング(SNS空間の悪意ある投稿の監視)の具体化が動いている。また武器生産にかかわる技術者へのセキュリティ・クリアランス(国家機密を扱う職員への適格審査)導入など、台湾有事を想定した戦時体制作りが動き出している。
 
 マイナンバーシステムをめぐっては、個人情報の漏洩やトラブルや犯罪の多発も大問題だが、自民党政府がいったい何を目指しているのか、どのような国家作りを目指しているのかを直視することが重要になっている。それは個々人がマイナカードを所持するかどうか、マイナ保険証に登録するかだけにとどまらず、日本の未来にかかわる問題になっている。


マイナンバーカードと健康保険証が一体化へ 改正法可決・成立

2023-06-06 14:44:48 | 日記
マイナンバーカードと健康保険証が一体化へ 改正法可決・成立

2023年6月2日 14時17分 マイナンバー

マイナンバーカードと健康保険証の一体化や、マイナンバーの利用範囲の拡大などを盛り込んだ関連する法律の改正法が、2日の参議院本会議で賛成多数で可決・成立しました。

健康保健証は来年秋に廃止へ

改正法の成立によって健康保険証は来年秋に廃止されマイナンバーカードと一体化されます。

一方で、カードをなくした人なども保険診療を受けられるように「資格確認書」を提供し、現在の健康保険証も廃止後、最長1年間は有効にする経過措置を設けることなどが盛り込まれています。

利用範囲拡大で可能になることは

 マイナンバーは法律で社会保障と税、それに災害対策の3分野に利用できる範囲が限定されていますが、今回の改正法によって自動車に関わる登録、国家資格の更新、外国人の行政手続きなどの分野にも、範囲が広がります。

例えば、自動車の登録では引っ越しで住所が変わり、車の保管場所の証明などを申請する際、マイナンバーカードを使ったオンライン申請が可能になり、住民票の写しを取得する必要がなくなります。

美容師や建築士などの国家資格では、資格を更新する際にオンラインでの申請が可能になります。

これまでは法律でマイナンバーを使える行政機関やその内容などが規定され、新たに追加する場合は、そのつど、法律の改正が必要でした。

今後は法律で規定されている3つの分野と、今回新たに定められる分野ではすでに法律に規定されている事務に「準ずる事務」であれば法律の改正をしなくても省令などで定めれば利用の範囲を拡大できるようになります。

河野デジタル大臣「国民生活の利便性の向上に」

マイナンバーの改正法などの成立を受けて河野デジタル大臣は、閣議後の会見で、「今回の法改正によって各種の事務手続きや添付書類の省略など、マイナンバーカードの利用の促進が実現され、国民生活の利便性の向上につながっていくと思います」と述べました。

マイナンバーカードのトラブル相次ぐ

 マイナンバーカードをめぐっては、トラブルが相次いで明らかになっています。

政府は、今の健康保険証を来年秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化することを目指していますが、マイナンバーカードと一体化した健康保険証に他人の情報が登録されていたケースが、7312件確認されています。

厚生労働省は、主な原因は、健康保険を運営する組合による、加入者情報の入力ミスだったとして先月23日に、およそ3400ある全国すべての組合に対し、これまでの入力作業でルールを守っていたか点検を要請しています。

点検の結果、ルールを守っていなかった場合は入力された情報が正しいかどうか、改めてデータの照会をかけて確認を行い、来月末までに報告するよう求めています。

マイナンバーカードを使い、コンビニで住民票の写しや戸籍証明書などを交付するサービスでは、別人の証明書が発行されるトラブルが、あわせて14件起きたほか、システム設定の誤りで住所変更が反映されず、古い証明書が発行される不具合が1日、新たに9件確認されています。

また、すでに登録を抹消した印鑑登録証明書が誤って発行されるトラブルも、13件確認されています。

マイナンバーにひも付けて登録することで、国の給付金などを受け取ることができる「公金受取口座」をめぐっては、別の人のマイナンバーに登録されるトラブルが相次いでいます。

これまでに15の自治体であわせて21件に上っていて、関連するシステムの総点検を実施するとともに、誤った登録を防ぐためのシステム改修を進めています。

さらにマイナンバーカードの取得などで、ポイントがつく「マイナポイント」が、誤って他人に付与されたケースが97の自治体で、あわせて121件確認され、デジタル庁では本人確認を厳格に行うシステムに改修を進めています。

住民票の写しに旧姓が記載されない不具合も

こうした中、松本総務大臣は閣議のあとの記者会見で、おととし9月、さいたま市内のコンビニで、住民票の写しに旧姓も一緒に記載するよう申請したにもかかわらず、旧姓が記載されない不具合があったと明らかにしました。

住民票のデータの一部がシステムに反映されていなかったことが原因で、すでにシステムを改修したということです。

河野デジタル大臣は「この法律の審議中にマイナンバーカードに関する一連の事案が明らかになり、国民の皆様に不安を与えていることを大変申し訳なく思っている。

既存のデータシステムの総点検を行うとともに、新しくこうした事案につながらないよう防止策を徹底していきたい」と述べています。

総務省はマイナンバーカードをめぐって不安や疑問がある時は「マイナンバー総合フリーダイヤル」に問い合わせてほしいと呼びかけています。

番号は、0120-95-0178です。

松野官房長官「国民に不安を与えていることは大変遺憾」

松野官房長官は、午後の記者会見で「国民に不安を与えていることは大変遺憾だ。信頼確保に向け、関係省庁が一丸となって不安解消への対応を講じているところであり、引き続き、デジタル社会の基盤であるマイナンバーやマイナンバーカードの利活用拡大に取り組んでいく」と述べました。

2日の国会では
 2日の参議院本会議では、マイナンバー法などの改正をめぐって、討論が行われ日本維新の会の猪瀬直樹氏は賛成の立場で「マイナンバーカード制度は行政の効率化、国民の利便性の向上、公平公正な社会の実現のための社会基盤で、今回の改正法案は、そのゴールに向けたプロセスとして重要な1歩だ」と述べました。

また、立憲民主党の杉尾秀哉氏は反対の立場で「さまざまなトラブルが増加する中で浮かび上がったのがマイナンバーというシステム自体が抱える根本的な問題だ。問題の根底にあるマイナンバー制度とマイナンバーカードに対する国民の不安と不信を解消することが先決だ」と述べました。

2日の参議院本会議では、このほか行政手続きのデジタル化のため、戸籍の氏名に読みがなを付ける戸籍法の改正法も賛成多数で可決・成立しました。

この中では読みがなをカタカナで表記するとしていて「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」という規定を設けています。