勝又壽良の経済時評
日々、内外のニュースに接していると、いろいろの感想や疑問が湧きます。それらについて、私なりの答えを探すべく、このブログを開きます。私は経済記者を30年、大学教授を16年勤めました。第一線記者と研究者の経験を生かし、内外の経済情報を立体的に分析します。
2019-06-02 05:00:00
韓国、「迷走外交」文大統領、南北優先で米中間さ迷う「臆病者」
テーマ:ブログ
文在寅氏は、人権派弁護士出身であるが本当だろうか。
疑問を抱かせる局面が増えている。
ただの民族主義者が、「人権」という殻を被っているに過ぎないように思える。
しかもその人権は、労組と市民団体の権利を主張する時だけに利用される「便宜的」なものである。
最低賃金を引き上げる目的は正しい。
だが、「適正」という枠を大きくはみ出した結果、雇用継続が不可能になって、逆に失業者を激増させている。
それでも、この不適切な政策を取り止める訳でない。
最低賃金の大幅引上げで利益を受けた労組の反対を恐れ、最賃政策の手直しを放棄している。
こういう片手落ちの「人権」が認められるはずがない。
文氏が、「人権」を振りかざしているのは、多分に政治的目的=政権維持の道具に使っているだけである。
もっとはっきり言えば、与党「ともに民主党」を選挙に勝たせるために「人権」を利用していると言える。
韓国の国是は、「自由と民主主義」である。
文氏は理由も説明せず、「自由」を削除して「民主主義」だけにした。
その狙いは分っている。北朝鮮との統一を視野に入れているからだ。
北朝鮮にはない「自由」を削除して、南北共通の「民主主義」にすれば、金正恩国務委員長の「顔」を立てられるという「忖度」である。
人権派弁護士とされる文在寅氏には、「自由」がいかなる意味を持っているか。
その重大さが十分に理解できないだろう。
だから、南北統一のためには「自由」を簡単に捨てられるのだ。
韓国国民5000万人の「自由=人権」を制限して、南北を統一する価値があろうはずもない。
文氏が、「自由」を捨てられるのは民族主義者であるからだ。
自由と民主主義を守るという立場でなく、南北統一が可能になればなんでもよいとする、きわめて『ヌエ的』色彩が強い。
そう言えば、与党「共に民主党」幹部は、二回目の南北会談に出席した際、金正恩氏に「政権を取り続ける」約束するほどの無軌道発言をしている。
文氏が、南北統一を約束している結果であろう。
現政権の外交路線は、米中対立の中で韓国の軸足が定まらず、すべて北に向けているだけだ。
それが、韓国に外交危機を招いている本質的な理由である。
北朝鮮のことよりも、韓国自体の生きる道を定めること。それが最優先課題であろう。
『中央日報』(6月1日付)は、「自由民主主義が欠けた対北朝鮮政策、韓米亀裂や外交孤立招く」と題するコラムを掲載した。
筆者は、李信和(イ・シンファ)/高麗(コリョ)大学政治外交学科教授である。
(1)
「米中両国への依存度が高いアジア太平洋諸国の外交的悩みが大きくなりつつあるという点だ。
米中の双方と円満な関係を維持することが望ましいが、2大国間の相互排他的対立状況が先鋭化し、究極的に二者択一のジレンマに直面しかねないためだ。
したがって、これらの国は概ね『ヘッジ戦略』、すなわち米国との関係は安定的に維持するが、中国の脅威として認識されないように管理する戦略を標榜している」
米中対立は、貿易戦争の激化によって先鋭化してきた。
中国は、習氏の独裁体制がかかっているから、経済的に相当疲弊しても粘る可能性がある。
そうなると、周辺国は身を守るために「ヘッジ戦略」を執らざるを得ない。米国との関係強化が最優先事項になった。
(2)
「よく見てみると、オーストラリアは米国との二国間同盟を強化し、日本・インドと共にいわゆるクアッド・ブロック(4カ国同盟)を構築した。
インドも中国と協力し「チンディア経済圏」を形成したが、政治・軍事的に米国との戦略的パートナーシップを掲げ、中国とパキスタンを牽制している。
最近、日本は米国主導の相互諜報アライアンス(米国・英国・オーストラリア・カナダ、ニュージーランド)である「ファイブアイズ」加入した」
初耳だが、日本は「ファイブアイズ」に加入したという。
日本は、米国などの最高軍事機密に接することになった。
中国への情報分析力は、格段の上昇になる。
周辺国は、こうして旗幟を鮮明にして米国陣営に加わっている。
その中で、韓国は米韓同盟がありながら、中国へ「秋波」を送るという二股をやっている。「ヌエ」なのだ。
南北統一促進にプラスと見ている結果だが、米国から深い疑惑を招いている。
(3)
「 韓国の場合、米中の間に挟まり、北朝鮮の核を頭の上に乗せて暮らすことになった状況だから、域内の他国よりも戦略的悩みが深くならざるを得ない。
韓国社会の中で韓米同盟と韓中関係の並行開発が重要であるということに反対はほぼないが、そのための優先順位とアプローチの仕方に関する意見の相違は国論分裂レベルだ」
韓国の「86世代」は、「親中朝・反日米」の色彩が強い。これが国論を二分しており、韓国の将来に暗い影を落としている。
(4)
「 韓国社会では『国らしい国』を作るための積弊清算と真相究明、過去の歴史の清算が盛んだが、
北朝鮮が犯した韓国戦争(朝鮮戦争)とその後の数多くの挑発『南北の特殊関係』の中で免罪符を受けてきた。
それでも飽き足りず、韓国の大統領は国際舞台で『対北朝鮮制裁緩和で非核化の促進』を相次いで強調し、韓米同盟の亀裂と外交的孤立を招いている」。
文政権は、積弊清算の名によって保守党=親日を排除する目的で、「官製愛国主義」を唱え実行している。
目的は、南北統一への下準備である。
こうして、韓国外交の基本線=米韓同盟強化から大きく逸脱して空騒ぎを起こしている。
文氏の頭には、与党の支配=南北統一だけしかない。
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