韓国だけを売る外国人投資家、21営業日で5兆ウォン
外国人投資家の韓国離れが尋常ではない。5日のソウル株式市場ではメーンボードに当たる有価証券市場で外国人による売り越しが688億ウォン(約63億円)に達した。
11月7日に始まった連続売り越し日数は歴代5位の21営業日に達した。この期間に外国人による売り越しは累計で5兆ウォンを超えた。
同じ期間に外国人が台湾株式市場で約7兆ウォンを買い越したのとは対照的だ。
6日も外国人の売り越しが続けば、2015年12月2日から16年1月5日に記録した22営業日連続の売り越し(歴代4位)に並ぶ。
歴代最長記録は世界的な金融危機が起きる直前の2008年6月9日から7月23日までの33営業日連続だ。
外国人による「韓国売り」は専門家も予想できなかったことだ。当初専門家は11月末には外国人の売り越しが沈静化するとみていた。
11月26日に世界の株式市場でベンチマークとなるモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の新興市場(EM)指数で中国の組み入れ比率を高め、韓国の組み入れ比率を引き下げるリバランシング(再調整)が終われば、自然と外国人の資金離れも止まるという見方が優勢だった。
ところが26日以降も外国人の売りが続き、韓国総合株価指数(KOSPI)も2060まで下落したことから、投資家に衝撃が走った。
■内外の悪材料で韓国を離れる投資家
専門家は外国人の売りが続く理由として、まず外部要因を挙げる。ハイ投資証券のアナリスト、パク・サンヒョン氏は「11月にMSCI指数のリバランシングによる影響が大きい上、米中貿易交渉の不確実性、香港問題に関連する不安感の拡散なども無視できない不確定要素として作用した」と分析した。
さらに米国と北朝鮮が最近互いに「武力使用もあり得る」と緊張を高めていることも韓国株式市場に悪影響を与えた。
NH投資証券のアナリスト、ノ・ドンギル氏は「米国と北朝鮮の首脳が鋭く対立しており、今月中旬になると地政学的リスクがさらに高まる可能性がある」と指摘した。
韓国経済に対する否定的な見方も一因だ。
韓国の信用格付け会社、ナイス信用評価が4日発表した「2020産業見通し・産業リスク評価結果」によると、評価対象40業種のうち、来年の業況が今年よりも改善するとみられる業種は皆無だった。
主力輸出品目である半導体の業況改善が遅れるとの分析も聞かれた。
スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)アジア太平洋企業格付け担当理事のパク・ジュンホン氏は「半導体の業況は来年半ば以降、小幅な回復はあり得るが、本格的な回復とは言えない」と予想した。
ノ・ドンギル氏も「韓国株式市場から外国人が離脱するのは米中貿易交渉の雑音だけでなく、半導体の業況改善が遅れるという見方が重なったからだ」と分析した。
外国人の売り越しが始まった11月7日以降、外国人はサムスン電子、SKハイニックスの株式2兆5000億ウォン相当を売り払った。
■今月15日が境目、外国人は戻ってくるか 専門家は外国人が韓国株式市場に戻ってくるためには特別なきっかけが必要だとの点で一致している。
今月15日に予定される米国の中国製品に対する追加関税適用が契機になるという期待混じりの見通しが聞かれる。
関税適用までに米中貿易交渉が妥結するか、少なくとも米国が関税適用を猶予するなど和解の手を差し伸べれば、外国人が戻ってくるとの見方だ。
元大(ユアンタ)証券のアナリスト、チョ・ビョンヒョン氏は「外国人の売りが落ち着くかどうかは、結局は貿易紛争の緩和と世界貿易の回復可能性に帰結する」と指摘した。
最近米中の貿易合意を巡っては、楽観論と悲観論が飛び交い、一寸先も見通せない。
トランプ米大統領は3日、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長との会談に先立ち、記者団が「中国との貿易交渉にデッドライン(最終期限)はあるのか」と質問したのに対し、「デッドラインは持っていない」と答えた。
その上で、「ある意味中国との貿易合意は米大統領選まで待った方がよいと考えている」と述べ、合意成立の機運に冷や水を浴びせた。
一方、貿易交渉が近く妥結するとの見方もある。ロイター通信は4日、トランプ大統領の娘婿、クシュナー大統領上級顧問が米中貿易交渉に直接介入しており、交渉は15日までに妥結する可能性が高いと報道した。
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