「支那そば復元発祥」を謳う甲府の人気店
JR甲府駅から南下し、繁華街・裏春日を抜け、歩くこと15分。甲府中央四郵便局そば、鍛冶町通り沿いにある人気店「蓬莱軒」へ。創業は昭和39年。看板には「支那そば復元 発祥店」とある。なんでも、支那が蔑称だとされ姿を消した「支那そば」を復元し、世の中に再び蘇らせた第一人者が蓬莱軒の初代・山下岩雄氏だという話だ。
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大体、食べ物で「発祥」を名乗るとモメる。実際にラーメンの鬼と評された「支那そばや」の佐野実氏とは確執があるようで、蓬莱軒は「襲撃された」という事になっている。真偽のほどはよくわからないが、店の人気は本物。綺麗で広々とした店内に客は絶えない。カウンター、座敷、テーブル合わせて50席程あるが、休日昼には行列も。
麺メニューは支那そばを筆頭に、五目そば、湯麺、広東麺、天津麺、肉そば、ワンタン麺、焼きそば、揚げそばと様々。一品料理も餃子や炒め物、馬のもつ煮、カニ玉、酢豚、八宝菜、予約制の肉団子など豊富に揃えている。また、中華丼や天津丼、炒飯などもあり、一杯引っ掛ける事も出来る。もちろん「支那そば(800円)」を注文。
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程なくして、澄んだ醤油清湯の一杯が到着。スープは鶏ガラや豚骨の出汁に煮干し出汁を加え、やや甘味のある醤油のカエシを合わせている。スッキリとした飲み口ではあるが、塩味のバランスが丁度良く、鶏油の香りと化調も手伝って旨味は十分。そして、そこに合わせる麺は比較的に低加水の中細縮れ麺で、シコシコと食感が良い。
チャーシューはロース肉だが、これまた1センチ半はある厚切り。箸でホロホロ~というタイプではなく、しっかり食感を残していて食べ応えがある。個人的には、この食感は好きだ。醤油ダレが染みて味も良い。ほか、赤みがかった甘めのメンマ、ペラペラではないナルト、海苔、刻みネギがトッピングされる。
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復元した一杯なのだから当然だろうが、ベースは割と普通のラーメンだ。その中で厚切りのチャーシューと甘めのメンマの個性が光る一杯だった。なお、周りの家族連れや常連風の客のオーダーに耳を澄ますと、支那そばの他に炒飯と餃子の出る率が高かった。次回は一品料理でビールでも引っかけに来たいところである。
<店舗データ>
【店名】 蓬来軒 本店
【住所】 山梨県甲府市中央4-12-28
【最寄】 JR中央本線「甲府駅」南口徒歩15分