伝統と革新と。新進気鋭の若主人、渾身の一杯
JR徳島線・府中駅から700メートル弱、歩いて10分ほど。国道318号線沿いで2013年7月から営業する人気店「王者-23」へ。30代の若きご主人・前川将太氏は、徳島県内屈指の人気店「王王軒」で修業し、お墨付きを得て独立。また、東京・大久保の「大つけ麺博」に徳島代表として出店するなど、味も知名度も抜群の注目店である。
余談だが、最寄り駅の「府中」は「こう」と読む。かつて阿波の国府が置かれた場所なので府中なのだが、なんでも「ふちゅう」という読み方が「不忠」に繋がると考えた徳島藩が、国府の文字から取って「こう」と読むように当てたのが由来なのだそう。全国の「府中」でも、そんな読み方をするのは徳島だけである。列車を乗り過ごさぬよう。
店内はカウンターとテーブル合わせて15席ほど。麺メニューは、豚骨ベースの徳島スタイル「中華蕎麦」と、そのスープに魚介出汁を加えた「特製蕎麦」の2種が主軸。ただ、このほか「王者家」と名付けた家系ラーメンや、清湯や鮮魚系など幅広い日替わり限定麺も用意している。この日の限定は「真鯛絞り白湯」とのこと。
そして、三元豚のレアなロース肉やローストポーク、燻製吊るし焼きチャーシュー、燻製玉子、岩海苔、生海苔といったソソる追加トッピングが人気なのだが、これらを見落とし追加し忘れる痛恨のミスを犯してしまった…。というわけで、今回オーダーしたのは「中華蕎麦 肉玉子入り」の小サイズ(850円)のみである。
さすが王王軒仕込み。脂の泡立つスープは、豚骨と鶏ガラをしっかり炊いたもので、豚の旨味と香りが前面に押し出された濃厚な飲み口に仕上がっている。醤油のカエシは甘目でクセになる味わい。王道の徳島ラーメンである。合わせる麺は低加水で歯切れの良い中細ストレート。スープとの相性は抜群で、箸もレンゲも止まらない。
トッピングは甘目の醤油ダレでしっかり味付けした柔らかな豚バラ肉、生卵、シャキシャキのモヤシ、香りの良いネギ。バラ肉の量も十分で食べ応えたっぷりだ。土台のラーメンがしっかりしているだけに、チャーシューを追加し忘れたのはやはり痛恨。行列時でも券売機の前では焦り過ぎぬ事だ。間違いなく、また訪れる!
<店舗データ>
【店名】 王者-23(おうじゃにじゅうさん)
【住所】 徳島県徳島市国府町和田字表17-4
【最寄】 JR徳島線「府中駅」徒歩10分