甲府のソウルフード的存在の「つけそば」
JR甲府駅の南口から10分も歩けば、繁華街「かすがもーる(春日通り)」に辿り着く。界隈は渋い呑み屋から艶っぽい店まで様々立ち並び、夜ともなれば酔客が跋扈する素敵な風情へと変わる。しかし、時はランチタイム。今回は、その春日通りのアーケード街にある1961年創業の老舗「中華レストラン さんぷく」で麺を啜ろう。
店舗は龍の描かれた看板が目印。ここ本店のほか、甲府昭和ICそばのイトーヨーカドー横に「昭和店」も展開している。また「さんぷく」出身者が創業した甲府の「一福」や、甲斐市の「麺屋 しん道」なども、県内のラーメンファンには知られる存在だ。そして店の人気を支えているのは、オリジナルの看板メニュー「つけそば」である。
創業者の安藤喜久道氏が「冷やし中華とは違う、もりそばのように夏向けの食べやすい中華麺を」と考え、スープや麺、具材の開発に5年。まずは従業員のまかない料理として始め、昭和45年に、当時は「広東珍麺 つけそば」という名前で販売をスタートしたという。いまでは店の代名詞となるまで人気のメニューになっている。
店内はカウンターとテーブルで合わせて40席ほど。着席早々に暖かいおしぼりとは、嬉しいねえ。麺メニューは、看板の「つけそば」が、麺量で並、ダブル、トリプルとあり、チャーシューや具材三点など追加トッピングが可能だ。ほかに細麺で啜るラーメン、酢辣湯麺、ニラそば、五目そば、広東麺、タンメンなども用意している。
また、中華レストランなので麺料理だけでなく、餃子、春巻、レバニラなどの炒め物、酢豚、海老チリといった一品料理や、チャーハン、中華飯といった飯モノもラインナップ。平日は「つけそば」に餃子か春巻かチャーハンがついて1000円というお得なセットもある。今回は「つけそば」に「具3点盛」を追加しオーダーした。
なお注文すれば細麺でも作ってくれるが、基本は太麺での提供となる。冷水でしっかりシメた太麺は、多加水でツルツル。コシが強くて美味い。一方のつけ汁は出汁よりも酸味と醤油のコクでサッパリと仕上げたもの。これはシンプルな構成が正解。盆地なので夏はとても暑い甲府で、この味は嬉しいだろう。箸が止まらない。
そして、つけ汁の中に、細切りで固めのチャーシュー、甘味あるメンマ、ネギが入る。具3点盛りが華やかさを加えてくれたが、無くても十分に楽しめただろう。最後はつけ汁に、ポットに入った「そば湯」を注いで完食。なお「つけそば」は1人前890円(税込)でお土産用もあり、地方発送も可能とのこと。気に入った方は是非。
<店舗データ>
【店名】 中華レストラン さんぷく
【住所】 山梨県甲府市中央1-4-9 2F
【最寄】 JR中央本線「甲府駅」南口徒歩12分