
オハグロトンボ(ハグロトンボが正式な名前のようです)
このあいだから裏庭に来ているオハグロトンボ。林や庭の日陰を4枚の羽を別々にひらひらさせて飛ぶ姿は、奥ゆかしく優雅。このように羽をそろえて止まり、羽先に力をこめるようにゆっくり開いてあおるように素早く閉じる動作を繰り返します。
息子が通っていた中学校や高校は山手にあったので、体育館や階段教室の中を飛ぶ姿が見られました。でも全国的には少なくなっているようで、これを見るとああ今年も無事に夏が来た、と思います。
“オハグロ”は江戸時代の女性が使ったお歯黒のこと。子供の頃家の庭でこのトンボを見つけて母に名前を聞くと母は
「オハグロトンボ。オカネトンボとも言うのえ」と教えてくれました。
カネはやはりお歯黒(鉄漿・かね)のこと。“誰に見しょとて紅かねつけて”のカネです。
昔、実家は街中にあったので、オハグロトンボは家の庭でだけ見るトンボでした。街中の庭に、どこから来ていたんでしょうか。築百何十年の家の庭の日陰に古風な趣のオハグロトンボがヒラヒラと舞う姿は、見るからにはかなく頼りなげに見えたものです。

作品公開HPへどうぞ