貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

クリーダイト

2021-12-04 17:43:10 | 単品



枯れ木も山の賑わい、というのはちょっと失礼か。
超絶繁盛の飲み屋、というのも変か。
とにかくわんさわんさとチビの結晶がひしめいている。

主役はクリーダイト(Creedite、クリード石)。Ca3Al2F4(OH,F)6(SO4)・2H2O。
カルシウムとアルミニウムのハロゲン化鉱物だけど、硫酸基もついてる。こういうイガグリ状でよく出る。白、茶、紫などの色がある。少しばかりレア。でも2000円ちょっと、と高くない。セルフクリエーションさんで購入。
名前は米国コロラド州の地名から。これはメキシコ産。
それにフローライト(CaF、同じハロゲン化鉱物)がお供している。さらに長石( (Na,K,Ca)AlSi3O8)が後から割り込んでいる。





こういうの、どうやってできるんでしょうねえ。最初にカルシウム、アルミニウム、フッ素、硫酸が豊富な熱水があって、クリーダイトがばんばんできていたけど、そのうちアルミと硫酸が不足しだして、フローライトができる。フッ素がなくなってから新たに長石の成分を含んだ熱水が流入する。そんな感じでしょうか。わからん。

「共生結晶」というのは、いろいろとあって面白い世界です。
「〇〇は××とよく一緒に出てくる」という記述はあちこちで見られます。例えばインド産のカバンサイトは必ず束沸石と一緒に出てくるみたい。共通の成分があって、それにひっつくものの違いで党派が分かれるみたいなものでしょうか。セルフクリエーションさんのサイトには「水亜鉛銅鉱と異極鉱と珪孔雀石の混合体」さらにそれに「ローザ石とグリーンスミソナイトも」というのがあります。
でもしばしば、普通はあんまりないけど□□と◇◇が共生している、なんてのもあるようで。セルフさんの例では「バーライト(重晶石)とタンザナイトの共生」とかあります。どこかで見たのは水晶とフローライトが競うようにびっしりと詰まっている、少し恐ろしい感じのするものでした。
一個の標本で複数の石が味わえる、なんていうのは貧乏人の発想かな。
「どうやってできたのだろう」「これとこれはガチで戦っているな」「これは隙間をうまく突いたのかな」「こいつは後から引っ付いただけの便乗者だな」などとあれこれ想像するのが楽しい。
「こういうのが採掘されずにまた新たな熱水が入ってきたらどうなっていくのだろう」などと想像すると少し頭がくらくらする感じ。鉱物もまた生成し流転する。「成長干渉結晶」とか「蝕像結晶」とか「仮晶(結晶形だけ残して中身が変わる)」なんていうのも、そういう鉱物の流転を物語るものでしょう。
鉱物生成の裏側を少しばかり垣間見るような、そんな楽しみがあるように思えます。