貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

コーネルピン 驚嘆の多色性

2021-12-12 14:31:56 | ややレア

もしあなたが一つ理想の石を作ることができたら、どんな石を作りますか。(何か変な出だしだな)
どこまでも澄み通った青、あるいは別の好きな色、の石でしょうか。
美しい結晶の中に色が滲む石でしょうか。
不透明だけどぴかぴかに輝く石、あるいは模様が素晴らしい石でしょうか。(おい、もぞもぞするぞ)

まあ「好きずき」ですね。どれが一番ということはない。
あちきは、やはり華麗な方向変色を見せる石がいいかな。
ある角度から見ると澄み通った青、別の角度から見ると緑や紫、そしてところどころに赤やオレンジや黄色が輝く、そんな石がいいかな。
いや、そういうのけっこうあるぜ、と言うかもしれない。オパールはいいものだと七色の輝きをきらめかせる。スペクトロライト(ラブラドライト)もかなりの色を見せるものがある。ダイヤモンドとかもカットが上手ければ七色のきらめき。ビスマス人工結晶なんて、クリスマス飾りばりの多色きらきら。いやいや、普通の透明石にクラックが入っていて、虹色に輝くこともある。
そういうのではないんだなあ。
それらは皆、「反射光」ですよね。反射光が七色に揺らめくということは、割合普通にある。オパールの遊色やラブラドレッセンスも、干渉反射光ですよね。きらきらの光。
そうではなく、「透過光」の色。石自体が色づくもの。それが揺らめくように変わる。

前に挙げたアイオライトの丸玉や、アンダルサイトアキシナイトの原石は、それに近いですね。あれらはもちろん大好きなものです。ただしあれは強い光を透過させた時のこと。少し特殊と言えば言えるかもしれない。
大きくて薄い基本色を持った透明で、そして普通の光を受けて見る方向によって様々な澄んだ色を見せる。そんな石があれば、素敵なんではないか、と。

と常々思っていたのですけど、ほぼそれに近い石を見つけてしまいました。
コーネルピン。
ウェブサーフィン(古いぞ)をしているうちに、KARATZ さんのサイトで、「多色性」を見せる石として上がっていたもの。載っていた写真がとても美しい。
無茶無茶高いわけでもなかったので、よく知らないまま、ぽちっと。

0.66ct。4ミリほどと小さい。けれど、その色たるや……。
基本は薄緑。それが青に変わり、紫に変わる。
赤はさすがにないけれど、ひょっとした具合で黄色が見える。











残念ながら写真では微細な色彩の変化は捉えられない。あちきの器材と技術のせいもあるけど、カラッツさんのプロの商品写真をもってしても写し切れていないのだから、肉眼で見るしかないものなのかもしれない。

コーネルピン。コルネルプ石。Kornerupine。
組成は (Mg,Fe2+)4(Al,Fe3+)6(SiO4,BO4)5(O,OH)2。双結派(ソロ珪酸塩)。
なかなか複雑。苦鉄質鉱物(Mafic Minerals、マグネシウムと鉄を含む。橄欖石、輝石、角閃石、雲母族鉱物などが属する)に属するのだろうけれど、硼酸、水酸基も含む。含水鉱物でもある。ちなみに橄欖石(ペリドット)は (Mg,Fe)2SiO4 とはるかに単純。
変種にプリズマティン(Prismatine)というのがあって、これは「硼素が多くなった独立鉱物、1999年IMA承認」とのこと。バナジウムを含んで緑になったものという見解もあるけれどそうではないらしい。こちら参照。

まいりました。
アイオライト、アンダルサイト、アキシナイトの多色性に勝るとも劣らない、このカラーチェンジ。しかも通常光で。そして通常の姿は透明で淡く美しい色。
願わくは、もっとでかいのがあったら。こんなんで2センチくらいのものがあったら、素晴らしいでしょうねえ。目玉が飛び出る値段になるだろうけど。いやそもそもないかも。

そうですねえ。コーネルピンを大きくして、もう少し赤やオレンジなどにも変化するような石。それがあちきにとって今は理想の石かもしれません。


東京ミネラルショーはでかい

2021-12-12 14:22:58 | 漫筆

金曜日に東京ミネラルショーに行ってきました。実は初めて。
店大杉。
人大杉。
石大杉。
何かスターウォーズの帝国軍の巨大母船に突っ込んでいく気分。(古っ)
こんなにお店があるものか、こんなに石好きがいるものか、こんなに石が商品になっているものか、とひたすら感嘆いたしました。つか圧倒されました。
4時間近く、ペットボトルのお茶で口を潤しただけで、ジジイとしてはよくもったものです。
まあ貧石ですから人に見せびらかすような戦利品はありません。某石屋さんの安売りセールのおかげで金欠だし。

何せ新米なものでよくわからないのですけど、ああいうのはどう立ち回るのですかね。
決めたお店だけに集中するのか、ふらふら浮遊して目に止まったものをゲットするのか。入場料なんか気にせず何回も通うのか。
時間を止める能力があったら、フリーズさせて、四、五日掛けてじっくりとすべての店を眺めてみたい、なんて思ったりもして。けどそんなことをしたら食傷して石好きが消えうせるかもしれませんな。

つらつら思うに、来場者はたぶん、アクセサリー目当ての人が三分の一、コアな鉱物オタが一割、あとはまあ、一般的な石好きの人たちなのかなあ、と。よくわかりませんけど。
感じたのは、皆さん、けっこうお上品ですね。あんまり粗野な人はいない。ふうん、と。

お店もそれぞれカラーがあって面白い。
店主店員さんたちも、商売人らしい社交性豊かな人もいれば、その真逆の人もいる。後者は石オタが高じて石屋さんになった内向タイプなのでしょう。

石はもちろん現物を見て買ったほうがいい。けどそれには出向いていって、人と接触しなければいけない。あちきも含めて内向タイプの人たちは、それが面倒でついネットで、となるのではないかな、と思っていたら、この人出を見て、そんなことはないかと思ったり。
石屋さんも、コストの掛かる実店舗を持たずネットで勝負、という傾向は強まっていくでしょうけれど、そういうお店は返って催事出店にも力を入れているから、ショーやマルシェはなくならないのでしょうね。

しかし、規模でかすぎ。店多すぎ。半日で入れ替えは、ちときびしい。
目当ての店だけ行きなさい、ということかな。