貧乏石好き

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「大陸」はいつどうやってできたのか[メモ]

2023-03-03 10:07:44 | 地球のお話

どうもとんでもない迷路に迷い込んだようで。

美しい石どもを見ておりましたら、いろいろと思いまして。
 
こやつらはどうやってできたのだろう。
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どうも「ペグマタイト」「スカルン」「熱水鉱床」あたりがキーワードみたい。
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どれにも「花崗岩」と「水」が関係しているらしい。
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花崗岩って大陸地殻の主役らしい。
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花崗岩ってどうやってできたのさ。
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プレート沈み込みの際の水で大量生成されたらしい。
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大陸地殻って何なのさ。そもそもどうやってできたのさ。
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大陸地殻(の安山岩・花崗岩)はプレート沈み込みで作られる。けどそのプレート沈み込みは大陸地殻がないと起こらない。あれ? 変じゃね?

     *     *     *

『プルームテクトニクスと全地球史解読』(熊澤他、2002年、岩波書店)という本を見つけまして、大変面白そうな本なので、ちょっと囓り始めました。
そこに「地球史を画する7大事件」というのがありました。以下のE1~7。◇は補足。

E1 46億年前 地球の誕生。ここからE2までは冥王代で物証なし。
E2 40億年前 現在発見されている「物証」の最古。太古代の始まり。すでに生命は存在した。
E3 27億年前 大規模火成活動。磁場強度急増。大陸地殻の急激な生成。
  ◇25億年前、太古代の終わり。原生代の始まり。
  ◇24億年?前、全球凍結?
E4 19億年前 大規模火成活動。巨大大陸の生成。光合成生物の大繁殖と大気中の酸素増加。
  ◇17億年前から大陸の大規模水没。
  ◇10億年前から大陸の露出増加。
  ◇7億年?前、全球凍結?
E5 6億年前。大陸分裂と新海洋の生成。多細胞生物の突然増加。
  ◇5.4億年前、「カンブリア爆発」。原生代の終わり。古生代の始まり。
E6 2.5億年前。海洋酸欠と生物大絶滅。中生代の始まり。
  ◇0.65億年前、隕石衝突で恐竜絶滅。新生代の始まり。
E7 現在。ホモサピエンスの高度な活動。(半分冗談らしい)

この46億年~40億年前の「冥王代」は、現在のところ、残っている物がまったくないので、確かなことがまったくわからない。理論やシミュレーションでいろいろ推論するしかない。星間物質の集積、マグマオーシャンの形成、核の分離、「ジャイアントインパクト」(巨大衝突と月の生成)、隕石の重爆撃、地殻の形成などがあったとされる。
そこで「陸」がどうやってできたのかは、まったく不明。27億年前に大規模なマグマ活動があって、大陸地殻が急速に拡大したとされているけど、その前に「陸」があったのか、どのようなものだったのかはわかっていない。
ただし、「アカスタ片麻岩」は約40億年前の花崗岩。花崗岩ということは、すでに陸があったことを窺わせる。何じゃこれ。

大枠の主流的な考え方は次のようになるらしい。

①マグマオーシャン。溶けたどろどろの地球。
②冷えて「原始地殻」(玄武岩)ができ、海に覆われる。
③地殻の偏りなどの理由で亀裂・沈み込みが発生。
④原始プレートテクトニクスが生まれる。(地殻の沈降消滅とマグマの噴き上がりによる地殻新生のサイクル。)
⑤地殻沈降による水の作用で安山岩マグマが造られる。
⑦それが何らかのプロセスで表面に集まり、「安山岩大陸地殻」が生まれる。
⑧大陸地殻の下に沈み込んだ海洋プレートの水によって花崗岩が大量生成。
⑨さらに火山岩や堆積物(付加体)などが加わって現在の陸地ができる。

どれも異論はあるらしく、確定していない。特に⑦の安山岩マグマがどうやって上に集まって「原・大陸地殻」ができたのかは、はっきりしない。例えば、火山噴火でできた「島弧」がプレート移動で集まって大陸を形成したという説があるけど、どれだけ支持を得ているのかは不明。また最初の花崗岩がいつどうやってできたのかもはっきりしない。
おまけに、同書に収められた「プレートテクトニクスはいつはじまったのか」という論文によると、現在型のプレートテクトニクスは遡っても10億年前、それ以前の「古型」プレートテクトニクス(部分的なスラブの対流)でも遡りうるのは19億年程度だという。は? 大陸地殻の形成が27億年ほど前だというなら、「プレート沈み込みの加水で作られた安山岩マグマによって大陸地殻が造られた」という説が成立しなくなるぜよ。

謎だらけ。けどだから面白い。
「全地球史」の解明は、宇宙・海底の探査、地震波や微細物質の解析進化、コンピュータによるシミュレーション研究などが劇的に進歩しつつあって、どんどんと新しい発見がなされている。素人には細かいことはわからないけれど、思いも掛けない新見解や斬新な理論が生まれているのを傍から見るとわくわくする。
この『プルームテクトニクスと全地球史解読』という本、もう20年前のものになっています。もしかしたら今はさらに進んだ知見があるのかもしれないけど、ものすごく刺激的で面白い本です。


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