貧乏石好き

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恋路海岸の霰石(アラゴナイト)

2024-12-22 10:33:47 | 国産鉱物

こんなものがネット市場に出るとは思いませんでした。
能登・恋路海岸の霰石。ヤフオク。あまり高くならずに落札できたのはラッキーか。

これ、前に「カルサイト・アラゴナイト問題」の記事でちらっと触れているのですけど、その時は「マニアの間の秘密」かなあと思って、産地名は出さなかったのです。深掘りもしなかったので、記述が間違ってもいた。ところが、ちょっと調べてみると、これ、金沢大学の資料館にも収蔵されているけっこう有名な石らしいということがわかりました。
能登半島の先端近い恋路海岸で、波打ち際に散らばる玄武岩を割ると、中にアラゴナイトが出ることがある。六角柱の放射状・放射球状クラスターもしばしば見られる。金沢大学のものは少し大きめの六角柱結晶。ネットから拝借。

セラドナイトやアポフィライトも付随することがある。とのこと。
オークションの説明には
《古くから有名な古典的産地の標本です。約30年前に採集されたもの。美しい紫色結晶の放射集合体です。現在では採集は難しいとのこと。》
と書かれているけど、ネットにはわりと最近の収集報告もある。
まあ、あんまり市場には出回らないようですけど。。

ただ珍しいだけではなく、美しい。
薄紫で結晶面には虹色が輝く。



緑色のはセラドナイトでしょうか。


「カルサイト・アラゴナイト問題」はえらく難解。アラゴナイトは一般的に高温・高圧環境でできると言われているが、海水沈殿や貝などでも生成される。
この恋路海岸のアラゴナイトは、玄武岩内の空洞にできているけれど、生成プロセスは不明らしい。セラドナイトなどと一緒に出るというから、地中深くの高温高圧環境でできたとは思えない。
セラドナイトは、KMgFe3+Si4O10(OH)2、雲母の一種だけれど主に土状で出る。高温高圧での生成ではなさそう。
高マグネシウム環境ではアラゴナイトができやすいというから、案ずるに、玄武岩中の空洞に炭酸カルシウムを含んだ水が浸み入り、玄武岩に含まれるマグネシウムの影響でアラゴナイトになったのではないか。しかし大きな結晶ができるには、相当量の熱水が必要でしょう。次々に入って来て結晶したということですかね。ううむ。謎。

不思議でとてもいい石です。お近くにお住いのハンターさんにはぜひチャレンジしていただきたいですね。


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