この頃は「何じゃこりゃ?」と思う石もあまりなくなりまして、ちょっとつまらんと思っていたのだけど、久々に「何だよこれは」というのに出会いまして。
ラブラドライト。いろんな色で輝くシラー「ラブラドレッセンス」で人気の石。たくさん出てる。
しかしこんなん見たことない。
普通ラブラは磨いた表面の全面に美しいラブラドレッセンスが出る。青だったり紫だったり。
これは縞々。は?
さては、普通はラブラドレッセンスを美しく出すために層面に水平に磨くところを、へそまがりで垂直に磨いたのではないか?……
ラブラドライト Labradorite は斜長石(プラジオクレース・シリーズ)に属し、アノーサイトとアルバイトの比率が7:3から5:5のものを言う。組成式は (Ca,Na)[Al(Al,Si)Si2O8]。ややこしい。minndat から拝借。
ちなみに、グーグルAIはプラジオクレースを検索するとこんな要約を最初に出してくる。
「プラジオクレースは、長石の一種である斜長石(フェルドスパーグループ)に属する天然石で、ムーンストーンの変種とされています」
ムーンストーンの変種って何だよ。AIの現状ってこんなもんなんかい?
で、ラブラドレッセンスとは、ラブラドライト中でアルバイトとバイタウナイトが薄い層構造を作っていて、そこで反射光が干渉して美しい色の輝きを出す作用。この層を「離溶ラメラ exsolution lamella」と言う。
《高温でできた固溶体鉱物が、ゆっくりとした温度の低下で固体の状態で2種以上の鉱物に分離することがあり、これを離溶という。……離溶した鉱物には、1つの結晶中で別種の離溶した鉱物が直線的に配列している離溶組織という組織が見られる。》倉敷市自然史博物館「離溶組織」
そしてラブラドライトの離溶ラメラの厚さは「128ないし252ナノメートル」だと言う。
おやおや、これでは層に垂直に切ったら目には見えないですな。
つまりはこの縞々は、「離溶ラメラ」の模様ではなく、ラブラドライト自体が作り出しているということになりそう。
輝かない部分は組成が違って「離溶ラメラ」が形成されなかったということですかね。
層に水平の部分は細くてわからないけどラブラドレッセンスは出てない。磨けば出てくるのかもしれないけど、どうもラメラは石の層に垂直にできてるみたい。
うーむ。わからん。
mindat のフォトギャラリーを見ても、多少筋模様になっているのはあるけど、これほどはっきりした縞々模様を見せるラブラドライトはない。
離溶でラブラドライトができて、その中でさらに離溶ができたということ?
しかもこの縞々、驚くほどにきっかりと直線的で輝きも美しい。
ひょっとするとかなり珍しいラブラドライトではないかな。
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