絵や詩をかいています。
制作日誌
この場所から
少女は本を読んでいる
背もたれのまっすぐな椅子にかけ
小さく閉じたひざの上
きりりと結んだ口もとが大人びて見える
少女は指先で文字列をなぞり
ていねいにページをめくるが
かたくなに姿勢はくずさず
ただ本を眺めているだけのようだった
ときおり聞こえる薄紙のこすれる音が
羽音のように
破片のように
わずかな意志であるかのように
多くの望みは持たなかった
ほつれたスカートのすそ
立ち上がるきっかけを失くして
時間だけが行き過ぎた
わたしは私
まとったベールを脱ぎ捨てて
いっとき海と砂浜の広がる場所で
はしゃいでいる姿を思い浮かべる
水平線をすべっていく
遠くへ運ばれていく
演じ続けることを休めたとき
ようやくひとつの物語りを話しはじめる
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