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カウンター

書机にて


午後三時
冬の西日が液晶画面を
鋭角に照らしている
色味の褪せる心配よりも
日暮れの訪れを案じている

マップをひらくと
群馬八幡駅まで徒歩二十一分
新入り電動車椅子の操作は
秋のうちに習ったので
もうどこへでも行けそうだ
信越本線に乗っていよいよ都会へ

そう画策していると
デイサービスから母が帰ってきた
一度目はすぐに逃げてきたが
甘柿を袋ごと抱えていった
若作りケアマネが気に入ったらしい
片手に押し花カレンダー

壁には自作の絵画二点
魚が二匹游いでいるような
クレー風な画と
緑と青のV字のあいだに
真っ赤にこぼれる溶き油
木枠には埃らしき白粉

溜まった日記と
催促のない原稿
読みさし詩集の礼状
イイね履歴
膝掛け用ブランケット
年賀状はミッキーマウス
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