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父は畑仕事と酒ばかりの毎日で
よくある家族旅行のような
団らんのシーンも見つからないが
たまに釣り堀だけは
連れて行ってくれたことが思い出される

平日のまだ早い時間
軽トラックで里見街道をのぼり
倉渕村の雪解け浅い道を入って行く
駐車場から池までは砂利道で
このときだけは父が車いすを押してくれた

父はせっかちだったからか
目方でたくさん釣れる場所を選んだ
三十分くらいすると
バケツはマスでいっぱいになった
風流というより慌ただしい釣りだった

帰りは山あいの食堂でお昼を食べた
私はいつもラーメンを注文した
山の空気に気持ちが洗われたせいか
その美味かったこと
父と二人で向かいあって食べた

家に戻って袋に詰めた大漁を母にわたすと
こんなにと驚いた声で笑った
多いときはとなり近所に配った
残った分を夕食に焼いて家族三人で食べた
写真一枚にさえも映っていないが
いま思うと楽しいひとときだった
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