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結末


再起をかけたシナリオの結末は
悲劇にするつもりだった
日々の暮らしに頭をかかえ
あちこちに 紆余曲折の生涯
それゆえ 哀しみや不幸は
きっと共感を呼ぶだろう
涙するだろう
さらにわたしは…

世の中を見てください!
争いに犯罪 災害や自殺
傷だらけですよ
そのうえまだ悲劇で
追い打ちをかけるのですか?
たとえ… 嘆きがあったとしても
結末は ハッピーエンドにするべきです
感動は 限られた人だけのものです
幸福こそが 万人の喝采を浴びるのです

いいえ
悲劇でもロマンスでもないの
喜劇なのよ
失恋は ユーモアで華やぐの
死んだ人も 生き返るわ
どんでん返しは 必要よね
ユーモアは何でもありの ユメなの
観衆はその夜 安心して眠りにつけるの
現実なんて だれも期待してないのよ

無言ですな コホ
語らないことです
この近代文明では
皆が進歩にあやかっております
幸不幸は もはや流行おくれです
我々は 舞台のみを用意するのです
観衆には のぞむような結末を
自由に想像してもらうのです
つまり白紙 ということですな

――明け方まで議論は迷走し
そのどれもがヒットするようにも
そのどれもが失敗するようにも思われた
このぶんだと 大傑作の結末は
おもいどおりにいきそうもない
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