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カウンター

駅ビル喫茶


平日の一角はゆったりとして
注文はいつものと決めているのに
メニューをひらきながら
きのうの夢や
いたらなさがちらついて
ウェイトレスを待たせている

ケーキセットのアイスティー
と彼女は復唱した

花模様の皿にかたむいたケーキは
見かけほど甘みがなく
気づいてカメラに収める
正面の椅子が
空間をもてあましている

柱の反射鏡に
ウェイトレスの横顔が
ふり向いて
ばっちり目線があってしまい
シャボンがあふれて
グラスから香気がこぼれた

まだ いるだろうか 
あの髪のながさで
あのままで

釣り銭とレシートをつかむと
指先が手のひらに触れた
目線はそむけて
暗がりの階下へ 約束はなく
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