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純情恋話


小学生もしまいのころ
ブラウン管の女性にあこがれて
授業中に夢想していた
髪のながい女性は みなみさおり
アイドル歌手の先駆け
いつも彼女は雲の上

中学生もしまいのころ
転校してきた女子は
なんと髪のながいよく似た子
ただほんのり
彼女の横顔を眺めているだけで
心まどろむ気持ちになった

けれど私は会うと
彼女をからかい
意地悪をして泣かした
ませた女子はどこにでも居るもので
好きなくせにと耳打ちされ
自らの天の邪鬼に気づく

もし同窓会なんかで
初恋披露でもはじまったら
この辺りを話そう

それにしても
女子にはからきし駄目で
出会いはあっても
いつだって
「またね」
と手をふる押しのなさ

こんな調子だから
未だ独り身
たぶんこれからも
ずっと…
かわらず弱虫ね?
ませた女子がまた尋ねてきた
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歳をとると


出前が遅くて
ピザ屋の電話をリダイヤル
太っちょヘルパーは追い返し
操作が難しすぎて
受付嬢に返品を詰めよる
我慢 我慢

歳をとると
怒りっぽくなる噂は本当のようだ
その行く先が
自由なのか孤独なのか
嫌悪と心配が置き忘れられた
通行人が笑顔でのぞき込む
ならば私はまだ未熟

ある寝静まった夜に
チャップリンのマイムを
ひざを抱えて見入っている
こちらのもろさは
独りでならば
隠しとおせると思うのだけど

…と上手く書けたとつい浸る
オチもずいぶんと洒落てきた
詩や死も
いちいち気になってきた
じつは小心者じゃないか
あれは勘違いだったと
いくつかふり返るようになった 
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