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カウンター

腕時計


初めて腕時計を買ったのは
高校一年生のとき
町で唯ひとつのデパートで
金属製のバンドに青い文字盤

おどおどと手首にはめると
急に大人になった気がした
そでに隠して まくって眺めて
傍らで輝きはじめた

ガラス越しの長針と短針は
朝と夜をおなじに抱えて
弧をゆっくりと描きながら
くり返し行き来した

たえまない軌道は
昨日と今日のふちを重ね
その過ぎた分だけ
よろこびや落胆があった

願いは浮き 沈み
投げやりにさえなったが
時はいつでも平坦に
予期せずここまで運んでくれた

耳に近づけると
錆びついた針の遅れと
加速する私の時が交わり
残された目盛りばかりが気になる

手首についた白色の痕
ケースに仕舞われた腕時計は
おなじ姿のままで
今では時を見つめている
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