広島鉄道模型友の会 公式ブログ

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競作紹介『日銀所有車クモニ145』

2010年09月05日 | 会員の作品


昭和59年、国鉄は経営の効率化で必死であった。利用率の悪い列車を削減し大量の余剰車が発生したが、特に世界初の寝台電車583系の処遇に頭を悩ませていた。そこで浮上したのが急行『きたぐに』『銀河』の置換え計画であった。
計画では向日町区の583系6編成を急行用に転用し、利用率の高かったA寝台は2段寝台化によってサロネ581を作り出すことっとなった。
当初、置換えはスムーズに行くものと思われていたが、ここで思わぬ問題が浮上した。それは日銀券輸送のマニ30が『銀河』に頻繁に連結されている事だった。
ちょうどその頃、日銀から国鉄に輸送専用車の増備の話が持ち上がっていた。そこで増備する車両を電車タイプにして、東京~大阪間専用の車両として余剰となるマニ30を他線区の増強用とすることで日銀と国鉄が合意し、また客車急行の電車化計画も進められる事となった。

新型の荷物電車を設計するに当って、現行のマニ30と同等の積載荷重と添乗員スペースの確保を要望され設計陣は頭を悩ます事となった。
郵政省所有クモユ143をベースにした1M方式で設計が進められたが、積載スペースの確保に苦労した。運転室は防犯上、上下列車共に最後部に連結され、運転台の使用は始終点での回送に限られるので201系と同じスペースとした。添乗員の居住室は、区間も限定されるので寝台設備は1区画とすることで、マニ30並の荷物スペースが確保された。
車体長はマニと同じ20.8mであるが、荷重14tとすると自重は39t以内でないと軸重制限53tをクリアーできない。自重を少しでも軽くする為に車体はアルミ合金製とし軽量化を計った。また車端部が接触限界を超えるので角を丸くしており、運転室の配置がクモユ143と少々異なっている。
車内は、運転室、第1荷物室、寝台、便所、居住室、洗面所、第2荷物室、運転台の順に配置され、水タンクは床下スペースの関係で屋根上に設置されている。
制御方式はクモユ143と同じであるが、最高速度が110km/hなのでギア比が変更されている。
台車装置は乗り心地向上のためDT32としたが、重量増に対して台車枠を強化したのでDT32Lとした。
パンタグラフはPS16、クーラーはAU13Eを2基(1基は予備)装備しクーラー用電源として20kvのMGを用いた。汚物処理装置を設けているが、耐寒耐雪設備は装備していない。

クモニ145は2両が新製され田町電車区に配置され、583系化された『銀河』に併結されて活躍している。



後日談…
国鉄末期に田町区から向町区に転属して引き続き『銀河』に併結されていましたが、『銀河』が廃止された現在では、足回りをVVVFインバータ化され、併結相手も285系『サンライズ瀬戸・出雲』となりました。塗色はサンライズと同じとなり、実現しなかった交直流荷物車を思わせるスタイルで今も走っている・・・はずです。

※この物語はフィクションです。

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