労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

中島ゼミ 労働契約法旧20条最高裁判決以降の判例からパート有期法8条への応用編

2021-04-21 | 書記長社労士 お勉強の記録

 先日の、中島光孝弁護士を迎えての中島ゼミでは、パート・有期法8条に関しての2つの判例を学習。

アルパイン事件【東京地判令和元・5・21】
 音響機器の製造販売を行う会社(被告)の従業員であった原告が、定年退職後の再雇用において、開発担当部署を希望したが、希望に添えないことを説明されたために再雇用を拒否し、その後定年により退職することとなったが、希望どおりの職種での雇用契約が存在するとして会社を訴えた事案。

名古屋自動車学校事件【名古屋地判令2・10・28】
 自動車学校の経営等を目的とする株式会社である被告を定年退職した後に、有期労働契約を被告と締結して就労していた原告らが、無期労働契約を被告と締結している正職員との間に、労働契約法20条に違反する労働条件の相違があると主張して、被告に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る損害賠償を求めるなどの請求をおこなった事案。


 アルパイン事件は「定年後再雇用における従前と同じ職務内容を条件とする労働契約の成否」、名古屋自動車学校事件は「定年後再雇用者の基本給・手当・賞与にかかる労契法20条違反の有無」。
アルパイン事件は、そもそも高年齢雇用安定法9条に関する裁判なのだが、今回のゼミでは、原告がもし定年後の労働条件の差異について、パート有期法8条に反すると訴えた場合はどうなるかについて応用。
名古屋自動車学校事件では、名古屋地裁は、定年時の基本給の6割を下回る部分を違法と判示。
賃金センサス上の平均賃金や若年正職員の基本給を下回り、労使自治が反映された結果でもないとした。
基本給がベースの賞与(一時金)も差額支払いを命じている。
この判決については、ハマキョウレックス事件を踏襲した判断であるかどうか、老齢厚生年金の受給は労契法旧20条・パート有期法8条の「その他の事情」となると判断したか、原告と被告の協議についてどのように評価しているか、不合理という評価はどのようになされたか、定年後再雇用契約についてどう評価したか、判決では正職員定年退職時の基本給の60%を下回る限度で不合理とされたが明確な基準は見いだされるか、などについて学ぶ。


 名古屋自動車学校事件では、
〇再雇用にあたり主任の役職を退任したことを除いて、定年退職の前後で、その職務内容および変更範囲に相違はなかった。
〇基本給が定年退職時の50%以下に減額されてしまい、原告らに比べて職務上の経験に劣る若年正社員の基本給を下回ったこと。
〇原告らの正社員定年退職時の賃金は、同年代の賃金センサスの平均賃金を下回るものであったこと。
〇労働者と会社との間で、嘱託職員の賃金に係る労働条件一般について合意がされたとか、その交渉結果が制度に反映されたという事情がないこと。
〇基本給は、一般に労働契約に基づく労働の対償の中核であること。
◆嘱託職員の基本給は、長期雇用を前提とせず、年功的性格がないこと。
◆原告らが、退職金を受給しており、要件を満たせば、高年齢雇用継続基本給付金及び老齢厚生年金の支給を受けることができたこと。
などの事実が争点となり、「基本給の待遇差も違法となりうる」上に、基本給の待遇差に関し、「労働者の生活保障という観点」から、60%を下回る限度で違法であるというメルクマールを示した判決で、労働組合的には今後の労使交渉にとって嬉しい。
定年退職後再雇用の従業員の基本給を見直すことを検討する企業が出てくることも予想され、今後の定年退職後再雇用従業員の待遇を検討するうえで考慮すべき事例となって、企業側にとっては頭が痛い判例であろう。
今回の中島ゼミも、たいへんお勉強になりました。


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中島光孝弁護士「Q&A 労働者視点でめざす同一労働同一賃金 最高裁判決を踏まえた交渉・手続のポイント」

2021-04-12 | 書記長社労士 お勉強の記録
 ゼミ形式にて少人数の社労士で判例を学ぶ勉強会「中島ゼミ」で講師をしていただいている中島光孝弁護士が、労働者側の視点で同一労働同一賃金を解説し、そして使用者側との協議・交渉・手続き、さらには訴訟を提起する場合を指南する「Q&A 労働者視点でめざす同一労働同一賃金 最高裁判決を踏まえた交渉・手続のポイント」を著作された。


2021年4月、ついに中小企業でもスタート!
2件の最高裁判決(「ハマキョウレックス事件(2018.6.1)」「日本郵便(西日本)事件(2020.10.15)」)の代理人弁護士が、労働者視点で解説!

●裁判で鋭い対立となった争点と裁判所の判断、使用者が出してくるであろう提案、その提案を検討した上での交渉への臨み方、訴訟を提起する場合の主張の要点 等について解説。
●労働者、労働者を支援する労働組合、相談を受ける社会保険労務士・弁護士はもちろん、使用者側弁護士にとっても参考となる一冊。
●参考となる書式構成例も収録。

下記5ポイントがわかる199問のQ&A!
1 労契法旧20条に関する、7つの最高裁判決の分析
2 最高裁判決から読み解く、職務の内容の同一性、均衡待遇といった判断基準
3 新しいパート・有期労働法8条・9条の適用事例
4 事業主との交渉の流れと取るべき対応
5 ガイドライン、厚労省の「基本給点検マニュアル」の解説



 私たちのゼミと同じように、具体的な設問を設定し、それに答えていく形で理解を深めていく方式。
労働契約法旧の20条と、パート・有期法8条・9条の違いが混同しやすいが(特に7つの最高裁判決の解釈との関係)、そこを丁寧に説明してくれているところが、非常に助かる。
そして、やはり自分の立場としては、第4章の「協議・交渉・手続」がたいへんお役立ち!
それとちょっとマニアックながら、第3章「同一労働同一賃金」に関する法制度の第6 行政上の支援・指導・監督で、厚労省の事業者向けマニュアル、職務評価、ILOの職務評価項目などが紹介されていて、労働者側としての留意点が書かれているが、ここがいい。
パート・有期法8条は「事業主」に対する規範であって、罰則もなく、また、労基法13条後段の補充的効力も持っていない、という点が労働者や労働組合として、当面の対応が難しい。
そのために第4章第2の行政手続の解説は、心づもりとして頼もしい知識になる。
ちょっと言葉が難解なので、法律や判例を読み慣れていない人にとっては、読破するのに苦労されてしまうかも知れないが、そこはさらっと読んで、ニュアンスを理解出来ればそれでいいし、実際に困ったことがあれば、その設問を探して、誰にどういう風に何を相談したらいいのかのを読み取ればいいかも。

 自分も実際に、北海道のとある労組からの相談の際に、早速、この本を活用してアドバイスすることが出来たので、もう役立っています。
中島先生、ありがとうございます!!


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オンラインになったおかげで参加出来るようになった「中島ゼミ」、今回は国際自動車(第二次上告審)事件「割増賃金相当額を控除する賃金規定の有効性」について学んだ。

2021-02-24 | 書記長社労士 お勉強の記録
【🏃Run6-15 5.31km 31:47 馬入河川敷】 中島光孝弁護士に講師をしてもらい、ゼミ形式にて少人数の社労士で判例を学ぶ勉強会は、2009年6月26日(金)からスタートした。
第一回の「ネスレコンフェクショナリー(関西支店)事件(大阪地裁判 平17.3.30)」から参加させていただいて、「わいわいランド雇用拒絶損害賠償請求控訴事件」【大阪高判平13.3.6】「管理監督者労働時間制度」(判例を記録していない)「大阪府労働委員会(アサヒ急配事件)」【大阪地判平19.4.25】「三都企画建設事件」【大阪地判平18・1・6】岩城硝子ほか事件(大阪地判平10.12.22)「ラクソン事件(東京地判平3.2.25)」「電通事件」(最高裁小判 平12.03.24)東京日新学園事件(東京高裁判平17.7.13)秋北バス事件フジ興産事件【最小判平15・10・10】「改新社事件」【最小判平9.1.28】などなど(漏れもあるかも)、ひじょうに勉強になる勉強会だったのだが、東京での勤務となって2012年8月31日をラストとして、泣く泣く自分は離脱した。

 しかし、2015年06月24日には、ちょうど大阪に帰っているときとスケジュールが合ったので、久しぶりにスポット参加させてもらった。(労基法上の労働時間と労働契約上の労働時間・賃金との関係
そしてコロナ禍の今、中島ゼミがなんとzoomでのオンラインゼミとなったおかげで、昨年の10月30日の中島ゼミに参加することが出来、「労契法20条判決の検討」ということで、①ハマキョウレックス事件最高裁判決(2018年6月1日・民集72巻2号88頁)、②長澤運輸事件最高裁判決(2018年6月1日・民集72巻2号202頁)、③大阪医科薬科大学事件最高裁判決92020年10月13日)、④メトロコマース事件最高裁判決(2020年10月13日)、⑤日本郵便(佐賀)事件最高裁判決(2020年10月15日)、⑥日本郵便(東日本)事件最高裁判決(2020年10月15日)、⑦日本郵便(西日本)事件最高裁判決(2020年10月15日)についての、判決の内容と、労契法旧20条の解釈適用について学んだ。

 そして、先日の2月19日、オンラインゼミの2回目にも参加、オンラインになってもっとも恩恵を受けていると指摘されつつ、参加。
今回は「割増賃金相当額を控除する賃金規定の有効性」として、国際自動車(第二次上告審)事件(最高裁第一小法廷令和2年3月30日判決)について学んだ。


 この裁判については、このブログでも2016-03-23に「歩合給の算定に当たり割増賃金相当額を控除する旨の規定の有効性」で、一番最初の裁判の判決が労働側勝利で「そらそうだ!」という趣旨で書いた。
が、しかし、なぜか最高裁で差し戻しにされ、他の2つの同様の事件と共に、会社側が勝利し続け、「なんでやねん!」ってなっていたのだ。
で、昨年3月30日、国際自動車残業代請求事件に関する3つの訴訟の最高裁判決の期日で、傍聴しにまで行った。
2020-04-01の記事「国際自動車残業代請求事件 最高裁で3つの事件とも労働者側が勝訴!そらそうやろ!!」でも書いたが、今回の最高裁判決では、手当の名称や算定方法だけでなく、労働者に対する補償や使用者に残業抑止の動機付けをさせるという労基法37条の趣旨を踏まえ、賃金体系全体における位置付けなどにも留意すべきだとした。
そのうえで、歩合給から残業代相当額を引く仕組みは、元来は歩合給として支払うことが予定されている賃金を名目のみを残業代に置き換えて支払うものだと指摘している。
労基法37条では残業代計算のベースとなる「通常の労働時間の賃金」と「割増賃金(残業代)」を判別できることが求められているが、残業代の中に歩合給(通常の労働時間の賃金)が相当程度含まれていることになるため、判別ができないとして、残業代が払われたことにはならないと判断した。
歩合給中心の賃金体系(いわゆるオール歩合賃金やB型賃金)が多くなっているタクシー業界ながら、固定給を中心とした賃金体系(いわゆるA型賃金)を採用している事業者も多数あり、それらの割増賃金の計算や、賃金制度にも悪影響を与えかねないこれまでの下級審の判決だっただけに、この最高裁判決で、ほんと、胸をなで下ろしたのだ。


 しかし、なんで高知県観光事件【最小判平成6・6・13】でけりが付いている歩合給の時間外労働の問題が、こんなにも長引いてしまったのか、それが疑問だったが、今回のゼミで、以下の通り、すっきり理解出来た。

 第二次上告審判決は,「使用者が労働者に対して労基法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かのを判断するため」に,次のようなことが必要であると判示していた。
①割増賃金として支払われた金額が,通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として,労基法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かを検討することになる」と判示している(労判1220号13頁左列下段イ)。
②その前提として,労働契約における賃金の定めにつき,通常の労働時間の賃金に当たる部分と労基法37条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要。
③判別可能といえるためには,当該手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされていることが必要。
しかし、第一次上告審判決は,①②の記載はあるが,③の記載がなかった。

 第一次上告審判決は,本件賃金規則の定めが労基法37条の趣旨に反するものとして公序良俗に反し無効であるとはいえないと判示しているが,第二次上告審判決はその点について触れていない。
本件賃金規則の定めが労基法37条に違反するかどうかが問題ではなく,本件賃金規則の定めによって算定された割増賃金が労基法37条に違反するかどうかが問題であるから触れる必要はない、また,労基法37条に違反した場合には労基法13条により無効であるから,公序良俗(民法90条)を持ち出す必要がない、と判断していると思われる。

 第二次上告審判決は,本件賃金規則は労基法37条の趣旨に沿うものとはいえない,労基法37条の定める割増賃金の本質から逸脱しているなどと判示しているが,第一次上告審判決は,このような判断をしていなかった。

 これらのことによって、第一次上告審判決の差戻後控訴審判決が、誤った判断をした理由だと思われ、それでこの裁判が長期化してしまったとのことだ。

 ところで、「この裁判では一貫して、経営側は「本件規定は,労使間の合意に基づき定められ,労働契約の内容となっている。」という主張をし、第2事件の二審・東京高判平30.1.18(労判1177号75頁)でも、そのことが評価されていたが、第二次上告審判決では、そのことが触れられていないがなぜか」と、中島先生に質問した。
中島先生は「労基法37条は『強行規定』であり、労基法37条に違反した場合には労基法13条により無効であるから,公序良俗(民法90条)と同様に、そのようなことを持ち出す必要がない、と判断したと思われる」とのことだった、納得だ。

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労災保険の「特別加入」について勉強してきたが、労働組合の執行委員長の場合「補償範囲」と「補償範囲外」はどうなるのだろう…

2020-03-05 | 書記長社労士 お勉強の記録

 先日、SRCB 社労士のためのコンサルティング勉強会において、元厚生労働省労働事務官であった社労士の高橋健先生を講師に、「特別加入をナビできる社労士になる!労災保険~特別加入者の業務上外認定~」について勉強してきた。
冒頭、高橋先生は「社労士として経営者にどういう風に特別加入を説明しているのか。『任意加入ではあるが、保険料は格安で、労災の際の補償は手厚い、デメリットといえば事務組合の手数料負担くらいだ』とだけ説明している場合、この説明を受けた事業主は下記の通りメリット・デメリットをこの情報のみで検討してしまう。」と注意を促した。
メリット 何かあったときに手厚い労災補償が受けられる(自分が行っている仕事は労働災害と無縁ではない)⇒治療費の自己負担なし、休業給付は日額2万円とした場合休業1日16,000円、障害は最も下位の14級だったとしても56日分の一時金、保険料も民間より低額。
デメリット 事務組合への委託手数料負担
⇒「厚労省のパンフレット」参照⇒「補償の対象となる範囲」業務災害又は通勤災害を被った場合のうち、一定要件を満たすときに労災保険から給付が受けられます。⇒しかしこれではどのような場合が「補償範囲外」なのかがわかりづらい!

 そこで、特別加入者に対する保険給付に掛かる留意点について解説。
①保険給付を受ける権利 ⇒特別加入者で無くなった後も変更されない⇒通常の労働者と同様
②ボーナスを基礎とした特別支給金は支給されない⇒算定基礎日額のもの⇒例)障害特別年金など
③年齢階層別最低・最高限度額の適用はない⇒給付基礎日額を自ら選択しているから。
④費用徴収(一定の責任がある場合の事業主からの費用徴収および通勤災害の一部負担金)の適用はない。
⑤休業(補償)給付については全部労働不能であること。
⑥二次健康診断給付の対象とはならない⇒安衛法による定期健康診断の対象でないから。
⑦特別加入前に発症した疾病は保険給付の対象とならない⇒加入時健康診断で制限を行う必要ない程度であっても…
⑧メリット制は、特別加入者の分も算定に算入する。

 しかし、その上で、特別加入者に対する補償の範囲(中小事業主)を見ると…

就業中の災害であって、次の①~⑦のいずれかに該当する場合に保険給付が行われる。
① 申請書の「業務の内容」欄に記載された労働者の所定労働時間(休憩時間を含む)内に特別加入申請した事業のためにする行為およびこれに直接附帯する行為を行う場合(事業主の立場で行われる業務を除く)
② 労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合
③ ①または②に前後して行われる業務(準備・後始末行為を含む)を中小事業主等のみで行う場合
④ ①、②、③の就業時間内における事業場施設の利用中および事業場施設内で行動中の場合
⑤ 事業の運営に直接必要な業務(事業主の立場で行われる業務を除く)のために出張する場合
※船員である中小事業主等が船員法の適用のある船舶に乗り組んでいる場合は、積極的な私的行為を除き業務遂行性が認められます。
⑥ 通勤途上で次の場合
 ア 労働者の通勤用に事業主が提供する交通機関の利用中
 イ 突発事故(台風、火災など)による予定外の緊急の出勤途上
⑦ 事業の運営に直接必要な運動競技会その他の行事について労働者(業務遂行性が認められる者)を伴って出席する場合
通勤災害については、一般の労働者の場合と同様に取り扱われる。

 で、これらを踏まえて、労災認定事例について解説をしていただいたが、いやはや難しい。

 この講座を受けて、ますます混迷が深まった。
それは労働組合の特別加入のこと。
会社を休職扱いになって、労働組合の専従になった場合、トップの人を「中小事業主の特別加入」にし、その他の専従役員や労働組合で雇用する職員などは一般の労働者となるのだが…。
特別加入となる労働組合の委員長の場合、「労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合」でない業務も多いわけで、また「事業主の立場で行われる業務を除く」というのが、委員長のどの業務に当たるのか、考えれば考えるほど悩ましい。

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令和元年度厚生労働省委託事業「過重労働解消のためのセミナー」の受講メモ

2019-11-11 | 書記長社労士 お勉強の記録

 11月1日、 令和元年度厚生労働省委託事業「過重労働解消のためのセミナー」を受講、ってことで講演内容のメモを残しておく。(あくまでも自分用のメモなので、読みにくくても勘弁してください。)

過重労働と脳心疾患発症させるリスク→パワハラにもつながるリスク
経営者の意識変革が重要、全員参加の協力体制の構築が重要(全員が内容にコミットする)
人は最も重要な経営資源、優秀な人材の確保・育成・活用は重要な経営課題
→過重労働→職場に対する満足度が低下、心身の健康を害する→人を失う。
生産性の低下→正確性の低下・品質の低下→ヒヤリハットの増加、
風評(レピテーション)→顧客・投資家・金融機関からの信用低下

精神疾患「うつ病」日本では百万人以上(診断された人)、推計は300万人→生涯罹患する人は男4.2%、女8.3%→2週間風邪の症状と思ったら「うつ病」を心配する→様子を見ようでは何の解決もならない。


過重労働防止対策に必要な知識。
経営者・管理者・労務担当者の意識変革→意思決定して表明する→「過労死や過重労働による健康障害を生じさせない」という方針表明→①環境改善、②健康確保、③労働者全員参加のもと、④月45時間以内、⑤ガイドライン作成・評価(衛生委員会等でPDCA、Cがだめだと失敗する、Cの組み立てが重要、OODA(ウーダループ オブザーブ観察・オリエント方向づけ・ディサイド決心・アクト実行)、⑥フィードバック・改善

勤務間インターバル制度→定量的な制度→WLB→QOLとなる制度

時間外労働は管理者が事前に命令するもの→事後に承認するものではない→36協定の建付け→許可の徹底
過重労働対策におけるセルフケア(労働者自身が気付いて対処すること)
地域産業保健センターの活用
医師による面接指導制度の活用(100時間→80時間に改正)→産業医への情報提供・労働者への労働時間の通知→事業場において定められた基準を設ける(80時間を待ったら時すでに遅し)→様子がおかしなったら3日目・ミスが多くなったら・前に出きていたことが今できていない・ハードなクレームを受けたとき
ストレスチェック制度→平時のコンディションの把握→集団分析を重要視(各職場の傾向を知る、職場把握の宝の山)

好事例の三条件
①トップが本気であること 自ら襟を正す
②女性に優しい レトリック、日本理科学工業(知的障碍者を採用しての取り組み)
③全員参加

パワハラが法律になった。改正労働施策推進法
①優越的な関係を背景にした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えた、③就業環境が害される
パワハラ行為6類型→パワハラ対策導入マニュアル→①トップからのメッセージ、②社内ルール作成、③アンケートによる実情把握、④研修の実施、⑤会社方針の周知・啓蒙、⑥相談窓口の設置、⑦再発防止の取り組み(相談窓口(一時対応)・事実関係の確認・行為者相談者への取るべき措置の検討・行為者相談者へのフォロー、再発防止の検討)
JFEスチール株式会社役員の言葉は、パワハラに関する研修でもよく使われている⇒「全ての社員が、家に帰れば自慢の娘であり、息子であり、尊敬されるべきお父さん、お母さんだ。そんな人たちを、職場のハラスメントなんかで、うつに至らしめたり、苦しめたりしていいわけがないだろう。」
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社会保険労務士として知っておくべき働き方改革関連法~同一労働同一賃金を中心とした実務対応に向けたスキルの習得と適正施行のために~

2019-11-01 | 書記長社労士 お勉強の記録

 10月21日に開催された令和元年度前期統轄支部必須研修会は、宮島朝子弁護士(安西法律事務所)による「社会保険労務士として知っておくべき働き方改革関連法~同一労働同一賃金を中心とした実務対応に向けたスキルの習得と適正施行のために~」だ。
なんと我が友人、おかざえもんこと岡崎教行弁護士の元妹弁❗


 東京会の必須研修で共通のレジュメを使って、安西事務所の弁護士が代わりばんこで講師を担当しているそうで、宮島弁護士は、これまで担当した弁護士から、とにかくボリューミーで時間が足りないと聞かされていたそうで、すごいスピードで話されるので、メモ、たいへんっ💦
しかし途中で、「速すぎた、やりすぎた」ってことに気付かれたようで、そこからはちょっと余裕で「こぼれ話」や「私の考え」が零れだしてきて、クスって笑えるお話もあって、聞きやすくなった~(そのクスって笑えるお話は軽々な内容ではないのやけど、ってのがいい!)
ってことで講演内容のメモを残しておく。(あくまでも自分用のメモなので、読みにくくても勘弁してください。)

諸手当については地裁の判断が高裁でひっくり返されている状況が続いている。(退職金も最高裁の判断待ち)

第1 働き方改革と同一労働同一賃金がなぜ関連付くのか⇒労働施策総合推進法…あらたに基本的理念が追加(3条2項)⇒人中心から職務(ジョブ型)中心へ
 ⇒現在の我が国の企業の実情と異なる(新規学卒一括採用、終身雇用・年功賃金制…)
4条「国の施策」、10条「基本方針」⇒政府主導による働き方改革⇒日本型雇用慣行のあり方の変更へ⇒属人的要素から職務的要素へ⇒いわゆる同一労働同一賃金の施策⇒行政指導に着手「職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル」平31年3月作成

第2 いわゆる同一労働同一賃金とは⇒現行法上西欧型の本来の同一労働同一賃金の原則はない⇒正規と非正規の不合理な待遇差解消のこと⇒「有期労働者」「パートタイム労働者」「派遣労働者」と「(全ての)通常労働者」との間の均等待遇と均衡待遇⇒異なる正社員間の待遇差にはこの法律の対象ではない。
待遇の相違の内容と理由についての説明義務の対象は「最も近い」と判断する通常の労働者⇒使い分けが必要
☆パート有期法においても、原告が、訴訟上、比較対象を選択することができるため、全ての通常の労働者との間で待遇の相違が不合理ではないか検討しておく必要がある。

通常社員と有期・短時間社員との間の待遇の相違について三要素⇒待遇の性質・待遇の目的に照らし考慮して⇒当該待遇につて不合理な相違はあるか?⇒使用者が立証する⇒その立証がないと使用者に不利(井関松山ファクトリー事件【松山地判平30.4.24】)
要考慮三要素に基づき対比すべき具体的事項は⇒同一労働ではなく同一価値労働に着目すること⇒①具体的内容・差異をできるだけ網羅すること、②賃金項目ごとに趣旨を個別に判断すること、③ある賃金項目が他の賃金も踏まえて決定されている場合もあり、このような事情も考慮して判断すること、④手当の趣旨、内容について賃金規則に規定化すること

説明義務の強化や法改正の内容と目的⇒賃金規定や賃金説明書の必要性⇒説明義務の強化の法改正(パート有期法14条)⇒労働者が訴えを起こすことができないといったことがないようにすることが重要(労政審建議平29.6.16)
待遇の相違の内容及び理由の説明の内容は⇒就業規則又は賃金規程化しておくことが望ましい

第3 有期・パートと通常社員の待遇のサイト不合理な差異の禁止をめぐって
待遇の相違があれば直ちに不合理とされるものではない⇒「不合理」であるか否かの判断は規範的評価でその立証責任は⇒❶不合理の評価を基礎づける事実の立証…労働者側、❷不合理の評価を妨げる事実の立証…使用者側⇒不合理と認められた場合は私法上その部分は無効⇒「同一条件」となるものではない(補充効の否定)⇒不法行為であるから「損害賠償」


第4 待遇の「不合理な相違」についての判断・内容について
⇒不合理性の考慮の三要素との関係についての客観的具体化が必要⇒賃金決定基準・ルールの相違の問題⇒正社員、パート有期の地位と職務内容など相違の明白化のため就業規則化の必要性

第5 基本給に関する「不合理な待遇の禁止等に関する指針」をめぐって
指針の適用について⇒同じ賃金決定基準を求めているわけではないということが第一⇒第二は同じ決定基準をとっていない場合、その決定基準の相違が不合理でないことが求められる⇒相違を説明することができるか否かがポイント
三要素に相違があり基本給決定基準・ルール(これ自体が合理的であることが前提)に違いがあれば賃金差は問題とならないか⇒この点については何らのルールがない=判例もない

第6 諸手当をめぐる「不合理な相違」について判断・内容
○賞与 「寸志」支給については相違が不合理とは裁判所は判断しにくいのではないか?⇒正社員の賞与が何なのかが重要(相関関係)⇒賞与の性質(業績、月数、就労の対価...)
○退職金 指針に定めはない⇒同じ事案で判断が異なった事例「メトロコマース事件」⇒今まだ動くべきではない?
○諸手当 退職金、家族手当、住宅手当は指針上に記載なし⇒しかし実務上、家族手当・住宅手当は悩ましい(重要ではないか?)
支給の趣旨・目的に照らし「同一」⇒相違があれば相違に応じて支給⇒どの程度なら不合理ではないか⇒相違の程度に応じた支給とその内容については指針では全く定められていない⇒全て裁判所の判断に委ねる⇒(悩ましい…)
精皆勤手当⇒皆勤奨励の必要性に相違がないのであれば不支給とするのは困難と考える⇒昇級・賞与に出勤成績が反映される事情があれば不支給としても不合理と認められない可能性もある⇒金額の差は三要素との関係で問題ないケースもある

第7 不合理な相違と認められる場合の是正
各賃金項目について趣旨、目的、支給要件を明確に文書化(できれば規程化)して定めること⇒相違についての根拠の明確化⇒三要素との関係づけ

第8 派遣労働者をめぐる同一労働同一賃金への対応(略)

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正規と非正規の労働条件格差の是正-労契法20条をめぐる判例動向と新パート・有期労働法-

2019-10-24 | 書記長社労士 お勉強の記録

 10月16日、運輸労連さんの運輸問題研究集会で、宮里邦雄弁護士の「正規と非正規の労働条件格差の是正-労契法20条をめぐる判例動向と新パート・有期労働法-」について講演を受けたので、メモを残しておく。(あくまでも自分用のメモなので、読みにくくても勘弁してください。)

ハマキョウレックス、長澤運輸
個々の賃金項目・労働条件の趣旨・目的は何か、という点が不合理か否かを判断するキーポイント。
「その他の事情」について、職務内容及び変更範囲に関連する事情に限定されないとしたこと。
判例動向 学校法人産業医科大学事件【福岡高判20181129】、日本郵便事件(東日本)【東京高判20181213】、、日本郵便事件(西日本)【大阪高判20190124】、学校法人大阪医科薬科大学事件【大阪高判20190215】、メトロコマース事件【東京高判20190220】
パート有期労働法⇒均衡処遇ルール、均等処遇ルール、説明義務の立法化
⇒パート、有期、派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針【平301228厚労国440】⇒各社労使でよく検討してもらいたい。
非正規労働者がおかれている状況⇒①不安定雇用、②労働条件の格差処遇による低労働条件、③労働組合への未加入
格差是正に向けての労働組合の取り組み⇒①労働条件格差の総点検、②格差是正に向けての労使交渉、③非正規の処遇改善の取り組みと組織化、④非正規の労働条件改善を理由とする正規の労働条件の引き下げは法の趣旨に反し労働条件不利益変更の合理性を欠き無効
立法と労働運動⇒法の実効性を担保するのは労働者・労働組合の取り組みである「法を生かす」取り組みがなければ法は死文と化す。

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労働法・社会保障法の観点から考える副業・兼業の課題

2019-10-21 | 書記長社労士 お勉強の記録

【21 N3-67 VerticalChestPressM61kg DFry16kg PullOverM30kg SitUp LegRaize】 10月16日、運輸労連さんの運輸問題研究集会で、雨夜真規子社労士の「労働法・社会保障法の観点から考える副業・兼業の課題」について講演を受けたので、メモを残しておく。(あくまでも自分用のメモなので、読みにくくても勘弁してください。)

副業兼業には法律上の明確な定義がない。⇒だからとらえ方には個人差があるかもしれない。⇒射程【本業でフルタイムで働き、おまけのように副業するケース】【A社・B社・C社でボリューム同じくらいで働くケース】⇒どちらも必ず使用者がいて雇用契約に基づいて働いているケース⇒(フリーランスは今日は想定しない)⇒そうすると労基法と労災法が問題の2トップ

なぜ今「兼業・副業」⇒①労働力不足深刻、②著しい長寿化(教育→仕事→引退の3ステージからマルチステージの人生に)、③正社員年収の伸びの縮小(70年代生まれの年収アップ率は低下、賃金の伸びが急激にフラット化⇒世帯年収が上がらない)、④非正規労働者の増加(低所得であるために「食べるために」兼業・副業)
2018年1月 政府は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」、厚生労働省はモデル就業規則を改定(規定を入れてしまった、原則認める立て付けにしてしまった、念のため制限する項目も入れている)

○労働基準法に関する問題
❶労基法38条1項 事業場を異にする場合においても通算する、❷S230514基発769号 事業主を異にする場合をも含む、❸H110331基発168 36協定の問題、❹S231004基収217 割増賃金の問題
実態⇒しかし、「把握していない」「把握していても何もしていない」「通算するなんて考えたこともない」「どう管理してよいかわからない」⇒法令などを無視した運用となっている。
検討会は20190808に報告書⇒実態は「副業兼業に雇用を認めていない」「通算した労働時間が法定労働時間内でしか認めていない」⇒理由「日々の時間管理が実務上できない」「申告に信頼性がない」「変形性があって管理の実務が出来ない」⇒だから報告書では「通算規定」を削除するとしている⇒そして❶健康確保に取り組むことを前提に事業主ごとに上限規制、❷各事業主ごとに割増賃金⇒しかしいずれの案も最後に「考えられ得る選択肢の例示」としている。
⇒本業・副業を合わせて過労死ラインを超える長時間労働をさせることが可能に⇒残業の上限規制が形骸化⇒健康管理が本業か副業かどちらの責任になるか不明確に⇒「労働者の健康確保という法の目的を没却する」(連合の相原事務局長)
参考判例 マンナ運輸事件【京都地判平240713】労勝ち、小川建設事件【東京地決昭571119】労負け、十和田運輸事件【東京地判平130605】労勝ち
学説 菅野、荒木尚志  諸外国 フランス、ドイツ、オランダ
現状、今後の方向性を示していない[私見]⇒一律に禁止するのは難しそう(私的領域に会社が干渉するのは難しい)、一定のルールが必要となるのではないか。⇒「申請・届出」
⇒最大の価値「長時間労働に起因する疾病・負傷の防止」「使用者が負う労働者の健康・安全の管理責任を明確化」⇒労働時間管理・健康管理・職務専念義務・割増賃金

○労災保険法に関する問題
労災保険給付と災害補償との関係⇒労災保険の全体像⇒用語解説、災害補償、給付基礎日額、メリット制
裁判例 王子労基署長事件(凸版城北印刷)【最判昭611216】、国・淀川労基署長事件(大代興業ほか)【大阪地判平260924】、国・新宿労基署長事件【東京地判平240119】(←画期的!)
諸外国 フランス、ドイツ、オランダ
問題解決のために[私見]⇒解釈論に基づいては合算を主張できない⇒力尽くで立法論(合算に否定的な見解の論拠を論点)として合算を検討する。⇒論点①労基法の災害保証責任という枠を超えて補償を拡充している(通勤災害に関する給付、二次健康診断等給付、社会復帰促進等事業、労災保険への国庫補助の導入)、論点②メリット制の問題(❶大企業や労災発生率の高い業種など限定的に運用、❷使用者への不利益よりも社会経済上労働者保護に最大の価値を置くべき、❸通災・二次健康診断等給付・特定疾病と同様に収支率算定に含めないことも可能}

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労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題 その③

2019-07-10 | 書記長社労士 お勉強の記録
【Run3-54 6.61km 39:37 大阪城⇒第25回参議院選挙大阪選挙区「かめいし倫子」候補の選挙事務所】 その②からの続き 神奈川労働弁護団主催「働き方改革」対策セミナー@横浜市開港記念会館。
労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題、講師は、日本労働弁護団幹事長の棗一郎弁護士!(その③)


Ⅲ 個別の労働条件についての判断
ハマキョウ
皆勤手当(出勤する者の確保の趣旨)、無事故手当(優良ドライバーの育成や安全な輸送による顧客の信頼の獲得が趣旨)、作業手当(特定の作業を行った対価)、給食手当(従業員に係る食事の補助)、通勤手当(通勤に要する交通費)、それぞれの趣旨だけで判断している。
住宅手当は不合理でない⇒正社員については転居を伴う配転が予定されている⇒おかしい、負担が増加するのは転居費用、毎月の住宅費の負担は同じ。(大阪のJP裁判は1審で不合理と認めた)

長澤
定年制⇒その他の事情として考慮する
能率給・職務給 不合理と言えない。⇒丁寧に判断している。救いがあるところ。
精勤手当 不合理。
住宅手当と家族手当、役付手当 認めていない。
問題は賞与(もっとも裁判で力を入れているところ)⇒長澤はいい判断している(将来に期待が持てる判断)。⇒①労務の対価の後払い、②功労報償、③生活費の補助、④労働者の意欲向上等、といった多様な趣旨を含みうる。⇒素直に考えれば、有期にも非正規にも、みんなに当てはまる。⇒これは使える。
ただし、長澤の事案では能率給・職務給と同様に丁寧に見た結果認めていない。

Ⅳ 2つの最高裁判決で明確になったこと
❶一部の手当は認めるが、基本給と賞与は認められないというスタンス(下級審もそのような傾向)⇒安倍総理は格差を縮めると言い切ったが、こんな判決で縮まるか(--#)
⇒せめて、まず住宅・家族・有給の病気休暇くらい認めるべき、そうすれば非正規はどれだけ生活が助かるか!(休めない、休んだら生活が成り立たない、年休が使えない、長期に休むと雇い止めになる恐怖)、加えて賞与も認められれば、かなり格差は縮まって非正規労働者の生活が楽になる。
日本郵便、大阪地裁が不合理と家族手当を認めたが、大阪高裁は棄却した⇒大阪高裁判決は「長期雇用のインセンティブ論」を全面的に展開している。
❷損害の割合的認定は否定?
裁判は不合理性を認めた手当について損害額を全額認容した(下級審は割合的認定をしている場合もある)
❸定年再雇用について同条の適用あることを明示
定年後再雇用であれば全ての労働条件の相違は不合理ではないという「社会的容認論」は採らないということ⇒長澤運輸特有の判断、賃金差は8割の差だった。
東京高裁は、定年での相違は不合理でないという「社会的容認論」を取った。

Ⅴ 2つの最高裁判決で明確になっていない点
新法施行後の解釈はどうなるか?
❶比較対象は何か?労働者なのか、待遇なのか?
⇒新法では「当該待遇に対応する通常の労働者の待遇」⇒つまり「待遇」ごとの比較
❷誰が比較対象の労働者を選ぶのか?
⇒原告(労働者)⇒水町教授もそう言っている。⇒メトロコマース高裁もそういう判断をした。
❸その他の待遇のそれぞれについて
常に3つの判断要素を考慮するのではなく、適切と認められる要素を抽出して考慮して不合理を判断するということ。
❹「賞与・基本給」を条文に明記した意味
明文で「基本給・賞与」を書いてあるのだから、積極的に格差を是正していくべき。
ガイドライン
・賞与⇒「貢献について支給するもの」⇒長澤の①~④(①労務の対価の後払い、②功労報償、③生活費の補助、④労働者の意欲向上等といった多様な趣旨を含みうる。)、通常、有期パートにこの趣旨が当てはまることが多いはず。
⇒学校法人大阪医科薬科大学事件「すなわち算定期間に就労していたことそれ自体に対する対価としての性質を有する」「賞与算定期間における一律の功労の趣旨」
・基本給⇒産業医科大学事件⇒確定した
・病気休暇、年末年始休暇などその他の待遇について
病気休暇(有給)、育児介護休暇、(有給の)産休(期間が長い)、労災・安全衛生対策⇒最高裁は判断していない
メトロコマース⇒退職金について一部請求を認めた(高裁)
。パート有期法9条の適用によって救済される事例も?(差別的取扱い)
⇒特に中小企業では、正規・非正規の職務内容、職務内容・配置変更の範囲が全く同一の場合がそれなりにあるのではないか。
⇒長澤は同一であるから新法9条で救済される可能性があるかも。
しかし、「理由として」と規定されており、待遇差は定年再雇用が理由であって、有期であることが理由ではないから、同条の適用はないと使用者側は主張していた。

    

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労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題 その②

2019-07-08 | 書記長社労士 お勉強の記録
【Run1-52 7.20km 47:17 中之島一周】 その①からの続き 神奈川労働弁護団主催「働き方改革」対策セミナー@横浜市開港記念会館。
労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題、講師は、日本労働弁護団幹事長の棗一郎弁護士!(その②)


❹「職務の内容および配置の変更の範囲」の解釈
 「将来、上告人の中核を担う人材として登用される可能性がある」⇒そんなこと言われたら正規非正規は違うに決まっている(一部にはそんな人もいるかも知れないが)⇒可能性だけを言っている。実態を見ていない⇒主観的又は抽象的な説明では足りない。
水町 勇一郎は「同一労働同一賃金」のすべてで⇒「使用者側の主観的・抽象的な説明・事情・認識ではなく、客観的な事情・実態に基づいて不合理性は判断すべき」
例えば、メトロコマース事件 長期雇用確保・定着を図るなどの目的、日本郵便事件 長期的な勤務に対する動機付け、長期雇用のインセンティブ
⇒具体的に基礎づける客観的な実態の違い(人事異動の範囲の具体的な違い)およびその実態の違いと待遇の違いとの関連性・相当性(人事異動[キャリア展開]の実態の違いに相当する職務給や教育訓練の違いなど)を考慮して不合理性を判断すべき
ニヤクコーポレーション事件⇒正社員と準社員との間には、転勤・出向の点について大差があったとは認められない。
「長期雇用のインセンティブ」論?⇒JP大阪高裁判決・JP東京地裁判決は全面的に長期雇用のインセンティブ論を採用しているが、東京高裁判決は採っていない、最高裁判決はほとんど触れていない。
日本郵便は最初から長期雇用を推奨されている、期間雇用社員は65歳の定年制があり定年まで勤務している者も多い。
2016年から、希望者全員を無期転換する施策を行っているにもかかわらず、会社はずっと長期雇用のインセンティブを主張している。
⇒長期雇用の動機付けとか人材活用の仕組みを理由に相違の合理性を判断してはならず、人材活用の実態を考慮に入れるとしても、実態を見て考慮しなければならない。

❺主張立証責任
 当該相違が不合理であるとの評価を基礎づける事実は労働者
相違が不合理であるとの評価を妨げる事実については使用者

❻同条違反の効力⇒正社員と同一の労働条件になる補充効はあるか、損害賠償請求にとどまるか
⇒補充効はない⇒同一の労働条件となるものではない、地位確認は否定。(民主党は国会答弁で補充効はあると言っていたが最高裁は無視した)
窮余の策として、補充効は認められないが、正社員の就業規則の解釈で何とか適用できるのではないか?⇒別個独立のものとして作成されていることなどに鑑みれば、就業規則の合理的な解釈として困難である。

長澤 他の論点について判断
❶個々の労働条件ごとに不合理性を判断すべき⇒不合理と言えるかの判断の構造(判断の仕方)⇒民主党政権時代の解釈、通達もそうなっている
使用者は、個々の待遇は他の待遇と密接不可分に関連していると主張⇒長澤判決は「当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべき」⇒有期パート法の通達もそうなっている。

❷「その他の事情」の解釈 チョイスして判断すると条文はなったが、判決は「相違が認められるものであるか否かを判断する際に考慮される事情は、労働者の職務内容および変更範囲並びにこれらに関連する事情に限定されるものではない」⇒批判すべき⇒菅野説に引きずられたのではないか(--#)
⇒その他の事情がどこまで広がるのか不明で歯止めがないから、無限定な拡大解釈の恐れがある。
労使合意を尊重しろと言うが「労使合意があっても不合理は不合理でしょ」と東京地裁の清水裁判長は言っていたが、最高裁判決がこうなったからどうしようもない。
水町 勇一郎は「同一労働同一賃金」のすべてで「労使交渉や合意そのものが少数者への差別を生み出す元となるいう懸念も否定できない」。労使交渉のプロセスについては、関係する非正規の雇用労働者の意見も反映させた形で公正に手続きが踏まれている場合」かどうか見極めるべき、「団交を経た」だけでは足りず、労使の合意に至ったということが大事だが上記の懸念もあるので、労使交渉や労使自治は重視すべきではない。

❸その他の事情に「定年再雇用」も当たる⇒一事情としか判断しなかった⇒「その他の事情」に従って判断すべき

    

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労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題 その①

2019-07-04 | 書記長社労士 お勉強の記録
 参議院選挙が今日、公示されました!
投開票日は21日(日)ですが、明日から期日前投票が出来ます。
投票所入場券がなくても、選挙人名簿で確認が出来れば、投票が可能です。
投票に行こう!

 6月27日に受けた、神奈川労働弁護団主催「働き方改革」対策セミナー@横浜市開港記念会館をメモしておく。
労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題、講師は、日本労働弁護団幹事長の棗一郎弁護士!(その①)


Ⅰ 基本的視点
 今20条裁判やっている、または闘う準備をしている人はいますか?
私は、JP裁判の主任をやっているが、労契法20条は民主党政権時代にできた条文で、自民党政権になっても打ち消すことが出来なかった条文。
ようやく闘う武器が出来た、それまでは公序良俗でしか闘うことが出来なかった。

 安倍政権は同一労働同一賃金と言っているが、それは間違い、均等均衡処遇である。
昨年、ハマキョウレックス、長澤運輸事件、同時に最高裁判決が出たので、当面、この両判決が基準になる。
来年から新法が施行されるが、この最高裁判決の解釈がどのように変わるのか、また変わらない点があるのか、それを検討しておかなければならない。

 両事件とも、原告は運送会社の運転手(現業職)であることに留意、全くのホワイトカラーで職でない。
長澤は定年再雇用、ハマキョウは正社員には配転があるなっているが、実態としてはほとんど無い。

 ハマキョウの一審原告らの請求の内容
①地位確認請求、②主位的に差額賃金請求、③予備的に不法行為に基づく損害賠償請求(①②とも家族手当や賞与、退職金などは請求していない)
長澤の一審原告らの請求の内容
①地位確認請求、②主位的に差額賃金請求、③予備的に不法行為に基づく損害賠償請求

Ⅱ 最高裁の労契法20条の解釈・判断
 労契法20条の条文上の要件⇒①「期間の定めがあることにより」相違する場合、②3つの事情を考慮して(考慮要素)、③不合理と認められること。
「合理的なものでなければならない」とはなっておらず、「不合理と認められるものであってはならない。」になっており、労政審では当初合理的となっていたがいつの間にか変わってしまった。
20条の法的効力(法効果)⇒不合理な労働条件の禁止⇒とってもやりにくい条文になってしまった(T_T)

両最高裁判決の比較、両判決の関係⇒ハマキョウが基本的な解釈、長澤はハマキョウを参照しかつ解釈を補充している。
ハマキョウ
❶職務の内容などの違いに応じた均衡の取れた処遇を求める規定である⇒均衡だけではなく「均等および均衡処遇」を求める規定であることに留意必要。

❷使用者側は、「定年後再雇用になったから有期と正社員は違いがある、だから条文の適用はない。」と主張。
しかし「期間の定めがあることと労働条件が相違していることとの関連性の程度は、労働条件の相違が不合理と認められるものに当たるか否かの判断に当たって考慮すれば足りる」⇒「労働条件の相違が期間の定めの有無に関連して生じたものであること」⇒「期間の定めがあることにより」の解釈は確定。
ただし、新法(パート有期法)ではこの文言を削除した
①「基本給・賞与」が明記された、②「その他待遇のそれぞれについて」が追加された、③その他の事情のうち「当該待遇の性質および当該待遇を行う目的に照らして」が追加された、④「期間の定めがあることを理由として」を削除した。
水町 勇一郎は「同一労働同一賃金」のすべてで⇒正社員の中に違う待遇の人をおいて、それと有期・短時間と比較するような脱法的行為を招くので削除した。

❸「不合理と認められるもの」の解釈⇒「不合理と認められるもの」と「合理的なものと認められること」と同じ趣旨ではないのか?
⇒同条はあくまでも労働条件の相違が不合理と評価されるか否かを問題とするものと解することが文理に沿うものといえる。
使用者側に立証させるというようにならなかった…労使に同様の立証責任
※菅野説⇒「本条の趣旨に照らして法的に否認すべき内容ないし程度で不公正に低いものであってはならないとの意味に解される」⇒使用者に有利な解釈⇒最高裁は、菅野説を排斥した。
しかし「その他の事情」として労使交渉や使用者の経営判断を尊重すべきとは言い過ぎであり謝り。

    

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神奈川労働弁護団主催「働き方改革法対応セミナー」~上限規制・有休・高プロ等の労働時間分野の法改正の向き合い方~を受講

2019-06-03 | 書記長社労士 お勉強の記録

 5月28日、横浜市開港記念会館にて、神奈川労働弁護団主催「働き方改革法対応セミナー」~上限規制・有休・高プロ等の労働時間分野の法改正の向き合い方~を受講、講師は嶋崎量弁護士。
労働者側の弁護士であり、労働組合への強いメッセージが込められた講演だった、自分の講演のメモをこちらのブログに記載しておく。

 国会審議では、有休どうでもいいけど、高プロだけは絶対に通してなるものかとやってきたが、しかし現場では、実は有休が結構大変。
しかしあるものは何でも使うのが労働運動、だから労組は、現実にどううまく使うかが重要。
労基法1条2項、大事な条文なんだが、労働関係の当事者、労働関係を生業にしている人も含めて、実はあまり読んでない。
労働基準法はあくまでも最低基準、なにより向上に努めなければならない、とまで書いてある。
労働組合は労働運動で何がとれるか、刑罰がある最低ライン、法律の最低ラインを守らせるだけでは労働運動ではない。


 労働時間の上限規制、労働時間の規制強化だから事業者は早くから慌てていた。
36協定は過半数労働組合があればそこが締結当事者、だから過半数かどうかには意味が大きい、でも労組の組織率は17%しかない。でもだから意味が無いかということではない。
・過半数労働組合⇒非正規雇用増加による36協定締結権喪失⇒注意!締結権持っていると信じていたが、気がついたら過半数割れしている⇒まさに電通!
 ⇒組織拡大の契機に!⇒過半数労働組合でなくなるのは使用者にとっても死活問題⇒実践している組合が多数ある。
・重要性を増す過半数代表者⇒広範な決定権がある⇒集団的労使関係を意識していない職場でも、一つでも二つでも意見を言えるようになると大きな効果がある。
 ⇒形骸化して使用者の意のままに操られているのが過半数代表者であるが、使用者の意向に基づき選出された過半数代表者では違法になる。⇒民主的手続き⇒労働組合の価値を職場でわからせることができる。

・改正前 特別条項が「青天井」だと批判された⇒今までも縛りはあった(告示)⇒「45時間360時間」は例外で、特別条項は例外の例外⇒今まで過労死ラインを超える特別条項を結んでいる協定の事例ははたくさんあった。
・改正後 例外が法律でしっかり決まった、その例外の例外の「特別な事情」も上限が決められた。(休日の関係…法律の立て付けは時間外労働と休日労働を分けているからこうなる)
・これが特別かどうか…⇒通常予見される残業…原則+例外、通常予見することが出来ない残業…特別条項
⇒全体にかかる罰則付き上限時間 ①坑内労働…、②100時間、③80時間
原則残業許されないし、許されるのは通常予見される残業⇒3月の年度末が忙しくなるのは「通常予見」できるもの⇒労働組合は「特別な事情」を簡単に受け入れてはならない
でも、労働者はこそこそ働いてしまうから、じゃあどのような人員配置が必要か労使で検討しよう。労働組合の出番でしょ。
通常予見が出来ない業務量の大幅な増加などに伴い臨時的に…⇒1年の半分を超えない一定の限られた時期において一時的・突発的に発生する業務⇒職場で業務の再確認が必要…使用者側は躍起になってやっている⇒労働組合もしっかり対応を
 ⇒(ガイドラインや36協定の届け例を見ても…←事例は緩すぎる(汗))役所は受け付けてしまうけど、労働組合は簡単に受けてはならない。(IT企業なんて仕様の変更なんて日常茶飯事、もっと言えば取引先に文句言えよ(笑))
・上限規制が猶予されている業界がある、最近注目されたのは医者、数においては自動車の運転業務⇒なぜ過労死いっぱい出ている業界が猶予されるのか疑問がある⇒でも猶予されているけど無視されているわけではない。
・「100時間残業合法化?」という声もある⇒間違ってはいないけど、今までも100時間残業は出来たわけで、改めて合法化されたわけではない。⇒だから逆に100時間に近づけるという労使関係はおかしい。⇒残業をさせることが出来る「範囲」の基準を労使で引き下げる必要がある。
・上限規制の経過措置 ⇒2019年4月1に以降の期間を定めたもののみに適用⇒始期が3月31日以前のものは引き続き従前の協定が有効
・法の範囲内だから許されるというのは誤解⇒特例の上限内であってもまず安全配慮義務違反を負う⇒業務と発症の関連性が強いと評価される(労災認定される)⇒労基法の労働時間規制は最低基準である!
・36協定の活用を⇒残業は例外的な場合にしか出来ない⇒しかも労働者側に36協定締結する義務はない(安易に締結しない)⇒使用者に言われるままにサインする時代ではない。⇒締結権を武器に。
・よりよい労働条件・職場環境改善を勝ち取ろう!⇒労働者に労働組合が訴えられる時代(安易に結んでいたら「過労死を容認するのか」)⇒労働組合への責任追及
・できるだけ時間は「短く」⇒業務を細分化して書く、一般的・概括的な記載では許されない。
・求人者により企業選別される(人手不足加速、競争力低下による労働条件低下)⇒大企業だから選ばれるという時代ではなくなっている(例 電通)
・法の建前を貫く取り組みを⇒労働組合における活用を⇒義務的団体交渉事項
・罰則付き上限規制は完璧なのか?⇒実際にどんな形で過労死?⇒従来、青天井だった協定内の時間外労働で過労死した事案は多い。
・労働時間管理の徹底⇒安衛法改正…客観的労働時間把握義務(安衛法に逃げやがって、日和りやがって(笑))
・労基法上に時間管理の法的義務化、時間管理を怠った場合の罰則、企業名の公表

 労働時間の適正把握義務
従前 把握する責務あり
改正 管理監督者・裁量労働も含め「医師の面接指導の履行確保」のため客観的な把握義務
⇒一人だろうが多数だろうが、管理監督者であろうが、長時間労働を放置して殺したらだめ。
書面による協定での代替休暇制度⇒お金(60時間超の割増賃金)⇒時間で返す(休暇)⇒これまであまり活用されていないがこれから活用されるのではないか、活用されたらいいな⇒生活残業となっている職場では怒られるかも知れないけれど、建前として賃金を上げていくとすれば、活用すればよい!

 年次有給休暇時季指定義務
・年休の取得促進が狙いなだけの制度⇒使用者への義務化⇒労働者は年休をこれまでどおり好きなときにとればよい⇒無理矢理取らされる制度ではない!
「労働組合が出来ること。」
組織化の契機⇒休日数増加・取得率増加⇒生産性や就労意欲向上、離職率減少など使用者側のメリットを、現場の声として経営者に理解させる⇒取得を拒む要因除去策を検討する⇒支障が出ない人員配置、職場のニーズを吸い上げて使用者に要求する。
改正に伴っての年休の先行取得条項導入は?⇒強行されたら就業規則の不利益変更(労契法9条)←こんな話し合いも組合があれば出来る。

 勤務間インターバル規制
・努力義務と法律に書かせた⇒使用者には努力義務⇒労働者には使用者に求めることが義務化された(ということ!)⇒厚労省のサイトに掲載された事例を是非参照⇒労働組合がもっと活用すべき⇒社労士が助成金のために出来ているのだから労働組合が出来ないわけがない!⇒企業の手柄になっているのはおかしい。
・労働組合として要求しないと始まらない!⇒前提、職場の労働組合内部で意識を認識すること(共有しなくてはいけない)
・労働者なら誰もが賛成?そうでもない⇒「仕事するのを邪魔するな」(出世・評価、やり甲斐、義務感)、「俺がいないと仕事は回らない!」そんなことはない、絶対に回る(笑)⇒だから労働時間把握がスタート
・通勤時間のカウント⇒過労死防止するには効果的⇒健康確保の意義からすれば当然(労災認定にはカウントされないが健康確保には重要な要素)
・勤務間インターバルは使用者側のメリットは絶大⇒業績が上がる(求人・生産性向上)ことを主張⇒36協定と同時に検討
労使での話し合い⇒労働組合がなければ出来ない⇒労組のないところでは社労士の助成金の提案で導入しているだけ!

 有害な労働時間規制の緩和
裁量労働制の拡大⇒撤回⇒労働時間把握義務は課せられた⇒導入の厳格化も行われている
フレックスタイム制
高プロ⇒使わさないことが重要⇒導入するのはかなりハードルも高い⇒しかし広がらせないようにするのも重要⇒経営側は緩和・拡大を狙っている。⇒経営側は小さく産んで大きく育てる⇒自由な働き方ではない、使用者が自由になるだけだ。
・高プロ導入された会社では労働組合が魂を売ったということ!⇒労使委員会の委員の5分の4以上の多数による決議⇒ブラック労働組合認定!⇒叩かれるよ!⇒「こんなの入れちゃったら、ブラック企業認定だよ、やめときなよ、なんのメリットもないし、手続きも面倒くさいし!」と主張すればよい⇒賛成しなければよい。
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昔むかし「あるところ」におじいさんとおばあさんがいました、今は「いたるところ」にいます…

2019-05-28 | 書記長社労士 お勉強の記録

 今年初めて満開の紫陽花を見た。
高輪のこのあたり、梅も桜も…、余所よりいつも早く咲いてる気がする、お金持ちが多いから栄養が良いの?

 ずいぶん前のお話になるが、5月11日に「医療・介護フェス2019~安心と信頼の医療と介護 中央集会~」があって参加。
午前中は講演2本、1⃣「地域包括ケア時代の医療と介護~元気高齢者の育成支援~」、2⃣「利用者に選ばれる介護とは」を受けた。
私たちの公共交通産業では、要員不足が深刻なのだが、そこに介護離職問題が顕在化しており、今後、人員不足に拍車をかけるような懸念があって、強い問題意識を持っている今日この頃なので、一生懸命、勉強してきた。
そんな中で、介護・医療制度、家庭、地域、職場、施設、介護職場で働く人(思いと処遇)がかみ合っていないなあと感じていることが多々あるが、その一部分ではあるが、今回の講演を聴いて、いやはや、目から鱗だった。


 1⃣「地域包括ケア時代の医療と介護~元気高齢者の育成支援~」は、四国医療産業研究所所長・日本医師会総合政策機構局員研究員である櫃本真聿医学博士。
彼は、このブログのタイトルに使った「昔むかし「あるところ」におじいさんとおばあさんがいました、今は「いたるところ」にいます…」から話し始め、現状について、「国民医療費の6割を人口の4分の1の65歳以上で占め、若者も減り続けているなか、社会保障費破綻という、急速な少子高齢化への脅威がある(ネガティブシンキング)。
2039年には年間166.9万人が死ぬが、死に場所がない⇒現在病院が死に場所(80%)だが、病床規制・減床⇒在宅で死ねる受け皿もない。
人口減少⇒2100年には5000万人を切る⇒明治初期に戻る。
それでも、社会的弱者ケア重視のサービス提供に現場は翻弄されている⇒だから地域包括ケアシステムの提案」と指摘し、
「少子高齢化に翻弄されて日本の明るい未来をイメージできないことが真の問題。
このままでは、国民全体の疲弊を招き、社会保障制度の崩壊は必至、分母に生産年齢者、分子に高齢者を置いて、高齢者を支えられる人と決め込んで、将来の不安を煽る図は最悪。
支えられる高齢者から支える高齢者へ、元気高齢者(ときどき医療、ときどき介護を受けながらでも、自分らしく生きて地域社会に貢献する人(気持ちのある人))の活躍を期待!」として、具体的な内容に踏み込んでいった。
地域包括ケアシステムの不幸な生い立ち・誤解の蔓延について、東日本大震災の教訓(自助(セルフケア)と互助が欠かせない⇒互助がないと復興が進まない⇒「依存」になる)と比較して解説しながら、これから、医療・福祉・行政がどう変わらなければならないかについて言及。
医療については、「急性期医療の問題点⇒生活に戻せない医療は無駄⇒入院の目的は治療ではなくて「退院」、自分の尊厳より命が大事だと思っているのは誤解」と強く指摘し、128,000,000人に用意された社会を、どうダウンサイジングしていくか、サービスの押しつけ・サービス提供者の都合に住民が対応させられている状況をどう変えていくかについて具体的に、下記について、事例を交えながら説明された。

・笑顔そして意欲があってこそ生きる価値⇒疾病・障害の有無に関係なく、高齢者が、地域に出かけ貢献する⇒社会的弱者ケア重視からの脱却・生み出さないための協働
・24時間在宅ケア体制とは在宅看取りのためではない⇒地域で日常「生活を支える」かかりつけネットワークの構築
・医療を生活資源に、「生活に戻せない医療は無駄だ!」のフィルター⇒急性期医療中心では医療が生活をぶった切る可能性大⇒在宅医療は生活者を支え地域生活を継続させる医療であるべき⇒その人らしい生き方の先に、その人らしい死に方がある
・意欲を生み出す住む場所⇒住宅地の再開発、過去の新興住宅地の新しい形、互いに思いやるぬくもりのある地域づくりにつながる
・住民力・地域力を引き出す⇒エンパワーメントを目的⇒住民の意識醸成・意欲向上、セルフケア、互助・共助の推進

 自分にとって、もっとも印象的だったのは「ヘルスプロモーションが地域包括ケアの『肝』、健康は疾病予防管理では達成しない⇒活動・生活の場(かかりつけ医など医療機関や地域職場など)の持続、ヘルスプロモーションの行動や意思決定プロセスの中心に生活者が存在、健康学習・ヘルスリテラシー(健康面のスキル、意欲、能力など)⇒「してあげる」「してもらう」互いの関係からの脱却⇒住民・コミュニティーのエンパワーメント」という点だった。
「地域包括ケアシステム」を急に前面に出した前回の介護保険法の改正に疑問を持っていたが、この点をしっかりと実現できるのなら(できるのならだが)意義をわかったような気がした(気がしたってことだが)。
まずは、医療・福祉・行政が変わってくれないといけないとは思うのだが…。

 で、その次の2⃣「利用者に選ばれる介護とは」は北海道介護福祉道場「あかい花」代表の菊池雅洋氏。
今後サービスの中心は団塊の世代に、ってことで、70歳の人が生きてきた時代を振り返り(ビートルズの来日で失神した世代、グループサウンズに熱狂した世代…)、「その人たちに施設でちーぱっぱって童謡を歌わせて喜んでもらえると思う?」
そして「週2回の入浴にあぐらをかく特養などが抱える潜在的経営危機」について、世間一般的な入浴習慣を考えると「かなりQOLが低い暮らしぶりと言えるのではないか?団塊の世代から選ばれる居住場所になり得るのか?」などの問題意識を示し、介護事業の今日的課題と求められる施設について、事例を交えて、「新しい介護のスタンダードを創るために」について話された。
「リビングウィル」が重要なんだな、としみじみと思う…。

   

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久しぶりの相馬塾「すぐに使える!提案できる!ニーサ、イデコ、企業型DC」!

2019-02-28 | 書記長社労士 お勉強の記録

 昨日は、久しぶりの相馬塾「すぐに使える!提案できる!ニーサ、イデコ、企業型DC」、講師は(一社)公的保険アドバイザー協会協会理事・(株)アセットアドバンテージ代表取締役・確定拠出年金相談ねっと代表でありCFPの山中伸枝氏。

 政府が謳う「貯蓄から資産形成へ」について、背景と現況を解説、各国の家計金融資産の推移では「日本人のお財布だけが成長していない」という、各国の家計金融資産構成比から「成長しなかった理由はお財布の中身」、
そういった中で、「NISA」(少額投資非課税制度)、「iDeCo」(個人型確定拠出年金)が登場したとし、それぞれの制度について説明された。


 特に、自分としては、「iDeCo」(個人型確定拠出年金)について、福利厚生の一環と老後の資産形成による労働条件向上の一手段にならないか、または組合員の可処分所得を増やすという観点で、労働組合としてアプローチできるのではないか、と思っていた。
しかし、とっても興味があったのに、ちっとも勉強してこなかったので、この相馬塾は、ほんとに自分にとって役立った!

 確定拠出年金、掛け金については、個人型(iDeCo)は個人が拠出(掛金は全額所得控除)、企業型(DC)は企業が拠出(掛金は経費として計上)、双方とも、運用益は非課税、受け取り時の税制優遇、があるということは知っていたが…。
そのことによって、どのように所得税・住民税(さらに場合によって社会保険料)に良い影響をもたらすのか、受け取り時の税制優遇についてはどのように使えば良いのか、について、基本を学ぶことが出来た。


 さらに、2018年5月からスタートした「iDeCo+(イデコプラス)(中小事業主掛金納付制度)」については、いかに労使にとってメリットが大きいかということも学ぶことが出来た。
「個人型(iDeCo)」<「個人型(iDeCo+)」<「企業型(DC)」ということでは、iDeCo併用の選択制DC(個人拠出)の仕組みについても興味深かった。

 これらのことを、労働組合がしっかり理解することが出来たら、経営者に対して、様々な提案が出来るのではないかと確信。
ぜひ、全国のうちの加盟労組の皆さんに、とくに中小で「退職金制度が充実していない」「退職金制度がない」「経営状況が厳しくなかなか福利厚生を充実できない」が、「今がんばっている人へのモチベーションを上げたい」「定着率を上げたい」「求人の際の強みが欲しい」と思っている労使に知ってもらいたい!!
今日の講演テーマである「すぐに使える!提案できる!」を、是非、実践する。

 そういえば自分は、日本に確定拠出年金がスタートした頃に、DCプランナー2級を取得したが、更新せずにほったらかしてるわ。(ってか知識はすべて忘却してしまったようだ)
ちなみに相馬塾修了後の飲み会、自分たちは「ほんとうに社労士なのか…」と、反省会をしておりました…(^_^;
この飲み会に講師が参加できてなくてよかったって、な、主催者…(__*)
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「働き方改革関連法」のポイント 水町勇一郎東京大学教授の講演を1年ぶりに聴くことが出来た(その③)

2018-11-07 | 書記長社労士 お勉強の記録
 10月30日、新宿区立牛込箪笥区民ホールで開催された「関東地区労使関係セミナー」にて、東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授による「『働き方改革関連法』のポイント」についてのその③。(②からの続き


 正規・非正規労働者間の待遇格差の是正
労働契約法20条を削除して、パートタイム労働者と有期雇用労働者を一括規制し、パート有期法8条で不合理な待遇差を禁止する。
⇒個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して、不合理性を判断。
「性質・目的に照らして」⇒「何のために支払われるものなのか」⇒その「なんのために」に照らして⇒「及ぶのか、及ばないのか、部分的に及ぶのか」を判断する。
例)通勤手当⇒なんのため?⇒通勤のため⇒非正規も通勤は同じ

 実効性を高めるために、2つの工夫をした。
1つはガイドライン安を示した、2つめはそのガイドライン案は法律より先に示させていただいた。
また、長澤運輸事件の判決と衆議院参議院の附帯決議を追加して、「指針」化する。


 労働者派遣法の整備に関しては、不合理な待遇差の禁止の比較対象を、派遣先の正社員の待遇とし、その前提として派遣先の情報提供義務を課す、これは相当厳しい。
相当厳しいので、例外として「労使協定方式」、派遣先が変わった場合への対応もある。
派遣元事業者が、①賃金額が同種業務の一般労働者の平均的な賃金額(厚生労働省令で定めるもの)以上であること、②法定の教育訓練を実施し、職務内容・成果・能力等を公正に評価し、賃金を改善させること、③賃金以外の待遇について派遣元事業主の通常の労働者と不合理な待遇差を設けていないことなどの事項を定めた労使協定を締結し、それを実際に遵守・実施している場合に、労使協定による例外を認める。
この①が重要、厚生労働省は全職種についてこれから定める、ただし都道府県別に水準も定めることになるだろう、また賃金額には賞与・諸手当・退職金も含む。年末から年明けに発出する。
また、労使協定による例外は、単に労使協定を締結しただけではだめで、実際に遵守・実施していることが要件となっている点にも注意。

 「働き方改革」にあたり企業・労使が注意すべきポイントととして、
〇非正規労働者の組織化などその声を反映
〇「賃金原資一定」という考え方の放棄⇒労働分配率を上げる(賃金原資を増やす)
 ①「労働生産性」向上(無駄を省き効率を上げる…)
 ②「内部留保」の賃金への還元
 ③適正な「価格転換」⇒インフレ率2%を実現するためには賃上げが3%必要⇒経済政策の中でも言われている。

 質疑応答の際、会場から「社労士だが、関与先などでは中小企業で体力が無くて、この法改正に対応することが難しい。どう助言すればいいのか」という質問があったが、水町先生は、「法を守れない会社はお引き取り願いたい、そこの社員は、ちゃんと法令を守れる会社に移ってください、それが法改正、法令を守れない会社は淘汰されてください」ときっぱりと答えた。
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