労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

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あんのこと 目を背けたくなる過酷な現実、残酷さ、冷酷さばかり、見て見ぬふりをしているわけではないが、しかしこちらの肝が冷える。

2024-06-28 | 🎥いい映画観てますか?(邦画)

【🎦18 2024/6/16鑑賞】 ホステスの母親、足が不自由な祖母と暮らす香川杏(河合優実)は幼いころから虐待を受けて育ち、若くして売春に手を染め、さらに違法薬物の常習者になってしまう。ある日人情深い刑事・多々羅(佐藤二朗)に補導されたことをきっかけに、更生の道を歩み出す。さらに多々羅の友人である記者・桐野(稲垣吾郎)らの助けを借りながら、杏は新たな仕事や住まいを探し始める。そうしてかすかな希望をつかみかけた矢先、世界的パンデミックによって事態が一変する。


 入江悠監督が、世界的パンデミックが起きた2020年のある日の新聞記事に着想を得て撮り上げた人間ドラマ、機能不全の家庭に育ちすさんだ生活を送る少女が、ある出会いをきっかけに生きる希望を見いだそうとする中、非情な現実に翻弄されるという映画。
2020年、コロナ禍で非常に閉鎖的になっていた時に起きていた事柄の新聞記事から着想を得たというこの作品、ドキュメンタルな意思が繊細に際立つ。
単なる社会派ドラマの枠を超えて、生きようとする彼女の意志、その目がたしかに見た美しい瞬間も描き出すということでは、壮絶な作品だ。


 社会の底辺で苦しむ若者が正しい人に出会ったおかげで立ち直っていく感動もののように始まる。
児童虐待や薬物などの問題をリアルに描きつつ、しかしその救済と裏切り、負の連鎖を断ち切る事が出来るのか出来ないのか、さらにコロナの初期パンデミックの尋常でない状況…。
そこから予想しなかった、最悪としか思えない方向に物語は進んでいく。


 劇中で描かれるのは、目を背けたくなる過酷な現実、残酷さ、冷酷さばかり、見て見ぬふりをしているわけではないが、しかしこちらの心が冷える。
そこに降りかかったコロナ禍では、不安、不信、焦燥、孤独、阻害、喪失、差別、無力…この作品の主人公だけではなく、皆が陥った。
ようやく光が見えてきたのに…。
彼女のせいではない、彼女を支えてきた周りの人のせいでもないとは言え、そのコロナ禍が物語の展開を複雑にし悪い方向に進ませるというのが、身につまされる。
当時の総理大臣であった安倍晋三が無駄に無意味に飛ばしたブルーインパルスが…まさかの彼女の行動を誘発したという象徴にされることは、自分的にはお腹に落ちた。


 心の中が変化していく様子を、表情で見せる河合優実の演技がすさまじい。
目が前髪に隠れてても、その時の感情が伝わるという演技はやばすぎる。
「かくしごと」の杏ちゃんの演技と、この作品の河合優実の演技、今年の日本の映画賞レースは、どっちの役者がどれだけの賞を席巻するか楽しみなほど素晴らしかった。

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