厚労省は、10月25日、フリーランス・事業者間取引適正化法の11月1日施行に合わせて、全国の労働基準監督署に、自らの働き方が労働者に該当する可能性があると考えるフリーランス(業務委託を受ける事業者)からの労働基準法等の違反に関する相談窓口(受付時間:平日午前8時30分~午後5時15分)を設置すると発表した。⇒「「労働者性に疑義がある方の労働基準法等違反相談窓口」を労働基準監督署に設置します」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44487.html
労基法上の「労働者」に該当するか否かは、契約の形式や名称にかかわらず、実態を勘案して総合的に判断される。近年、フリーランスとしての働き方が拡大する一方で、フリーランスの中には実態として労基法上の労働者に該当する働き方をしているにもかかわらず、名目上は自営業者として扱われ、労基法等に基づく保護が受けられていないといった問題が指摘されている。こうしたことから厚労省では、今回の取り組みを通じて、フリーランスとして契約しながら実態は労働者となっている人の労働環境整備に努めていくとしており、労働者性の判断基準についての理解を促すため、最近の裁判例をとりまとめた参‥考資料集も作成。
労働基準監督署では、これら資料も活用しつつ、相談内容から労基法等違反が疑われ、申告事案として調査する場合には、原則相談者が労働者に当たるかどうかの判断を行っていくという。
※「申告」‥労働基準法等に基づき、法違反の事実を労働基準監督署に申し立てること
労働基準法における労働者性判断に係る 参考資料集 ⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001319389.pdf
リーフレット「フリーランスとして働く皆さまへ あなたの働き方をチェックしてみましょう(その働き方、「労働者」ではないですか?)」⇒https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/001283001.pdf
「相談内容から労基法等違反が疑われ、申告事案として調査する場合には、原則相談者が労働者に当たるかどうかの判断を行っていく」、ここがすごい画期的だ。
これまで契約上の問題、残業代支払い、社会保険の加入資格、などなどで、労働者性が問題になった場合、労働審判や裁判、または労働組合法上の労働者性の場合は労働委員会で、判断を仰ぐことが多いが、労働基準監督署で判断をするということは、勝負が早くていいかも❕
労働基準法では、「労働者」を「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」(第9条)と規定している。
実務上、「労働者」に当たるかどうかは、以下の2つの基準(使用従属性)で判断される。
<労働基準法における「労働者性」の判断基準>
・労働が他人の指揮監督下において行われているかどうか、すなわち、他人に従属して労務を提供しているかどうか
・報酬が、「指揮監督下における労働」の対価として支払われているかどうか
具体的には、「労働者性の判断基準」に基づき、実態をもとに総合的に判断される。(リーフレットの裏面参照)
1 . 「使用従属性」に関する判断基準
① 「指揮監督下の労働」であること
ア仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
イ業務遂行上の指揮監督の有無
ウ拘束性の有無
エ代替性の有無(指揮監督関係を補強する要素)
② 「報酬の労務対償性」があること
2. 「労働者性」の判断を補強する要素
①事業者性の有無
②専属性の程度
③その他
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