12年も単身赴任している自分が、このメモを残すのもどうかと思うが…。
〇転勤制度が一般社員にまで広く普及している日本企業は特殊な状況
⇒ 欧米では「ジョブ型」雇用契約が基本=転勤で就業場所を含むジョブが変わるのは本人の同意が必要、原則企業主導での異動という概念はない
⇒ 転勤制度も日本的雇用慣行の根差す独特の仕組み=メンバーシップ型雇用契約
⇒ 雇用を守るために企業の命令で従業員を移動させることが出来る点に合理性があった
東亜ペイント事件(最小判昭61・7・14)
大学卒営業マンに対する神戸から名古屋への転勤命令拒否を理由とする懲戒解雇につき、本件における単身赴任となる生活上の不利益は、転勤に伴い通常甘受すべき程度のもので、本件転勤命令は、①配転命令に業務上の必要性が存在しない場合、②配転命令が不当な動機・目的をもってなされた場合、③労働者の通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合など、特段の事情が存在する場合でない限り、権利濫用にあたらないとして、原審を破棄・差し戻した事例。
〇転勤制度のメリット
①事業所の拠点展開を円滑に進めること
⇒ 経営環境の変化に対応して事業を見直すにあたり、使用者の一存で労働者の配置ができることは、柔軟な事業展開にとって都合がよい。
②人材育成の効果
⇒ 転勤に伴う環境の変化は、従業員に変化適応力を身につけさせ、成長するチャンスになる。
③企業の一体感の醸成
⇒ 異なる拠点間で人材交流が活発に行われる。
④不正防止やマンネリ化の回避
⇒顧客との癒着を防止、勤務地が変わることで新しい気持ちで仕事を経験できる
▲転勤のデメリット
⇒ 転居や単身赴任に伴う生活面でのコスト
⇒ 共働き生体の増加 配偶者同伴=配偶者のキャリア形成に支障、単身赴任=配偶者の家事・育児負担の増加
⇒ 転勤のある企業を敬遠する傾向が強くなっている(とりわけ若い世代は終身雇用を信じていない)
〇転勤制度の廃止や見直しは優秀な人材を確保するための人事戦略の側面が強くなっている
⇒ メンバーシップ型の人事の仕組みではなく、本人の意向を起点に考えるジョブ型の人事の仕組みに変わっていく圧力
⇒ 企業にとって奥行きのある極めて重要な課題
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