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主にTRPGリプレイの元ネタ集、プログラミング技術メモと自作ソフト、好きなゲームや音楽です。

SoftwareDesign2015.01 SI特集の感想

2015-02-21 15:17:22 | プログラミング

ちょっと前の号になるんだけど、『ソフトウェアデザイン 2015年1月号』の第2特集『ソフトウェア開発の未来』が面白かったので、感想を書いておきたい。

この特集ではSI(受託・請負型開発)について、3人の人が書いている。

  1. ソフトウェア受託開発の新しいビジネスモデルへの挑戦
    • 「価値創造契約」の利点と失敗点について
  2. なぜ「受注請負型SI」はなくならないのか
    • SIビジネスについてユーザー企業視点とSIベンダー視点で考察
  3. ユーザ企業の「一人情シス」という選択肢
    • SIerからユーザー企業へ転職してどうだったのか

読む順序としては、真ん中の2.を最初か最後に読むのがお奨め。
というのは、2.には“価値創造契約といった新型SIやユーザー企業への転職が上手くいかない理由”みたいな感じの話題が入っているから。書いている人が別々なので、こういうことも起きるよね^^;


で、主に2.についての感想になるが。

まず、SI市場の現状として、技術が高度化しているのに技術者の供給が細ってきている事(景気停滞時に採用を絞った事や、そもそも若年就労人口が減っている事)を挙げている。また、大型案件が失敗して訴訟に発展するケースも目立ってきている。
それでも受注請負型SIは、ユーザー企業側とSIベンダー側のニーズがマッチしている(SIer側は人月商売だと非常に売りやすい)ので、そうそう無くならない。

ユーザー企業側が受注請負型SIを欲する理由として挙げられている「経営陣の意思決定」に関する話は興味深い。
曰く、ユーザー企業にとってITは本業ではないので経営陣はITに詳しくないし、ITを金食い虫と見なしてしまう。なので、金額が確定しないIT投資は為されないし、「プロジェクト失敗の責任はユーザーにある」となる委任型の請負は却下される。
また、ユーザー企業にとってITは本業ではないのでIT部門に出世・昇進ルートは無い。(つまり、ユーザー企業へ転職しても下請けっぽい位置で止まり、給料は上がらんということですな)(3.の人の転職が成功したのは、転職先が“IT担当者が自分一人しかいないような中小企業”だったからなのかも)
自分はベンダー側の人間なので、ユーザー企業側の内部がどうなっているのか知らないけれど、こうやって説明されると納得いく感じ。

じゃSIをどうするかという選択肢として、挙げているのは2つ。やめる続ける(爆)
まぁ、やめても生活していけるなら、ほとんどの人は辞めるでしょうねぇ^^;
続けるけれども今までのようなやり方では上手くいかないという考えで1.の価値創造契約のような手法も出てきたと思うし、面白いアイデアだとも思うけれども、ベンダー側のニーズで出てきた手法であり、ユーザー企業側のニーズで出てきたものではないので、なかなか広まりにくいんだろうなぁと思う。(まぁ、それは1.を読んでいると、把握されていると思われる) 


以上。
自分が要約して書くとイマイチな感じになってしまうんだけど、当然ながら元の文章の方が説得力・読み応えがあって面白い。
部分的に切り取ってTwitterにつぶやいただけでも、何RTもされること間違いなしw
「我がSIは永遠に不滅なわけです」とか「ちょっとしたSQLが書けて、Excelを使いこなせるのであれば、どこでも食えます。鬱病にかかるリスクも減るでしょう。個人的には超お勧めではあります」とか「俺はおまえに金を払っているから言うことを聞けというユーザがいたのであれば、即刻、関係の再検討を迫るべきです。これは最後の手段ではありません。最初の手段です」とか「普通にできるSIを、普通にできるように準備し、奇をてらわずに普通に行う」とか。 


ここからは余談。上手くまとめられないので、思ったことを適当に箇条書き。

  • 3.の人が書いている悩みは、たぶん、(特に若手の)SIer技術者は同じことを考えると思う。
  • 本来、ユーザーがやりたい事があって、それを作るのがSIの仕事(ユーザー自身は作る技術を持っていないが、作る技術を持っているのがSIer)だと思う。
  • でもユーザー自身が技術を持つ(内製化する)のが一番、齟齬が少ないと思う。というか、システムの当事者意識が違ってくると思う。(ユーザー側の丸投げ精神や、SIer側の他人事のような感覚の問題)
  • 一方で、SIerがユーザーの肩代わりをする(ユーザー業務の知識を持つ(1.の問題意識のひとつ))のも方向性としてはありだろう。プログラミングを知らない人をSIerが雇うのは、業務知識方面(の適性)を期待してという面もあると思う。
  • いずれにしても、ユーザーとSIerの信頼関係が必要。(日本では、お金を払った側が偉い、上(偉い側)は下に何を要求してもよい、という風潮が強い。これは大企業-中小企業だけでなく、上司-部下、客-店員も同様。ひどかったのは、昔Twitterで見たやつ。買った商品を受け取った子供が店の人に「ありがとう」って言ったら、母親が「金を払ってるんだから礼を言う必要は無い」と言った、とか。僕は自分の為に労力を割いてくれた人にお礼を言うのは当然だと思っている(分かり易い例は、宅配。お金を払っているしそういう契約だとはいえ、家まで持ってきてくれたんだから、お礼を言う)。お互い人間なんだから、お互い気持ちよく尊重する関係を目指すべきだと思う。しかしこういう風潮は下からは変えられない。上の立場になったときこそ変える好機だと思うが、「今までそう振舞われてきたのだから、次は自分がそうしてよい」と考える奴が多すぎる)
コメント
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