世界中で同時多発的に起きている「有権者の乱」。著者は記者としてアメリカ、イギリスそして日本の
現場を取材し、実感したことを本書に書いている。分断によって敵を作り、煽り実権を握ろうとする権
力者たちの行動は相似性があり、熱狂する国民は同じような行動をとる。これは決して国の為にならな
いと断じ改めて民主主義について考察している。
不寛容の意識は沖縄ヘイトや反貧困活動に対する非難にも顕著に表れる。しかし保守的運動は自国第一
主義を掲げながら内に向かう行動によって収縮を繰り返し、生産性の低下を招く。小泉政権から大企業
優先の内向き政策により日本の生産性は主要先進国の中でも最下位に落ちた。
ナショナリズムそのものを悪と捉える傾向に異を唱えるベネディクト・アンダーソン教授のインタビュ
ーが印象深い。昨今の移民排斥思想は民族主義的、人種差別的なもので、本来のナショナリズムとは異
なるという。通常のナショナリズムは、日常生活の一部で、習慣やイメージであり、空気のようなもの
であるという。いわば社会の接着剤であり、人々に「自分は日本人だ」と感じさせるものという内容で
とても腑に落ちるものだった。
私たちはもう一度民主主義に対してしっかり考える必要がある。本書はその一助になる。
ルポ 漂流する民主主義 真鍋弘樹 集英社新書
現場を取材し、実感したことを本書に書いている。分断によって敵を作り、煽り実権を握ろうとする権
力者たちの行動は相似性があり、熱狂する国民は同じような行動をとる。これは決して国の為にならな
いと断じ改めて民主主義について考察している。
不寛容の意識は沖縄ヘイトや反貧困活動に対する非難にも顕著に表れる。しかし保守的運動は自国第一
主義を掲げながら内に向かう行動によって収縮を繰り返し、生産性の低下を招く。小泉政権から大企業
優先の内向き政策により日本の生産性は主要先進国の中でも最下位に落ちた。
ナショナリズムそのものを悪と捉える傾向に異を唱えるベネディクト・アンダーソン教授のインタビュ
ーが印象深い。昨今の移民排斥思想は民族主義的、人種差別的なもので、本来のナショナリズムとは異
なるという。通常のナショナリズムは、日常生活の一部で、習慣やイメージであり、空気のようなもの
であるという。いわば社会の接着剤であり、人々に「自分は日本人だ」と感じさせるものという内容で
とても腑に落ちるものだった。
私たちはもう一度民主主義に対してしっかり考える必要がある。本書はその一助になる。
ルポ 漂流する民主主義 真鍋弘樹 集英社新書