神田神保町をぶらぶらしている時に見つけた本書、三遊亭円朝の名前は近代落語家の祖、「怪談牡丹灯籠
」「塩原多助」の作者程度しか知らなかったが、上巻462、下巻439ページの長編をアッという間に
読み切ってしまった。抜群の面白さだった。芸に対して生真面目すぎる円朝と師匠の円生、理解者で母の
おすみ、いい加減な父の円太郎、おやい、息子の朝太郎、小稲、おさと、そして唯一にして無二の親友・
利八とあまりにも多彩な登場人物は一種の群像劇を思わせるような、一人ひとりが個性的で出来れば、テ
レビドラマにでもしたらとてもスゴイものが出来そう。(円朝は菅田将暉、円生は小日向文世という配役
はどうだろうか)
江戸末期から明治維新という時代を市井に住む人間から見たものということも興味深いし、芸に対して真
面目過ぎる円朝が最後は山岡鉄舟に師事し、禅に行きつくところも思いもよらない展開だった。今や落語
ブームで賑やかな演芸が幅を利かせているが、落語研究会の面白さを本書でさらに深く感じることが出来
た。
円朝一代記でありながら、不詳の息子・朝太郎との確執も小説以上で、最後はウルっとしてしまった。波
乱万丈とはこのことだ。文庫化されたのが2008年だが、元々1968年の小島政二郎全集から出てい
るので、言い回しが古かったり表記が昔の字だったりして、そういうところも味があっていい。
円朝 上下 小島政二郎 河出文庫
」「塩原多助」の作者程度しか知らなかったが、上巻462、下巻439ページの長編をアッという間に
読み切ってしまった。抜群の面白さだった。芸に対して生真面目すぎる円朝と師匠の円生、理解者で母の
おすみ、いい加減な父の円太郎、おやい、息子の朝太郎、小稲、おさと、そして唯一にして無二の親友・
利八とあまりにも多彩な登場人物は一種の群像劇を思わせるような、一人ひとりが個性的で出来れば、テ
レビドラマにでもしたらとてもスゴイものが出来そう。(円朝は菅田将暉、円生は小日向文世という配役
はどうだろうか)
江戸末期から明治維新という時代を市井に住む人間から見たものということも興味深いし、芸に対して真
面目過ぎる円朝が最後は山岡鉄舟に師事し、禅に行きつくところも思いもよらない展開だった。今や落語
ブームで賑やかな演芸が幅を利かせているが、落語研究会の面白さを本書でさらに深く感じることが出来
た。
円朝一代記でありながら、不詳の息子・朝太郎との確執も小説以上で、最後はウルっとしてしまった。波
乱万丈とはこのことだ。文庫化されたのが2008年だが、元々1968年の小島政二郎全集から出てい
るので、言い回しが古かったり表記が昔の字だったりして、そういうところも味があっていい。
円朝 上下 小島政二郎 河出文庫