よしーの世界

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変わった世界 変わらない日本   野口悠紀雄

2021-09-08 06:39:55 | 
経済の話は分かりにくい。しかし本書は論旨が明確でスラスラと頭に入っていくる。日本経済が長期

低迷から抜け出せないのは、1980年代以降に起きた世界経済の大きな変化に対応できていないからだ

と最初に断じている。80年代に日本やドイツは製造業で圧倒的な力を発揮して我が世の春を謳歌して

いた。それが90年代以降アメリカ・イギリスが世界の潮流に乗ったのはIT、金融を前面に押し出し

たからで、日本・ドイツは頭打ちになっています。さらに中国をはじめ東南アジアの国々が低賃金を

背景に工業化に成功し、生産の現場がこれらの国々に移っている。


日本の問題は大企業を守る政策が横行しているために、新しい産業を創出することが出来ないことだ。

「改革!」とあれだけ声高に主張していた小泉政権は結局、古い産業構造を温存しただけと著者の評

価は厳しい。政治は新しい産業に口を出してはいけないという。アップルやグーグルがアメリカの産

業をリードしていく企業になるとは誰も思わなかったはずだと。


著者の提言は「高度サービス産業の構築」で「人材育成のために高等教育を充実」させ、「日本活性

化のために人材開国する」ことだという。例えば労働人口中の外国人労働者の比率(2008年)はスイ

スで21.8%、オーストラリアで20%近い数字だという、韓国で2.2%、日本は0.3%弱という低さで

ある。今世界中で優秀な頭脳をヘッドハンティングしようとしていることは周知の事実で、これには

政府も絡んでいかなければならない。今の国会議員に是非読んでほしい本だ。


変わった世界 変わらない日本      野口悠紀雄      講談社現代新書


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