貧乏お嬢さま、空を舞う リース・ボウエン

ヴィクトリア女王の曾孫にして王位継承順位34番目で現ラノク公爵の妹レディ・ジョージアナ（通称ジョ

ージー）は故あって貧乏暮らし、英国王妃の事件ファイル３となる本作では猛暑のロンドンでの生活に嫌

気がさしながらも、あるアイデアを思いつき逆に窮地に陥る。ロンドン警視庁の指図でスコットランドに

帰郷することに、そして前作でも何度か登場する義理の姉フィグに嫌味を浴びせられるかと思っていたが

歓迎されることになる。


生まれ育ったスコットランドのラノク城では水を得た魚状態で、生き生きと動き回るジョージーが大活躍。

しかも大自然の中にある故郷に戻ると複数の男性から声を掛けられる展開で、心も浮き立つ。勿論ジョー

ジーが行くところトラブルが付いて回り、新たな事件の予感。それも王室に結びつきそうな大事件になり

そうな。


ロンドンから離れスコットランドに舞台を移すが、面白いことに王家の行事に参加する為にジョージーの

回りにはベリンダはじめ、ジョージーの母親、デイヴィッド王子の恋人ウォリス・シンプソンそして勿論

ダーシーといういつもの面々が勢揃い。頼りになる祖父も登場しマスマス楽しい。


前作でも比較的のんびりゆったりした半ばから、クライマックスにかけての全力疾走に目が離せなくなり

一気に読んでしまいます。お嬢さまのおままごと的事件への関りから、事件は思わぬ方向へ、そして真犯

人は？！ジョージーの行動力と推理は見事で、本格的な小説として成立しています。一読を！


貧乏お嬢さま、空を舞う　　　　　　　リース・ボウエン　　　　　　原書房｜コージーブックス