よしーの世界

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フランス外人部隊   野田力

2021-09-02 06:57:42 | 
軍隊に入隊し、戦地へと赴くことは自分では絶対に経験することが無いと思える。著者はフランス外人

部隊パラシュート連隊・水陸両用中隊に所属し、コートジボワールで治安維持活動に従事し、最高気温

が50度になるジブチでは衛生兵として過酷な砂漠訓練を受け、アフガニスタンにおいて戦争も実体験し

ている。フランス外人部隊に入隊しようとする動機に始まり、志願し選抜試験を受けてからの流れ、教

育訓練の様子がリアルに描かれています。


外人部隊に入隊しても5年の在籍期間中に全く戦地に赴くことが無い人も相当数おり、雑用に明け暮れ

るという日常は思いもしなかった一面です。その雑用でも広場で待機中にサイレンがあり、ダッシュで

集合しても数人がピックアップされるだけで、何にも指名されず戻らなければならない状況。著者は10

月に夜シャワーを浴びている最中サイレンが鳴り、寒さに震えながらバスタオルを腰巻にしただけで集

合場所に行き、やはり指名されずにすごすごと戻ったことがあるそうです。


それにしても相当ハードな内容にもかかわらず「ですます調」で淡々と書かれていることが、不思議な

気がします。衛生要員として前線で遭遇した負傷兵は頭部を撃たれていて、顔が全く分からない程の重

症でも落ち着いた対応をしていて驚かされます。著者は興味本位で外人部隊を志願することがないよう

にとの思いで、自らの体験を開示することが目的の一つだったようだ。世の中には沢山の仕事がある、

良質な職業ガイドブックです。


フランス外人部隊         野田力            角川新書
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