石橋湛山(1884年~1973年)は明治44年から敗戦直後まで「東洋経済新報」に執筆し、自由民主党
第二代総裁であり、日本敗戦後7人目の首相になった。本書には東洋経済新報の記者として、戦前か
ら歯に衣着せぬ語り口で軍部に翻弄される日本の政治を批判する記事を載せている。1914年(大正3
年)に日本がドイツに宣戦布告し、中国山東省のドイツ租借地青島(チンタオ)を占領したことに対
しても、アジア大陸に領土を拡張すべきではないと反対し、戦線を拡大すれば今までに手にした領土
の全てを失う恐れがあると書いている。
さらに朝鮮、台湾、満洲を棄て、志那、樺太、シベリアからも手を引くことによって大日本主義を棄
て、莫大なる費用が生じる戦争突入を避け、アジア各国からの怨嗟の声を封じ、アメリカやイギリス
との貿易により利益を得て、学問技術の研究と産業の進歩に注ぐべきとしている。
情に訴えることなく、ひたすら反対するだけではなく、冷静に論理的に日本の将来に対する行動と国
民の利益とは何かを考察し、机上の空論ではない意見を述べている。残念ながら健康上の理由から日
本の首相としての時間が短すぎて、大きなインパクトを残せていない。自らの政治信条をキチンと述
べることが出来ない現代の政治家に是非読んでほしい本だ。
石橋湛山評論集 松尾尊兊 青168-1 岩波文庫
第二代総裁であり、日本敗戦後7人目の首相になった。本書には東洋経済新報の記者として、戦前か
ら歯に衣着せぬ語り口で軍部に翻弄される日本の政治を批判する記事を載せている。1914年(大正3
年)に日本がドイツに宣戦布告し、中国山東省のドイツ租借地青島(チンタオ)を占領したことに対
しても、アジア大陸に領土を拡張すべきではないと反対し、戦線を拡大すれば今までに手にした領土
の全てを失う恐れがあると書いている。
さらに朝鮮、台湾、満洲を棄て、志那、樺太、シベリアからも手を引くことによって大日本主義を棄
て、莫大なる費用が生じる戦争突入を避け、アジア各国からの怨嗟の声を封じ、アメリカやイギリス
との貿易により利益を得て、学問技術の研究と産業の進歩に注ぐべきとしている。
情に訴えることなく、ひたすら反対するだけではなく、冷静に論理的に日本の将来に対する行動と国
民の利益とは何かを考察し、机上の空論ではない意見を述べている。残念ながら健康上の理由から日
本の首相としての時間が短すぎて、大きなインパクトを残せていない。自らの政治信条をキチンと述
べることが出来ない現代の政治家に是非読んでほしい本だ。
石橋湛山評論集 松尾尊兊 青168-1 岩波文庫