よしーの世界

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マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する   丸山俊一

2022-11-16 06:33:27 | 
「哲学界のロック・スター」とも称される天才、マルクス・ガブリエルは29歳にして史上最年少で

歴史あるボン大学哲学科教授に就任しています。私たちにはBSーNHK「欲望の民主主義~世界の景

色が変わる時~」そして「欲望の資本主義2018~闇の力が目覚める時~」でもお馴染みです。彼は

学びの園を飛び出し、街に出て動きながら哲学を講義しとても楽しませてくれました。


2018年に来日した彼は所謂AIが人間を超える「シンギュラリティ=技術的特異点」は約30年前に

すでに起きていると言います。私たちはシンギュラリティ後の段階を生きているという見解です。

そう今ではテクノロジーの方が自身を維持するために、人間を利用していると。彼の主張によれば

スマホは多大なるエネルギーの浪費だと断じています。確かに取り込まれている感はありますね。


ロボット工学博士の石黒浩教授との対談もエキサイティングで大変興味深いモノでした。意見が対

立するところも相当ありましたが、途中でたまたま居合わせたアメリカ人脚本家まで参加するほど

白熱し、議論はインターナショナルな展開を見せます。


最後に大阪の路上で、ヨーロッパから来た当代随一の知性と聞いて、一般の方から「どうしたら幸

せになれますか?」と問われた時の答えを長いですが引用します。


「みな、それを知りたいですよね?大事なのは、そこに包括的なルールはない、ということです。

幸せは絶対に、ここ以外のところにない、とわかることでしか幸せになれないんです。今は幸せで

も、10分後には死んでしまうかもしれない。今幸せはそこにあるか、二度と来ないかどちらかなの

です。あなたは今幸せですか?これは、あなたの人生における良い時ですか?もしそうでないのな

らば、考え方を変えたほうがいい。今、今です!明日は死ぬかもしれませんから。技術的な問題で

はありません。それだけが、それだけが重要なことです」。


   マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する   丸山俊一      NHK出版新書
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